E.V.2023 曲紹介 ウクライナ
アーティスト名:TVORCHI
曲名:Heart Of Steel
ウクライナは昨年のユーロビジョンの覇者です。
本来であれば今年の大会は前年優勝国であるウクライナで開催されるはずだったのですが、ロシアのウクライナ侵攻による国内の混乱は深刻で、安全に大会を開催することは出来ないと判断され、2位のイギリスに開催権限を譲った経緯があります。
2003年の初参加から今年までの参加回数は19回、3度の優勝、Grand Finalに出場できなかった大会はない…という抜群の成績を残すウクライナ。
ユーロビジョンでは近年スウェーデンに次ぐ強豪国として注目を集めています。
僕の初めてのユーロビジョン体験となる2007年大会でも、ウクライナは強烈なインパクトを残してくれました。
ロシアとの骨肉の争いはユーロビジョンでも有名で、2016年大会ではウクライナがスターリン時代のソ連の所業を綴った歌1944で優勝した際は、ロシアから抗議の声が殺到しました。
ちなみにこの年のロシアの順位は3位。ウクライナとのポイント差は43ポイントと、接戦を演じています。
こんなこと言うとあれですが…2016年大会のロシアのパフォーマンスは本当に素晴らしく、個人的には優勝を持っていかれても仕方ないと思っていたくらいです。
この時ばかりはロシアに同情したのを覚えています。
今年の代表TVORCHIはウクライナ出身の2人組のテクノユニットです。
2017年に結成し着実に実力をつけてきたウクライナ気鋭のミュージシャンです。
何曲か聴いてみたのですが、心地よいBGMをベースにした大人な感じのバラード調の曲が多いですね…好みです。
そんな彼らがユーロビジョンで歌うのは力強いビートを刻んだエレクトロバラードHeart Of Steel。
わりと婉曲的でスッと入り込むような曲調の多い彼らには珍しく、本作は正面からガツンと物申すストロングスタイルになっています。
とはいえ…歌詞はやはり婉曲的ですね。
色々な立場、色々な局面に解釈できる汎用性の高い物言いになっています。
センシティブな状況に配慮しているのか、他の国々が直接的に戦争を非難しているのとはまた趣の違う態度をとっているように感じました。
今年も台風の目となりそうなウクライナ。
嫌でも特別視されるであろう彼らのステージですが、願わくば…本来の彼らの音楽をしっかりと表現してもらいたいと思います。
鋼鉄の心臓をもって…。