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宇都宮という街

数ヶ月前のことですが、宇都宮に新設された路面電車LRT(Light Rail Transit)に乗って参りました。

数年ぶりの宇都宮をLRTで散策してみようと、終点の駅まで乗ってみたわけです。

LRTの導入により、街並みが変わったのか…というと今のところそんなことは無く、宇都宮駅東口近くを除けば、まるで昔のままの宇都宮の街並みが広がっていました。

何というか…ある日突然街の中に線路が敷かれました…と言われても頷けるような唐突感を感じてしまったわけです。

線路沿いに大きな変化がもたらされた様子はなく、粛々と以前のままの生活が続いている…そんな印象を受けました。

流れる車窓の一つ一つを見る限り、それは何気ない地方都市の風景に見えるのですが、一連の流れで見ていくと、なかなかシュールなつながりを見出すことが出来ます。

商業地帯を抜けたと思えば、田園地帯をのどかに疾走、さらに鉄橋を渡ったと思えば、すぐに工業団地の街に吸い込まれていく…。

既に成熟した街に新しい路面電車を走らせる…という行為は、街という果実にナイフを入れて輪切りにする行為に似ているな…と、そんな思いが頭をよぎりました。

LRTというナイフを使って、今まさに宇都宮という街の断面を見ているのだな…と。

…いつしか、車で行き来していた時には気にもとめなかった街の細部…サビで赤茶けた看板、街中の雑草だらけの空き地、曇り空に染められた鬼怒川の流れ、暗色の工業団地に敷かれた人工芝の緑…そんな些細な視覚情報に心を動かされている自分がいました。

LRTが切り開いた切断面は未だ瑞々しく、そこから垣間見える鮮度の高い宇都宮の街の姿を、今このタイミングで見ることが出来たことは、ある意味幸運だったと思いました。

そんなわけで作った動画がこちら↓


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