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旅先10kmラン 宇都宮市

今回の経路

宇都宮を離れて7年近くなる。
その後もちょくちょく遊びに来ていたが、自分が住んでいた区画の近くに泊まるのは初めてかもしれない。

僕は旅行先の街を走るのが好きで、早朝宿泊先を抜け出しては一人で慣れない道を走ることに喜びを感じる…困った性癖の持ち主だ。

ある時は道に迷い…またある時は転倒して血塗れになり…この性癖のせいで色々と損することは多いのだが、毎回旅行バッグにはランニングシューズを忍ばせてしまう自分がいる。

僕が旅先でランニングできる時間は限られている。
家族旅行の最中、旅程に影響のない時間帯を選ぶとなると…やはり早朝しかないわけで。

今回も朝の五時にホテルを抜け出す。…ホテルのフロントマンに怪訝な顔をされるのにも、もう慣れた。

ひと通りの準備体操を終え、走り始める。
宇都宮はかつてのホームタウン。7年経っても道の構造は変わるまい…と高をくくっていたら、あれ?見慣れぬものが道の真ん中に…。

それは路面電車用の線路だった。
進行形で自治体が推進している事業「LRT」。
次世代型の路面電車を導入し、交通渋滞を緩和させようという政策だが…車線を潰して線路を引いているため、逆に交通渋滞を引き起こしているのが現状のようだ。
試験運行の段階だが、市民からは非難轟々の様が想像できる。

「この線路…どこまで続いているんだろう?」
悪い癖が出た。
「探検発見僕の町…」
ちょうさんの霊が僕の脳髄に入り込むのを感じた…。※生きてます

線路を追ってペースを上げる。
やがて線路は専用高架に吸い込まれていった。
僕は頭上の高架を眺めながら道を探す。
ふと視線を戻すと、一面の緑…いつの間にか田園地帯に入り込んでいた。

線路は再び地面に戻る。
その先に真新しいLRTの車体が整列している。

LRTの車両倉庫

これらの車両が宇都宮の街を疾走するのは、まだ少し先になりそうだ。

LRTの車両倉庫に別れを告げ、工業団地へと向かう。

かつて走り続けた思い出のランニングコース。
ひたすら平坦な工業団地の中央道路。
早い時間帯ではあったけど、散歩を楽しむ人を何人か見かけた。
すれ違いざまに軽く会釈…ひょっとすると7年前にも同じように挨拶を交わしたことがあったかも。

国道に出たところで折り返し、雷神の祭られている古馴染みの神社に向かう。
神社の手前で丁度10km。
走り慣れた道とはいえ、我ながら大したもんだと思う。

境内に入る。
人気はない。
火照った身体が少しずつ冷めてくる。

平出雷電神社

社殿の手前で大きな2つの切り株に目がいった。
夫婦杉と呼ばれた古い杉の木が伐採された跡だ。
少し寂しい気もしたが、切り株からは瑞々しい杉の薫りが漂ってくるような気がした。

…簡単にお参りを済ませ、宿泊先へと走り出す。

コンビニから格安店に変わった店…未だ酒を販売し続ける自販機…朝露に濡れるくすんだ公園…。
7年ぶりの「僕の町」は、緩やかな変化を受け入れながらも、しっかりと呼吸を続けていた。

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