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ユーロビジョン・ソング・コンテスト…って何?

「自己紹介とか」でも書きましたが…そろそろユーロビジョンが熱い季節になってきました。
ご存じの方はご存じでしょうが、そうでない方には全く知られていないこのイベント。
実は世界最大規模の音楽イベントとして、半世紀以上の歴史をもつ、ご長寿コンテンツなんです。
詳しい説明はwikiを見て頂くとして…ここでは、ユーロビジョン独特の魅力を僕なりの視点で説明させていただきたいと思います。

1 国の威信をかけた戦い
一般的な音楽イベントは、人種や国境の壁を超え、人気アーティストが集まり、素晴らしいパフォーマンスが披露されるのが醍醐味だったりします。
当然ながらアーティスト間の優劣を競うものではありません。
ところがユーロビジョンは一味違います。
ユーロビジョンは欧州放送連合に属する各国の国営放送局が代表のアーティストを選出し、その出来を投票によって競わせるコンテスト形式をとっています。
結果として参加国同士の代理戦争を見ている気分になります。
その様子はさながらガンダムファイト
…一応、平和の祭典なのであまり政治に触れるのはタブーなのですが、毎回そのタブーが破られたりする様子を、冷や冷やしながら見るのも楽しみだったりします。
こういった作りがリベラルな気風を好む欧州人に忌避される原因となっているのは、皮肉なことではあるのですが…。

2 出演アーティストが熱い
…と書くと、いかにもビッグネームが集まる音楽フェスを想像されるかもしれませんが、さにあらず。
世界的に有名なアーティストはほとんど登場しません。
自国でそこそこ活躍するアーティストや、タレントさんなんかが出演することもありますが、イギリスやフランス、ドイツなどの音楽大国は、基本的に無名のアーティストを選出してきます。
…どこが熱いのかと疑問を持たれる方も多いと思います。
言葉を重ねて説明するのも野暮なので、一度実際に聴いてみてもらうのが早いと思います。
こちらは昨年の大会を制したウクライナ代表「Kalush Orchestra」の「Stefania」という曲です。
色々と政治的な忖度はあったかもしれませんが、個人的には優勝にふさわしい素晴らしいパフォーマンスだと思っています。
玉石混交の世界ではありますが、たまに自分のツボにはまる凄い人たちに出会えるというのが、ユーロビジョンの一番の楽しみです。
この連載では2023年の各国代表アーティストをレビューしていきたいと思います。

3 投票が色々と唸らされる
ここでの記述はあくまで主観によるものであることを、先に断っておきますね。
先ほど「政治的な忖度云々」と書きましたが、このイベント、欧州の国営放送局が主体となっていることもあり、政治を抜きにして見ることが出来ない仕様になっています。
他の音楽イベントが、政治色を抜きにしたリベラルでラブ・アンド・ピースな世界観の中で浮世を忘れられる仕様になっているのに対して、ユーロビジョンは、終始国という概念を意識させられる独特の緊張感を伴った現実的な空気が支配しています。
この空気が最高潮に達するのが投票結果が発表されるパートです。
投票権を持つ国々に放送がつながり、一国ずつ自国の投票結果を発表していくのですが…この投票結果に国家間の外交関係が色濃く反映されており、その国の外交姿勢が透けて見えるようになっています。
忖度具合がひどい場合は会場からブーイングが起こるなど、お約束な感はあるのですが、言い換えればこれらの様子からリアルなヨーロッパの姿をうかがうことが出来るわけで…色々と勉強になります。
最近では審査員の投票結果と視聴者の投票結果を分けて発表するようになったため、専門家の投票結果を一般人が覆すというどんでん返しの展開もあり、結果発表パートに一層の面白みが加わっています。
今年は投票システムが変わり、非参加国からの投票も受け付けるようになります。
投票可能な国ついては後日明らかになっていくとのことですが…日本からも投票が出来るようになることを心から願っております。

以上、ユーロビジョンの魅力について長々と駄文を綴ってしまいましたが、僕のつたない文章が示すこれらの魅力は、伝統あるユーロビジョンの一側面でしかありません。
多くの人が直にユーロビジョンに触れて、自分なりの楽しみ方を見つけて頂ければ、それに勝る喜びはありません。

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