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地域だけじゃなく、働く人や組織もカラフルに。newmoエンジニアチームが目指す世界とは

先日シリーズAファーストクローズで100億円を超える資金調達の発表をし、事業と組織のさらなる拡大を見据えているnewmo。エンジニアチームは現在正社員が10人程度ですが、一面を切り取ると男女比が9:1と、IT業界全体で課題となっているジェンダーバランスを踏襲してしまっている、という現状があります。

「移動」という日本全体に関わる課題を解決し、交通事業者として責任を果たしていくには、性別や年齢、バックグラウンドが多様なメンバーがそれぞれの強みや個性を活かしながら事業を進めていくことが必要です。そのためにも、ダイバーシティのある組織基盤づくりはnewmoにとって喫緊の課題となっています。

今回話を聞いたのは、創業からnewmoのソフトウェアエンジニアとして関わっている、yaottiこと海野弘成(@yaotti)とyui_tangこと坂本結衣(@yui_tang)。チームの中で率先してダイバーシティ推進に取り組んでいる二人。なぜ、積極的に声をあげているのか。二人のバックグラウンドを掘り下げながら、ジェンダーに限らず、様々な側面からの多様性が浸透した「newmoのつくる未来」の話を聞きました。

属性で働き方や生き方が決まる。そんな世界がこれからも続くのは嫌だった

──まずは、yui_tangさんとyaottiさんそれぞれの経歴を教えてください。

yui_tang:2024年5月にソフトウェアエンジニアとしてnewmoに入社したyui_tangです。前職はスターフェスティバルというテクノロジー×食を扱う会社でエンジニアリングマネージャーを、その前はメルカリでエンジニアをしていました。

newmoには、1人目の女性ソフトウェアエンジニアとして入社しています。これから組織が拡大していく中で、女性ソフトウェアエンジニアもどんどん増えていくはず。性別関係なく力を発揮しやすいチームをつくっていきたい、と考えているところです。

@yui_tang

yaotti:2024年2月にソフトウェアエンジニアとして入社したyaottiです。2011年にプログラマのための技術情報共有サービス「Qiita」を立ち上げ、代表を務めていました。2018年にQiitaを売却し2019年に退任したあとは、コーチング×習慣作りで2つ目の会社を立ち上げました。

中学高校は男子校、大学は工学部、社会人になってからはエンジニアと、男だらけの環境で長らく過ごしていました。今振り返ると、「男子校ノリ」とも揶揄されるような会話や場面との遭遇もありました。その状態が好ましくないとは思いつつ、「組織の課題」とまでは感じていなくて。積極的に考えるようになったのは、ここ数年のことです。

@yaotti

──ダイバーシティに興味を持つようになった、きっかけを教えていただけますか。

yui_tang:明確な理由やきっかけがあるわけではないのですが、女性のソフトウェアエンジニアがほとんどいなかった時期のメルカリに在籍していた経験は、影響しているかもしれません。

メルカリは現在、性別に限らずあらゆるダイバーシティに対して、国内では群を抜いて積極的に施策が行われていると思います。でも、私が入社した2014年当時はここまで整ってはいませんでした。ダイバーシティに対する社会的な関心が高まってきたのはその数年後。メルカリがDE&Iに力を入れ始めたのも、その頃からでした。同時に私もフェミニズムやダイバーシティについて学ぶようになったのですが、私自身は「マイノリティ」側にいたにも関わらず、違和感に蓋をし続けてきたことに学ぶ過程で気がついて。

人口の男女比と比較して、エンジニアの男女比が偏りすぎている。国内には、女性ソフトウェアエンジニアのロールモデルは多くない。まれにいたとしても、いわゆる男性社会に適応できる人やロールモデルを必要としないように見える人ばかりが生き残っている。女性がソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを築くだけでも大変なのに、さらに女性が自分らしさを保ったまま働くには、当時の日本ではとてもハードルが高いという事実に、改めて気付かされました。

目の前の居心地の良さを優先させるために、長年その違和感を見て見ぬふりしていました。でも、DE&Iに取り組む中で課題感がどんどん膨れ上がってきて。自分のためにも、これからこの業界やキャリアに飛び込んでくる人たちのためにも、違和感には声をあげていかなきゃいけない、と思うように変わったんです。

yaotti:僕は、Qiitaを離れる少し前からコーチングに興味を持ったのですが、それがきっかけのひとつかもしれません。コーチングを受けたり自身でも学んだりする中で、「男なら人に弱みを見せてはいけない」「男なら競争が好きだ」といった「男らしさ」の枠に自分を当てはめて、息苦しさを感じていたことに気づいたんです。それと同時に、「男」というだけで下駄を履かせてもらっていたことはたくさんあるんだな、と気づいて。

例えば、「エンジニアは男性が多い」という事実に対して、なぜそんな状態になっているのか、この枠組みはどうして生まれたのかまで見ようとしてこなかった。そもそも、疑問にすら思わなかった。それが少しずつ見えてきたときに、衝撃というか、情けなかったというか。論理だけでなく感覚的にも、「この歪な世界がこれからも続くのは嫌だな」と思ったんです。

タクシー業界に新たな風を吹き込んでいくために、まずはnewmoが多様性のある組織になる

──yui_tangさんから、DE&Iに対する社会の見方が変わってきている、というお話がありました。お二人は、社会のどんな変化に注目していますか。

yui_tang:私が特に社会の変化を感じたニュースは2つあります。まずは、女性のキャリアや教育に投資をする団体が増えてきていること。たとえば、メルカリの山田進太郎さんが「山田進太郎D&I財団」を設立して、女子中高生向けにSTEM(科学・技術・工学・数学)領域の職場体験の提供をスタートしました。これは、10年前には考えられなかった動きだと思います。

もう一つは、東工大で女子枠での入試を行う、ポジティブ・アクションの推進が始まったこと。導入当初は「逆差別になるのでは」などのネガティブな反応も多かったながら、これをきっかけに、他の場所でも少しずつ女性の活躍する機会を増やす動きが広がってきています。ポジティブ・アクションなしでも、あらゆる属性の方に平等に機会が与えられるのが理想です。でも、なんの努力もしないでその状態にするのは難しい。その理解が社会全体に広がってきているのは嬉しいですね。

yaotti:10年くらい前は男性限定と銘打っていないのに、技術系のイベントは登壇者も参加者も男性ばかりでした。でも、ここ数年で一気に女性も増えてきています。「女性エンジニア」文脈のイベントもよく見かけるようになりました。

このような光景を目にする機会が増えると、ジェンダーダイバーシティへの課題を考える機会も増える。その結果どう変わるか、行動に起こすか起こさないかは人それぞれだと思います。でも、女性だけでなく、僕のような男性もジェンダーへの課題意識を持つ機会が増えるのはいい流れですよね。

──では、newmoを通じてDE&I文脈で取り組んでいきたいことはありますか?

yaotti:DE&Iは、何もジェンダーに限った話ではありません。年齢・国籍・バックグラウンド・価値観など、様々な面で考慮し、包含していくべき「多様さ」がたくさんあります。ジェンダーは、その大事な一つのピースではありながら、newmoとして取り組みたいDE&Iはもっと広義な範囲です。まだ妄想レベルですが、これまでのタクシー業界に根付いていた当たり前を変えていきたいですね。たとえば現状だと、タクシードライバーは圧倒的に男性が多い職業で、女性のドライバーは数%しかいません。また、平均年齢も50代以上です。働き手の拡大、という意味で年齢も性別ももっとフラットな職業・業界にしていきたいですし、そうすると、働く側の選択肢が広がるだけでなく、乗る側にとってもメリットが大きいと思うんです。

yui_tang:私もyaottiさんと同じことを考えていました!とはいえ、どんなに「タクシー業界に多様性を」と思っていても、法律やこれまで築いてきた文化、労働環境など、実現するにはたくさんの壁がありますよね。私は、会社組織がつくる事業は、どうしてもその会社組織の性質を引き継いだ世界観になると思っています。だからこそ、タクシー・ライドシェア業界を多様性のある業界にしたいなら、まずはnewmoの組織自体が多様性のある組織になることが必要不可欠と考えているんです。

地域も、業界も、組織も「カラフル」にしていく

──今、創業初期のnewmoだからできる取り組みはありそうでしょうか。

yui_tang:会社の制度や環境を、自分たちで作っていけるところですかね。newmoが展開するタクシー事業とライドシェア事業は、法律の壁があって不確実性が高いと言われています。でも、その中で働いている私達は、博打をしているつもりは全くありません。この事業の成長を確信していて、5年後、10年後にはもっと事業も組織も大きくなっていると思っています。だからこそ、創業期の今いる私達一人ひとりが、今後のnewmoのベースとなるような組織やカルチャーを作っていく、という意識が強いんです。実際に、CTOのsowawa(曾川 景介)はよく「欲しい制度はみんなで一緒につくろう」と言っています。

yaotti:自分も会社を創業した経験があるので、カルチャーは一度できあがるとなかなか変わらないことを痛感しています。newmoは創業経験や創業期を経験したメンバーも多いので、そのことを言葉だけでなく実体験として分かっている人も多いです。だからこそ、創業期のメンバーがどんな文化を作るかに、未来のnewmoの姿がかかっている、そんな気持ちで組織に向き合っている人ばかりです。当然責任も重いけれど、今のフェーズだからこそ味わえる醍醐味ですよね。

yui_tang:まだ創業したてのこの時期に、ダイバーシティについて課題を感じて、声を上げられるメンバーが属性を問わずいる。そして、その課題感をフラットに受け止めてくれる経営陣がいることは、newmoの強みですね。

例えばnewmoでは最近、女性IT/Webエンジニア特化採用サービスWAKE Careerを導入しました。newmoの採用活動は現在、リファラル採用がメインです。効率よくスキルや経験のある方にジョインしていただける一方で、性別、年齢、バックグラウンドが似通っている人が集まる傾向にあります。多様性のある組織を実現するには、リファラルだけでは同質性が高くなりすぎる懸念を感じていました。そこで、リファラル以外のチャネルとして、経営陣にWAKE Careerの活用を相談したら、快く賛同してくれました。

──newmoは、「移動で地域をカラフルに」というミッションを掲げています。お話を伺っていたら、地域だけでなく「カラフルな組織」も目指しているのかな、と思いました。

yaotti:実は、ミッションを決める議論をしたときに、事業はもちろん、組織もカラフルにしていきたいよね、って話をしていたんです。地域も、ドライバーも、乗客も、そしてnewmoという組織自体も、多様性のあるカラフルなものにしていきたいですね。

yui_tang:私は現在、newmoの一人目女性ソフトウェアエンジニアとして、女性エンジニアのリファラル採用に力を入れています。でも、先ほどyaottiさんが言っていたように、リファラルのみでは同質性の高いメンバーが集まってしまいます。性別だけでなく、年齢もバックグラウンドも多種多様なメンバーでチームを作っていきたいと思っています。

newmoの事業はもちろん、DE&Iへの考え方に共感していただける方や、何か一緒に取り組んでみたい方は、ぜひ一度newmoのカジュアル面談や隔週開催の紹介制イベントBeer Bashにお越しください!

【告知】イベント登壇のお知らせ

女性IT/Webエンジニア向けハイスキル転職サービス「WAKE Career」を展開するbgrass社主催のイベントに、この記事で対談した、yaottiとyui_tangの2人が登壇します!

日時:8月1日(木)19:00〜20:00
形式:オンライン(WAKE Career登録者限定でアーカイブ配信あり)
申込方法:下記connpassページより登録

(執筆:フリーランス仲 奈々)