「ウィズコロナ」ならぬ「ウィズ国債」巨額化した借金と上手く長く付き合わざるを得ない
対立する財政再建派と積極派の代表的論稿
両者間違ってはいまいが、ストンと落ちない
世界が大恐慌から脱け出せていない1933年4月、米国のルーズベルト大統領は、財務長官ら側近たちとの会議で、金本位制からの離脱を告げた。側近たちは大騒ぎになった。「3人の金融のプロは、ルーズベルト大統領がかくも重要なことをいとも簡単に言ったことにあきれ、2時間にわたってインフレの危険性と恐ろしさについて半狂乱になってルーズベルトに説いて聞かせた」。
会議からの帰路、ダグラス予算局長は、後に内務長官になるウォーバーグに、「これで西洋文明は終わった」とまで嘆いたという(『アメリカ市場創世記』ジョン・ブルックス著、パンローリング)。
金本位制からの離脱により、ドルは、金という重しから解き放たれ、安定さを失った代わりに自由に発行できるようになった。信用創造のステップを上げたのだ。米国は通貨量を増やし、インフレ政策が功を奏し大恐慌からの回復を速めた。
銀行が預金の範囲内でしか貸し出さない経済を想像すれば、経済の成長にはマネーの供給、信用創造が必要なことがわかる。しかし、信用創造が行き過ぎれば、日本のバブル崩壊やリーマンショックが待っている。