「帝なんて私には関係ない」の幸福 自分の名と業績を懸命に売り込む奴ら

「鼓腹撃壌」って覚えていますか?
理想郷から真逆へ真逆へ

 高校の漢文で習った「鼓腹撃壌こふくげきじょう」は、民が満ち足り、平和に楽しく暮らしている様をいう。

 古代中国の神話に登場するぎょうは、よく国を治め、周囲に崇められたが、民の実際の暮らしはどうか気になっていた。

 尭は民に変装し、賑やかな街に出て様子を見た。1人の老人が食物をほおばって腹鼓をたたき、足でつちを打って拍子をとり、歌っていた。

 「日が出れば仕事をし、日が沈めば休む。井戸を掘って水を飲み、田畑を耕して食べる。帝なんて私には関係ない」

ここから先は

2,152字
この記事のみ ¥ 200