インドをめぐる ステレオタイプの弊害 コロナ報道と炎上動画から 何が見えるか

🔻果たしてインド全てを意味する映像なのか
  行政の対応が遅ければ住民が動くことも

 ガンジス河で沐浴する大勢のヒンドゥー教徒。雑踏のなかを練り歩く人びと。多数の支持者を動員して行われる、お祭りのような大規模選挙集会――どれもインドが海外に紹介される際の定番とも言える風景だ。

 今年4月から5月にかけて、日本のテレビではこうした映像が連日流された。前向きなテーマだったら良いのだが、残念ながらそうではない。インドに新型コロナウイルスの第2波が到来し、同国で確認された変異株が猛威を振るっていることを伝える報道だった。

 「インド株」と言えば、昨年まではタタやリライアンスなど企業の株式のことだったが、今ではインドで確認された変異ウイルスを指すようになってしまった。WHOは変異が生じた国の名前を冠すのではなく、ギリシア文字を使って表すようにしており、インド型は「デルタ」だが、まだ浸透していない。

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