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新連載・ヴァイオリン竹中勇人「あくまでも個人の感想です」 …序章

《斜め上のさらに上で2回バク転して着地しない》(どういうこっちゃ)みたいな人の集まりの新日本フィルの中でも《一周と言わず二周半回ってもはやまっとうかもしれない》(どういうこっちゃ)というヴァイオリン竹中勇人がnoteに登場!
楽員との対談の中から楽員の持つ本質を探していく…みたいな企画をスタートさせます、今回は序章です。


テレビのCMなどにでてくる「あくまでも個人の感想です」、あれが好きだ。
責任がどうだとかでなく、ツッコメる余地があるところがいい。


人間だって何だって完璧でないところ、隙があるところに親しみを感じたりすると思う。批判を承知でいえば、音楽なんて「あくまでも個人の感想です」の固まりだと思う。正しい、正解はわからない。ただ本当の感動は確かにある。しかし同じ演奏にも賛否が別れることはよくある。

「あくまでも個人の感想です」を越えるには、やはり平素と演奏の実績の積み重ね以外にはないのかな。となると、最終的には「人」が大事ということなのだろう。



最近、新日フィルではコミュニケーションを取ろうという社命がでている。アンサンブルなんてズバリ「コミュニケーション」そのものでないか?とツッコミたいのではあるが、しかし人一倍シャイな自分にとっては皆さんとお話できるチャンスかもしれない。
そんなわけで第一回はヴィオラの原孝明さんにお話を伺った。

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原孝明…新日本フィルヴィオラ奏者
長野県松本市出身。立教大学文学部卒業。東京藝術大学別科修了。ヴィオラを白尾偕子、百武由紀の各氏に師事。1996年入団。


原さんはヴィオラ奏者であるとともに、奏者の代表として様々な運営上の問題を解決することに取り組んでいただいている。
私の家から自転車で行けるくらいのチョイご近所さまであるが、私の印象は優しいお兄様である。

とにかく年下でもある自分の話をよく聞いてくれる。気づけば自分がしゃべり過ぎてしまったと反省するばかり。

さんざん話を聞いてくれた後に、原さんは的確なコメントをおっしゃる。
自分はなかなかこうはなれない…。

何年前だったか、トリフォニーホールでの定期演奏会のロビーコンサートを弾くことになった時に、一曲目がハイドンだからハイドンという理由だけで選んだヴァイオリンとヴィオラのための二重奏を準備期間があまり無いにもかかわらず快諾(あくまでも「私」個人の感想です)していただいた。私の思いつきに付き合っていただいただけでなく、演奏の形をつくっていただけたのは、いまでも感謝している。

拘りはあまりないと言いながらも、以前定期演奏会のパンフレットに載った「金継ぎ」だけでなく、子供の頃にやっていた剣道の話や好きな食べ物の蕎麦の話もしていただいた。(原さんのお話しなどは次回!)

聞けば聞くほど、話せば話すほど、知れば知るほど味がでる。まさに職人というのはこういう感じなのだろう。

長く新日フィルを聴きにきてくださっているお客様のなかには、「トリフォニー」という季刊紙をご存知の方もいらっしゃると思う。
98年冬号の楽員名鑑の中に音楽家でなければ選んだ職業の欄で原さんは「バーテンダー」と答えている。

これだ。

すぐに目につくわけではわけではないが、そこにしっかりとあって味がある。
ヴィオラらしいのかもしれない。(ヴィオラらしさとは何かも次回!)

指揮者やソリストももちろんだが、時にはオーケストラ奏者一人に拘ってみてみるのも面白い。きっと見れば見るほど、彼の拘りをさりげなく表現している姿を楽しめるに違いない。

「あくまでも個人の感想です」(竹中勇人)

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ライター・竹中勇人
給費特待生として東京音楽大学附属高校を経て東京音楽大学に入学。在学中には定期室内楽演奏会のソリストに選ばれ、景山誠治氏と共演。さらに2000年には東京音楽大学のヨーロッパツアーに参加。ハノーバー、ベルリン、ケルン、ザルツブルグの各都市で、西村朗氏のNirvana ~ソプラノ、弦楽四重奏とピアノのための~(2000年)の初演を行い好評を博す。ヴァイオリンを二村英之氏に師事。L. Kaplan のレッスンを受ける。現在、新日本フィル第1ヴァイオリン奏者。

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