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僕のレンズで見た世界 #4

新日本フィルハーモニー交響楽団のコントラバス奏者・城 満太郎(じょう まんたろう)の趣味はカメラです。子供が産まれたことをきっかけに始めたカメラでしたが、好きが高じて、今では演奏の仕事に加え撮影の仕事もするようになりました。

誰でも簡単に綺麗な写真が撮れるようになった現代ですが、やはりそこは人間がやること。どんなに綺麗に加工しても、滲み出てしまうその人の個性や考えていることは隠せません。だから面白い。
今回から始まるこのnoteでは、城のレンズを通した世界を城の言葉と共にご紹介します。
ステージ裏や、リハーサルの様子、そしてホール周辺の街並みなど、奏者目線の写真をお楽しみください。

(以下、文と写真は全て城満太郎による)

新日本フィルハーモニー交響楽団 note班の楽員名鑑記事『僕のレンズで見た世界』から、この度独立してマガジンを持つ事になりました。


さて何を書いたら良いのかなと思いながらしばらく時間が経ち、note班のボスからは「記事は書けましたか?」と優しいお言葉をいただきながら今日にいたります。


タイトルに立ち返って、このマガジンでは新日本フィルのコンサートやその周辺を写真と文章で紹介していこうと思います。


今回はオーケストラのコントラバス奏者の席から見える風景を紹介しようと思います。


この日、新日本フィルはとある演奏会に向けてリハーサルを行なっていました。


私の席から指揮者方面をみたらこんな風景。

目の前にはチェロ群がいます。


チェロとコントラバスは時に協力をしてオーケストラを下から支えたり、全体の推進力を担ったりするので近いところにいると音響的効果が高くなります。なので配置の種類が変わっても近くに置かれることがとても多いのです。


配置の種類と出てきましたが、このリハーサルではいつもの新日本フィルとは違い指揮者からみてコントラバスが左手にセッティングされる「対向配置」という並び方で置かれています。


この日のコントラバス奏者・城は対向配置で第1プルト(譜面台の意)に座っています。


右側には第1ヴァイオリン奏者の松宮麻希子。いつも朗らかな笑い声をバックステージで聴かせてくれますが、演奏中はもちろん真剣な眼差しで楽譜と指揮者を見つめています。

ここでコントラバスの位置からステージ後方を見上げてみましょう。


ステージの一番後ろにはオルガンが設置されています。


なんとこのオルガンは見えるところ、見えないところ合わせると4735本ものパイプが使われているそうです。それを66のストップと呼ばれる音色のバリエーションごとにまとめられているそうです。


では、このオルガンの位置からオーケストラ全体を見下ろしてみようと思います。

指揮者のすぐ右側に第1ヴァイオリンの席が並んでいます。そして左側には第2ヴァイオリンが並んでいます。


旋律と対旋律をそれぞれ担当することがおおい第1、第2ヴァイオリンですが、このような配置にするとそれぞれが左右から立体的に響くことから好む指揮者もいらっしゃいます。


通常配置と呼ばれるものが「通常」になったのは、およそこの100年くらいのことだと言われています。それまではこの対向配置が「通常」だったのかもしれません。



指揮者とリハーサルの合間にスコアを検討しているのは、打楽器奏者の柴原誠とヴィオラ奏者の中恵菜です。スコアの解釈や演奏上の合意をリハーサル中に指揮者としっかり取っておくことで、いい演奏会に向けての準備を万端にしていきます。



この時のリハーサルは新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ(WDO)でした。


マエストロはみなさんご存知、新日本フィルミュージックパートナーにしてWDO音楽監督の久石譲です。久石とは2023年9月の定期演奏会でもご一緒します。委嘱新作とマーラーの交響曲第5番との組み合わせとなりますのでどうぞお楽しみに。


(各写真は掲載の許可をいただいており、無断での転載はお断りいたします。)

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城 満太郎 (じょう まんたろう)

千葉県出身。東京藝術大学音楽学部を卒業後渡独。ベルリン・ハンスアイスラー音楽大学卒業、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団より奨学金を受け同オーケストラアカデミーにて研鑽を積む。吉田秀、永島義男、エスコ・ライネ、マティアス・ウェーバー、スラヴォミル・グレンダの各氏に師事。
2011年入団。現在新日本フィル コントラバス・フォアシュピーラー。

Twitter:@JMantaro
Instagram:@MANTAROJO

ヘッダー写真:木下 雄介
その他の写真と文:城 満太郎

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