イケメンは人事制度に夢を見る
自己紹介は別途書くとして、ちょうど今、評価制度設計をしてるんですが、メインを任せているメンバーの佐藤くん(仮、イケメン)と意見の相違がおこっており、なかなかエキサイティングな議論をしています。すげー楽しいなと思いながら仕事をしています。
我々の意見の相違はこんな具合です。
彼の提案する制度は
・評価項目それぞれに点数をつけて、集計する
・点数はできるだけ客観的に付けられるようにする
・期初にどこまでできたらA評価か、どうしたらB評価かを握っておく
一方僕の考える制度は
・できるだけ評価項目は少なくし、上司が主管に従い評価を付ける
・上司は評価結果に対して説明責任を負う
・評価結果をフィードバックするときに「評価軸」にのっとって説明を行
う(例えば、行動で評価するのなら、どの行動が評価されてA評価をと
ったか、どの行動が悪くてE評価なのかを伝える。それ以外の要素では
伝えてはいけない)
という違いです。
彼と僕の意見が相違する原因は
評価制度に期待しているものが違う
ということです。
評価制度とは、会社がきめたモノサシで一人ひとりを図り、点数付けをすることであり、モノサシもしくはモノサシの決め方を規定するのが評価制度です。
では、評価制度の「正しさ」とは何でしょうか?言い換えれば、この制度はいい制度だと言えるのはどういう点でしょうか。ここが彼とのギャップになっています。
佐藤君は「成果などモノサシに基づき正しく並んでいること」と定義しているようです。なので、より正確に順番がつけられる方程式を考案しようとしています。
一方僕は「自分(評価者)が思った順番になっていること」だと思っています。なので、適当(?)に順番を付けて、後から説明しやすくなるようにしています。
別の表現をすると、佐藤君は「客観的な順番で並べられるモノサシ」であることを制度に期待しているのに対して、僕は「この順番が正しいと説明するための言い訳」になることを制度を期待しています。
人事制度に夢を見るのは若気の至りか、あるべき姿の追究か?
実をいうと、制度設計に携わる前には、佐藤君のように当社における人を図る万能な方程式の考案を考えていた時期が僕にもありました。
しかし、その方程式が万人に納得されることはありませんでした(ある部門にはうまくいっても、別の部門にはうまく当てはまらないなど)
また、結局どのルールに従っても「評価が悪かった人は納得しない」という点に気づいたのでした。
そして、納得しない人のリアクションは
・低評価にショックを受けてデモチする
・「仕方いっすね」と、わかったふりをしてデモチする
・この会社の評価制度(ルール・モノサシ)がおかしいと言ってデモチする
ことが主です。
では、これらの人をデモチさせたいのか?という点でいうと、この人たちに厳しい評価を伝える理由は、「今より改善してほしい」「今より成長してほしい」という思いを伝えることです。
となると、本人が「前向きに割り切れる」ようにナビゲートすることが上司に求められることではないか?という点です。
その役割を求める場合、上司は自分の責任で評価を決め、自分の言葉でメンバーに伝え、メンバーに前を向かせることが求められるのです。もちろん、調整会議など様々な要素で、自分の責任以外で評価が決まることもあるかもしれません。しかし、それに向き合い評価を伝え、前を向かせることが上司の重要な役割といえます。
佐藤君の求める評価制度によって、万能な方程式が発見され、自動的に点数が出てきて、それを伝えるだけなら上司にとってこれほど楽なことはないでしょう。それで部下が納得してくれるなら。
しかし、実際は納得できない。この方程式がおかしいという声が噴出すると思います。仮に正しくても。なぜなら、その人は自分がいい評価をもらえてしかるべきだと思っている人なのですから。
制度は願い。制度はメッセージ。
制度は会社からのメッセージです。どういう人を評価するか?どういう行動を賞賛するか?そして、組織のパフォーマンスに貢献した人が誰か?
そのために、自分のどこをどう改善したらより高いパフォーマンスがだせるかを理解してもらうことが重要です。それは、点数が見せてくれるのではなく、上司のかかわり方が重要になります。というか、上司にしかできない仕事です。どんなに細かい制度を敷いても、一人一人の行動とのギャップを把握をつまびらかにすることは不可能だからです。
制度はマネジメントを楽にさせるツールではありません(苦しめる道具である必要もないですが)。
ならば、マネジメントは真摯にメンバーと向き合い、組織・事業の発展と、メンバーの成長との両立を目指せるように後押しをする制度を作りたいと思っています。きっとそれが会社の中長期的な発展につながると思います。
というわけで、明日も佐藤君(イケメン)とのディスカッションを楽しみたい思います。
※とはいえ点数型の人事制度は楽ですし、マネジメントのレベルを問わないので、全否定はしませんよ。
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