浪人するかどうかはあなたの「こだわり」から考えよう
こんにちは。予備校講師・受験コンサルタントのシンノです。
各大学の合格発表が進み、残念ながら第1志望校に合格できなかった方の中には、浪人するか迷っている人もいることと思います。近年は、「受かったら進学、浪人は回避」という傾向が強まっていますし、浪人には経済的負担が増すという側面もあります。ただ、納得しないで無理に大学に進学した場合、大学生活を満喫できず、最悪の場合は途中退学という場合も出てきます(実際に、最近は退学・休学して年度途中から予備校に通う方も増えています)。もしこうなってしまったら、後々の負担はより大きくなってしまうと言えるでしょう。少しでも悩む気持ちがあるなら、この時期に真剣に考えてください。
浪人するか迷う方に私が声をかけるとすれば、「自分のこだわりは何かを考えてみよう」ということです。こだわりなんてない、という人もいるかもしれませんね。でも、本当に大学に対してこだわりがないなら、この大学全入時代において浪人するかを迷う場面など出てくるはずがないのです。何かにこだわりがあるはずなんですよ。
①「大学で学べること」にこだわるあなたへ
「学びたいことが学べる大学に行きたい」という観点で大学を選んできた方は、今、合格証書を受け取っている大学で学べる内容を改めて確認してみてください。あなたの学びたいことが学べるのなら、浪人せずに合格している大学に進学すればよいと思います。逆に、学びたいことを学べないようなら、絶対に浪人すべきです。一度進学したのに休学・退学して再受験する方の大半は、大学で学びたいことと実際に学べることにギャップがあることが原因。この点を無視して大学に入っても、進学先に満足できる可能性は極めて低いでしょう。逆に、たとえ滑り止めのような大学でも、学びたいことが学べるならあなたの大学生活は充実できるはずです。大学受験でくすぶっているよりも、いち早く大学に進学し、そこで学びたい科目を教える先生に師事し、多くのことを吸収して先の未来を考えた方がよいと思います。
②「大学のランク」にこだわるあなたへ
一方、こだわりが「大学の名前・ランク」である人で、特に学部にこだわりがなかった、という人は、自分の中で許容できるランクの大学に合格できていないのなら浪人した方がよいでしょう。あなたは、ここでこじらせると一生、学歴コンプレックスになる恐れがあります。例えば、本意ではない大学に入って就職活動に失敗してしまったら、「学歴が低い」ということが原因だと考えてしまうかもしれません。もちろん、学歴フィルターが存在すると言われる総合商社のような業界もありますが、多くのそうではない業界でも、同じように自分がうまくいかない要因が学歴にあると考えてしまいかねません。ひょっとしたら、この先の人生でうまく行かないことがあったときに、その原因のほとんどを学歴に求めてしまうかもしれない。
こうならないためには、まずあなたが受験というものに対して「成仏」する必要があると思うのです。であれば、仮面浪人といった中途半端な対応をするのではなく、ちゃんと1年予備校に通い、大学受験と真摯に向き合い、全力を尽くして志望大学合格に挑むべきです。仮にそれで失敗しても、全力で取り組んだことで後悔が残らなければ、次のステップへ進むことができるでしょう。1年の猶予の間に、学びたいことがはっきりと見えてくる可能性もあります。そうすれば、より有意義な大学生活にもつながるのです。
③すでに1浪(以上)しているあなたへ
さて、ここまでの話は、主に現役大学受験生を中心に述べてきました。社会に出てしまえば1浪など誤差です。納得して大学進学できることを優先した方が、あなたの将来にはプラスのことが多い。
でも、2浪以上だと負担の面も大きくなってしまいます。医学部志望のように学びたいことが極めて明確な人は仕方がないと思いますが、そうでない人は、合格している大学の中で学べることに興味のある内容が本当に無いか、確認してみてください。もし、少しでも興味がわくようなら進学を考えてみるのも1つの選択肢です。1浪時と2浪時で明確な成績上昇が見られなかった人は特にそう。率直に言えば、受験勉強はあなたにとって得意なフィールドではなかったのかもしれません。また、残念ながら、病気などやむを得ない事情がないにもかかわらず1浪時に真剣に勉強できなかった自覚のある人が、2浪時に心を入れ替えられる確率は極めて低い。2浪で成功する人は、1浪で本気で勉強した人なのです。大学に進学して、全然違う学びを経験することで、もっとあなたに合うフィールドがあるかもしれないのですから、次のフィールドに進むことも悪くはありません。
いずれにせよ、浪人は1年だけという覚悟が大切です。1浪する決断をした人も、それ以上の浪人生活に入る人も、今年1年だけということを心に決めて、今の時間を大切に過ごしてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?