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『藤井猛 生誕祭』に、つきそった。


9月23日に駒テラス西参道で開催された「藤井猛 生誕祭」に参加してきた。長男のつきそいである。まさか将棋棋士の生誕祭に参加することになるなんて、いやはや子育てというのはいつも自分を思いがけない場所へと連れて行ってくれる。

イベントの内容は「SNS投稿禁止」とのことだったし、そんなことを言われなくても門外漢である自分にとっても軽々にSNSに書いていい内容が少なくないことは分かった。もちろん、それはファンには素晴らしい内容だったということだと思う。

ちゃんとしたレポートは専門家(?)の方がnoteに書いてくれているので、そちらをご覧になるのが良いと思う。

ただ、貴重な機会だし個人的に感じることがあったので、自分も少し書き残しておきたいと思った。

◆息子はなぜ藤井先生を敬愛するに至ったか。

なぜ「藤井猛 生誕祭」に参加することになったのかと言えば、それは「藤井九段」が息子の最推しの棋士であるからだ。数多いる憧れのプロ棋士の一人ではない。最も推していて、心の底から敬愛しているのが藤井九段なのである。9歳の誕生日プレゼントは「藤井猛 全局集1」、10歳の誕生日プレゼントは「藤井猛 全局集2」であった。

しかし将棋歴わずか1年半足らずの10歳が、なぜ藤井先生ファンなのか?いぶかしく思うかもしれない。藤井先生の竜王3連覇も藤井システムが一世を風靡したのはもちろん彼が生まれる以前であり、角交換四間飛車で鮮やかにB1に復帰された71期順位戦が行われたのは彼が生まれた年だからだ。ましてや今、「藤井ファン」と言えば将棋界では竜王・名人を連想するのが普通である。「え、あっち(竜王・名人)じゃなくて?」と将棋友達の親御さんに驚かれたこともあった。

それは非常に個人的な経緯が関係している。彼が将棋を覚えた時、まず手に取ったのが実家にあった30年以上前に発行された入門書だった。そこにはこう書いてあった「四間飛車は、初心者にオススメの戦法」。そこから四間飛車を指すようになった息子は本屋で初めて自分のおこづかいで棋書を買おうとする。その時に選んだのが、「四間飛車上達法」なのである。それをボロボロになるまで読む中で、彼はすっかり藤井ファンになってしまったのだ。そして上野六段の著書などを通じて、「藤井システム」という将棋の歴史を変えてしまうような戦法を生み出した棋士と知りますます好きになった。

もともと息子は、将棋の前に取り組んでいたポケモンカードなどでも環境メタのようなデッキを握るのではなく、独自のオリジナル構築のデッキを好むタイプだったし、それで結果を出すことを世界で一番カッコいいことと考える人間だった。

だから、どういうルートをたどっても息子はきっと藤井ファンになっていたと思う。しかし、その彼が本棚で手に取ったのが「四間飛車上達法」というのは、なにかの引力という他がない。後は雪玉が坂を転がるように、藤井先生に関する情報を集めますます敬愛するようになっていったのである。

◆そして当日へ

そもそも人気棋士であることは知っていたし、生誕祭というイベントがめちゃくちゃレアであることは分かっていたので、「当たらないだろう」と半ばノリで申し込んでいた。なので当選を知った時は、本当に驚いた。倍率6000倍くらいになると思っていたので、ちょっと当たった時の想定はしていなかった。
※実際は30名の枠に、100名の応募だったらしい。それでも十分、当たってラッキーなんだけど。

ちなみに、この当選を知った日に息子は初段に認定されており、とんでもないお祝いをいただいた気持ちになった。とりあえず息子が着古したTシャツしかもっていなかったので、新しいポロシャツを注文した。自分は持っている中で2番目にいい靴を選んだ。


冒頭、プレゼントを渡す山本先生

当日、つきそいなのに少し緊張していた。そもそもこういった将棋イベントに参加することも初めてだったし、そこに子どもを連れてくること自体、非常識と思われるんじゃないか(※)とかいろいろと心配していた。筋金入りの藤井先生ファンが揃う中で、将棋ファンですらない自分が子どものつきそいとかいう立ち位置で参加する事にも引け目があった。
※子どもが参加してもOKかは事前に問い合わせていたものの…

また息子が3時間近いトークショーを落ち着いて聞けるのか?というのも親としては心配な点だった。しかし、全ては杞憂に終わった。(当然ではあるが)子連れでも暖かく迎えていただいたと思うし、また息子も(冷房が寒かったらしく)終始もぞもぞしていたものの、ケーキをこぼすこともなく最後まで藤井先生と山本先生の話に真剣に耳を傾け、手を叩いて笑っていたので安心した。

お話しされた内容は上述したように書くことはできないけれど、真剣な話あり笑える話ありで藤井先生のサービス精神を非常に感じることができた。山本先生の存在も素晴らしかった。ディープな藤井ファンの一人として若手棋士として、時にはガイド役、時にはツッコミ役、時にはいじられ役を演じ話に奥行を与えてくれた。そして藤井先生のお話しの端々から垣間見えたのは「新しいことに挑戦する」「常識に囚われない」「人と同じことはしない」といった姿勢への真摯さだった。それは峻険とも言えるほど強烈だったけど、同時にひどく魅力的だった。つきそいだったけど、ファンになってしまいそうである。

つまりは息子が敬愛するようになったのが本当にこの人で良かったと再確認できた素晴らしい夜だったのだ。

笑顔すぎる長男

最後に、藤井先生、山本先生、将棋連盟や駒テラスのスタッフの方が、素晴らしい企画をありがとうございました。もし来年も空前絶後とならず開催されるなら6000倍にもめげずに申し込みたいと思います!

#帰ってから息子は何か触発されたようで、謎の戦法をずっと検討していた。

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