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響け!ユーフォニアム3 12話 感想というかお気持ち長文

前置き、この文章は2024/06/24、ユーフォ3の12話テレビ放送翌日から書き記す物である。
私自身は全ての原作小説を未読の状態で3期を視聴しており、なおかつユーフォにハマったのは昨年劇場公開されたアンサンブルコンテスト編からという長年のユーフォファンからすると歴の浅い人間である。

12話の感想というかお気持ちをつらつらと書き連ねていきます。基本的に視聴前提の書き方になるのでネタバレなど含みますので未見の方はご注意ください。

いや〜本当にとんでもなく衝撃的な12話でした。放送前の予告を見たときに非常に緊張感が漂う回になるんだなぁと予測していたのですが、まさかまさかの…
正直、さすがに最後は黄前久美子になると思うじゃないですか。それで黒江真由の扱いはどういう風になるんだろ?ただの悪役で終わらせるわけないしなぁ…と思っていたら…
いいかげん見た人はわかっていますがソリは黒江真由に決定し、最後の一票で決まる状況で選んだのが高坂麗奈という不満を言える人間がいなくなってしまう決着。
その決着に対して恐怖に震える黒江真由、その決定を部長として支えた黄前久美子。
自分の中ではとんでもなく素晴らしいシナリオであり、それぞれのキャラクターの感情を余すことなく表現したアニメーションは筆舌し難い素晴らしさでしかなかった。
賛否両論生まれる内容であることは承知していますが、私自身はこの12話に対し、最大限の賛辞を送りたいと思っています。

さて本題、賛否分かれる内容であるため、私自身は賛の立場なので不満を述べることはないが、否の人もいるでしょう。長年見続けてきた最後がこれかよ…久美子でいいだろ…と言いたくなる気持ちは理解できます。
原作は未読なので分かりませんが、これまでのアニメのユーフォは決して王道的な物語ではなく、一所懸命にやってもそれでも負けてしまうことがあるという物語でした。
香織先輩がソロパートを吹けなかったこと、希美がみぞれに及ばなかったこと、優子部長のときには全国大会に進めなかったこと。これまでも悔しさに包まれてしまった人を見てきたはずです。どんなに頑張っても思い通りの結果になるとは限らない、ということがユーフォの根底のテーマにあるとおもいます。
今回の久美子も、全力で頑張ってきたことが期待した結果を招かなかった、という目を背けたくなるような結果になってしまいました。このことは本当に辛い、誰しもが受け入れ難い出来事であります。
原作では久美子がソリに選ばれて全国大会にのぞむ、というのをTwitterで見かけました。私は未読ですが、それはそれで素晴らしい物語になると思います。そんな中、今回のアニメではわざわざ改変して、こんなにも辛い感情をもたらすようにしました。改変した真意は今のところスタッフの方にしかわかりません。しかし脚本、監督を筆頭にスタッフの方々、そして原作者の方もこの改変に賛成したからこそ今回の大きな悲しみが描かれる12話が生まれたのです。
これまでのユーフォ3期全体を通じて、辛い状況が描かれることが多かったように思います。具体的にはオーディションが始まった6話から9話、チューバ2年のさっちゃんが地区大会で選ばれなかったり、合宿でのオーディションで久美子がソリに選ばれなかったり、麗奈から部長失格と言われてギクシャクしたりと、見終わったあとにかなり辛い感情で終わったのを覚えています。ユーフォを見ている方ならご記憶にあろう10話、府大会前の久美子の大演説でバラバラになりかけた部員たちをまとめ上げたとき「あ〜!一気に捲ってきた!良かった!」と北宇治ファイト〜!の掛け声を聞きながら思ったものです。
この6話から9話という3回分の放送、辛い状態に居続けさせるというのは正直かなり長く感じました。昨今の見切れないほど多くのコンテンツがある環境でここまで長くストレスになるような作品は途中で見るのを辞めるなど、避けられてしまうのではないかという危惧があったのではと思うのです。
このような話数構成を行えるのは、厳しい道のりでも、これまでのユーフォシリーズを見届けてきたファンであるならば、途中で離れることなくついてきてくれる、という製作陣からファンへの相当な信頼があったからではないでしょうか。今回の久美子がソリに選ばれなかったという選択を原作改変してまでおこなったのは、このようなファン、視聴者をとても信頼しての決断だと思うのです。

話が少し変わりますが、“原作改変”というと、とても悲しい事件が思い起こされます。テレビドラマ版セクシー田中さんの製作時における原作者の意向を無視した原作改変が行われようとしたことをきっかけに起きてしまった悲しい事件です。私自身、この事件が起きた後に原作である漫画のセクシー田中さんを読みました。現在もアプリで結構な量が読めますのでご興味あるかたはぜひ読んでみてほしいです。原作のセクシー田中さんは本当に一話からとても面白く、みるみる惹き込まれていきました。本題ではないので軽く触れる程度にしますが、様々に思い通りにならない中でよりよい人生を生きるために挑戦している人を優しく応援する、それでいて話がテンポよく、小気味のいいギャグが面白い本当に稀有な傑作でした。そして本当に様々な立場の人達に配慮した繊細な作品であるとも思いました。
私は一連の事件の後に原作を読んだため、テレビドラマ版を製作するにあたって改変されようとしたことが、なんとなく理解できました。近年のテレビではとにかく「わかりやすさ」が求められるため、原作の複雑で繊細な配慮を「わかりやすく」したかったのだろうと思いました。
テレビというのは一時期と比べ影響力が減ったと言われますが、本当に多くの人が視聴し、社会に対して影響を与えられるメディアです。しかしながら、途中から見る、スマホを見ながら見るなどしっかりと向き合って見られるだけではない、視聴者によって向き合い方の温度差が大きいメディアでもあります。そのため「わかりやすく」ということはテレビというメディアではとかく求められるように感じます。
セクシー田中さんの魅力の一つである様々な人々に配慮された繊細さ、というのはテレビには向かない、もっと「わかりやすく」すべきというテレビドラマ版製作側の意向はある程度理解できました。ここにはテレビ製作側の繊細な部分は、視聴者には理解されないという暗黙の姿勢、進めていえば、テレビは視聴者を信頼していない、ということがあると私は感じました。

話をユーフォに戻します。セクシー田中さんで行われようとした「わかりやすく」するための安直な改変に対し、あえて理解されがたい茨の道を進んだとしているユーフォでの改変。ここには視聴者に対する信頼というものが大きくあると思うのです。
さらに言えば、京都アニメーションという会社はご存知のようにとても大きな困難と挫折に見舞われた会社です。その人たちが12話のような辛くやるせない物語をわざわざ選び、描いているということは他の誰にもできない、唯一無二の表現であると思います。

12話の結果に納得できないという方の感情は理解できますし、そのような感情を抱くことは自然であると思います。私も12話をみてマジでつれぇわ…と率直に思いました。それと同時に、この選択をしたスタッフの方々に対して、とても勇気と覚悟が必要であったということをどこか片隅においていただければと思います。

そんなんゆうても辛いもんはつらいん、納得できんもんは納得できんのや、という人もいらっしゃるでしょう。本当にユーフォという作品を好きでいらっしゃるんだと思います。そうでしたら今現在、一番辛い状態にあるのは久美子と麗奈であるということを思い出してほしいです。そして彼女たちの悲しみに寄り添ってあげていただけないでしょうか。長く見守って来た人にしかできないことだと思います。どうやったら寄り添えるのか考えていただきたいです。
当たり前のことですが響け!ユーフォニアムという物語はフィクションであり、久美子や麗奈という人物は実在しません。実在しない人物を想うなんてバカバカしいと思われるかもしれないですが、虚構の人物であろうと、眼の前にいる実在の人物であろうと、どんなに理解しようとも人間の感情というものは絶対に正しく伝わらないのです。とくに悲しみにくれている人間では言葉にならない感情でただただ泣いているということもあります。そのときは相手を思いやり、想像するしかないと思います。私はこのような思いやる想像というものは、虚構であっても価値のあるものだと考えています。だから私は映画やアニメなどの物語が好きなのです。

本当に極一部ですが12話の内容に反発してなのか誹謗中傷等の言説を見かけてしまいました。ただでさえ12話で心がぐにゃあとなっているところに追い打ちをかけるように私の心はぐにゃあとなってしまいました。どんなことであっても誹謗中傷はして許されるものでないので辞めていただきたい。人間は辛い感情を発散させる一つの方法に、他者を攻めるというものが元来備わっているように思います。ユーフォという作品が本当に好きだからこそ、辛い感情がより強くなっていると思いますが、どうかその行動で久美子や麗奈が喜ぶのか、悲しみに寄り添うということはどういうことなのか考えていただきたい。
今回のような辛い、理解され難い、「わかりにくい」物語に対して誹謗中傷が集まってしまうのであれば、テレビドラマ版のセクシー田中さんで行われようとした安直な「わかりやすい」物語への改変しようとしたことが正しかったという証明になってしまうと危惧しています。

長々と書き連ねていますが、とにかく最終回である13話を楽しみに待ちたいです。私は”ソリに選ばれなかった=報われなかった”というような安直なものにユーフォスタッフはしないと思います。そうじゃなかったら今回の改変をする度胸なんてないです。正直、残り1話で本当に収まるのか、いや収まらないだろうという気がしてソワソワしています。それと12話に関しては賛同していますが、13話で納得できなかったらこの文章すべてをしれっと消していると思います。まぁ何があるかわかりません。楽しみです。

この文章を書くにあたってちまちまと仕事忙しいだぁ湿度が急に上がって眠いだぁやっていたら3日ほどかかってしまいました。自分の心がぐにゃぁとしたことも落ち着き、Twitter上も落ち着きを取り戻しているように見えるので、ある種、今更感のある内容になってしまったなぁと自分で読み返して思っています。わざわざセクシー田中さんのようなセンセーショナルな事件と絡めなくても…とも自分でも少し思います。
とりまとめのない文章でここまで読んでくださったかたがいるのかわかりませんが、モヤモヤした精神を整えるという自分自身のためにこの文章は書いているので公開するべきかやや迷うところもあります。まぁこんなことを長々と考えている人間もおるんか、と思っていただければ幸いです。

最後に、12話の内容に関して、ここまで全くの賛同をしてきておりますが、ifストーリーとして久美子ソリバージョンの劇場版が製作されるのであれば、両手を上げて喜び踊り回ります。「ユーフォ最高〜!」とか涙が止まりませんでした…」とかCMのコメントをいくらでもしますのでユーフォ製作委員会の皆様、何卒ご検討のほどを…
結末を大きく変えてしまうということに関してはアニメ界の大御所が劇場版Zガンダムという先例で切り開いてくれているので全く問題ないです。本当に劇場で見たいよ。

6/28の夜中に追記。
正直12話のショックもかなり薄らいで、もう最終回に向けてただ待つのみ!みたいな状態になってきたので、この文章もかなり遅きに失したものになったので公開する必要もないかな~と思っていたのですが、配信で12話を見返したんですよ。そしたら12話むっちゃ最高だったんだよ!
一回目はオーディションの緊張と落選の衝撃であまりしっかり見れていなかったのかもしれない。黒江真由も久石奏もみんないいじゃんかよ…あと落選のしたあと久美子の演説の時に松本先生が泣いているのがこっそりといいんだよ…
最後にさ、久美子が泣きながら「この気持ちもがんばってを誇りにしたい」って言ってるじゃん。信じて見守ってあげようよ。お気持ち長文とかグダグダ書いたけど、信頼してあげればいいだけだよ。本当に最終回が楽しみ!


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