眺める水曜日(18)12月16日

今日は大型書店へ。白くまばゆい店内にたくさんの新品の本たち。自分はもっと浮かれると思っていたが「目の前の幸せに溺れると『感染』というバチが当たるのでは」という恐れが、目当てしか探すまいと視界を狭める。それでも人々が冬ごもりの伴を求めたり、新年の準備でほくほくしているのは分かった。

「外食も飲み会も旅行も我慢している。好きな本を買うぐらい良いじゃない」というご褒美感が満ちていた。クリスマス前だからプレゼントを選んでいる親御さんもいた。カレンダーも売っている。年賀状も売っている。距離を保って並んでいるからもあるが、レジ前の列が長い。その一員に私もなるのだ。

舞台の物販で買えなかった雑誌と、文庫本や手帳などを探す。久しぶりすぎるのと人の多さで緊張してウロウロしてしまった。文芸誌も演劇誌も、サクッと見つけられた試しがない。もっとメジャーなものにハマりたい。「シアターガイド」が無いのはやっぱり寂しい。唯一分かりやすい目印だったのに。

探していた雑誌はイッセーさんの連載が入っているもの。それさえ読めれば何月号でも良かったが、まったく探せず問い合わせカウンターへ。親切な店員さんに「副題が『特集・悪霊の恋人』でよろしいですか?」と大声で聞かれ、そんなものを自分が探していたなんて、と変に恥ずかしかった。


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