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日本酒の製造年月の表示義務について、考えてみた話

「製造年月」は、上槽年月ではなく、出荷のために瓶詰めをした年月です。
これは、日本酒の仕上げの工程は、上槽ではなく、貯蔵・熟成だからであり、また、出荷が課税されるタイミングだからのようですが、消費者には分かりにくいです。

このままだと、世間一般には、誤解され続けてしまうだろうな、と。
どうしたら、いいのだろう、どう考えればいいのだろう?

日本酒の製造年月の表示には、さまざまな問題が…

まず、今のまま「製造年月」が表示され続けた場合、次のような問題点があると思います。

● 「製造年月」とだけあると、それは上槽年月だと世間一般は思い、日本酒造りの仕上げの工程に、貯蔵・熟成があることが、認識されにくいままになる
● 賞味期限がないのに(*)、製造年月の表示があると、日本酒には賞味期限のようなものがあると誤解されてしまう
● 製造年月があると、そのころだけが飲み頃だと思われてしまい(**)、日本酒の熟成の可能性が伝わりにくくなる

(*)日本酒の賞味期限について

(**)日本酒の飲み頃について

いっそ、製造年月をなくしたら? いや、どうだろう?

分かりやすくするために、製造年月のみならず、上槽年月、出荷年月などをラベルに記載すべきだ、と提案される方々にお会いしたことがあります。

たしかに、次の写真のように、自主的に複数の年月を表示している酒蔵もあり、これは親切だな、と思います。

20210306ミド泉

「2017BY」が醸造年度、そのほかには、製造年月(瓶詰年月)、そして、出荷年月(蔵出年月)が表示されています。
「製造年月(瓶詰年月)」となっていて、「製造年月」だけより分かりやすいですね。

でも、一つのラベルに、複数の年月の表示しようとすると、酒蔵にとっては大変な手間ではないかと。
実際、「ラベルに製造年月を表示するだけでも、年月を更新しないといけないから、同じラベルを使い続けられなくて大変です」とある酒蔵の方がおっしゃってました。
また、情報が多すぎてより分かりにくいと感じる消費者もいるでしょう。

いっそ、「日本酒に製造年月はいらないのでは」と提案してみよう、と思いました。
少し調べてみたところ、製造年月の表示義務があるアルコール類は、日本酒だけのようだし…。

でも、よーく考えてみると…うんっ?
日本酒にしか製造年月の表示義務がないからこそ、これは日本酒の強みになるのでは!?

次回は、製造年月の表示が、日本酒の強みになるかもしれないことについて、考えてみます。


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