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価値とかいうより、いかに大切か

マルセル・デュシャン『泉』という作品は、小便器にサインが描かれているだけなのに評価されました。なぜ評価されたのか、僕にはわかりません。おそらく現代美術を学べばわかるのかもしれません。きっと実物を見ても、本当に価値があるのか?と思ってしまうかもしれません。まあ僕に知識がないだけなのですが。

しかし価値ってなんでしょう。誰が決めるものなのでしょう。わからないですよね。

こんにちは、スタッフの伊藤です。最近また外に出ることが怖くなってきてしまったので、家にある美術作品のひとつを紹介します。

ここに一枚の絵があります。

これは僕の本棚などが置かれ、子が無断で入ることのできない部屋に飾られている絵です。写真を撮るために机の上に置きましたが、その時も触りたいと手を伸ばした子を触らせないようガードして撮影しました。

それほどの絵なのです。青色を基調とし、茶色と白が混ざった幻想的な絵で、僕はたぶんもしかしたら全財産を出してでも買ってしまうかもしれません。

それほど、この絵を僕は大切に思っているのです。
この絵は去年、夏の終わりに誕生しました。
僕はこの絵を見るたびに笑顔になってしまいます。

だって、この絵はまだ0歳の子が1歳になる記念に書いた絵なのですから。

子が生まれて初めて絵を描くために、妻がインターネットで汚れなくて簡単に絵をキャンバスに書くことができる方法を見つけてきました。さすがインターネット、なんでも情報が手に入ります。絵を描けるみたいよ、と教えてもらい僕はすぐに材料を聞いて買いに行きました。
子が描く絵、とても見たい。

絵を描くために必要なのは、ほぼ百円均一で揃えることができます。
文具コーナーで売っているキャンパスと好きな色の絵の具。そしてジップロック。それだけあればもういつでも子、いや未来の巨匠に絵を描いていただくことができます。

まず、キャンパスの上に絵の具を数滴垂らし、ジップロックの中へ入れます。そして、未来の巨匠をお呼びし、頭を下げてお願いして、ジップロックの上から叩いてもらえばキャンパス上にどんどん色がついていきます。

子自身はきっと、絵を描いているという意識はなくジップロックを叩いて遊んでいるような感覚のようで、それでも真っ白のキャンパスには子がなぞった後に色の道ができて、少しずつ絵が出来上がっていきます。

しばらく叩いてもらい、飽きたところで作品は完成。
乾かして、完成品を見た僕は思わず写真を撮ってしまいました。

こんなところで世界的名画が出来上がってしまったかもしれないと思い、僕はその撮った画像をWEB上で貼るだけでグッズにしてくれるサイトに登録し、Tシャツを作成しました。もちろん自分で購入するためです。

また今年も夏の終わりには子にお願いして新作を作る予定です。

多分、子の描いた絵は僕にとっては大切な絵ですが、それ以外の方々には価値のない絵だと思います。
でも僕の中では、とてつもない価値のあるものです。
ところで、価値って誰が決めるものなのでしょう。わからないけれど、自分にとって大切ということを大事にしていきたいと、子が描いたTシャツを着つつ考えました。

余談ですが、特に子の描いたTシャツを購入できるサイトを誰かに教えたわけではないのに、僕以外の誰かが1着購入してくれていました。本当に誰かわからないので、少し怖いとまで思ってしまいました。
どこかの見知らぬ誰かが買うほどのTシャツ。
これは本当にもしかしたら、すごい絵なのかもしれないと一瞬だけ、ほんの一瞬だけ思いました。
一瞬だけです。


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