《質問シリーズ》酸熱トリートメントって続けると髪は傷みますか?
爽やかな曇り空だね!
タマさんだよ!
前のnoteを見て、twtterからご質問を頂いたよ!
ありがとうな!
このご質問が、こうやってみんなの役に立つんだ!
アイ・ラ・ヴュ♡
このポーズは、アメリカの手話でそういう意味なんだよ!
質問 酸熱トリートメントとやらが流行ってますが、やり続けると髪は傷みますか?
美容師さんからのご質問だよ!
これは、たぶん、ほとんどの美容師さんが悩んでて、持ってしまう悩みだろうねぇ。
さもありなん。
ここには、おとなのおかねとめいよが絡んだ、きたないおとなのじじょうってやつがからんでいるんだ!
タマさん、質問お願いします!
はい、どうぞ~♪
の前に、いつものこれ。クリックしてくれよな♪
世間では、酸熱トリートメントとやらが流行っているようです。やり続けると髪がどんどん傷んでいくという噂を聞きました。
やはり髪は傷むんでしょうか?
むー。
やはり、そう思っちゃうよねトホホ(;´∀`)
他にも、同様のご質問だよ。
酸熱トリートメントと髪質改善トリートメントって、何が違うんでしょうか?
その辺りも整理が必要だね!
せいりっていっても、ほけんたいいくでならうアレとは違うからちゅういだ!
クラさんこんばんは!
クラさんって言わないwタマさんだよ!
酸熱トリートメントって癖は伸びますか?矯正の代わりになりますか?
そう、ここなんだよ!
ここが、すべての元凶なのです。
もう一つ、この話題では忘れてはいけない、
ブラジリアンブローアウト ケラチンブローアウトの事も含めて、
今日はここを解説するよ~!
酸熱トリートメントの歴史
正直、よくわかりませんw
ブラジルで発祥した『ブラジリアンブローアウト』がその起源だと言われています。
もしかしたら紀元前にクレオパトラが使ったヘナも、その一種かもしれません。
ヘナにはタンニン酸が含まれており、タンパク質と結合します。
ケミカルな美容師さんたちは、これをアルカリ漬けして更に分解し、
毛髪内に浸透させ、酸で重合させる、というトリートメント技法を使います。
タマコンもその一種です。
このタンニンは1500~2000分子ですが、
最小で確か800くらいに割れて、毛髪内で2こ、うまく行けば3つくっつく、みたいな。
ヘナの発色って、酸化が必要って言いますよね。
2~3日したときが本当の色だ、とか。
酸化促進のためにアイロン仕上げで当日に発色させたり。
ヘナのもう一つの主成分、ローソンが酸により赤く発色するのを、空気やアイロン熱で強制的に酸化させるということです。
酸熱トリートメントにそっくりですよね。
ヘナも酸熱トリートメントだとすると、その歴史は相当に長いと言えます。
それとは別に、”現代の酸熱トリートメントの起源”は、やはりブラジリアンブローアウトでしょう。
これの起源もハッキリしません。
これについて書かれた2つのブログを勝手にリンク。
一つは美容師さん?もう一つは中学生の娘に施術させた一般人の母。
どちらも、美容師さんや一般の方がもちがちな誤解があるようですし、
例えばオラプレックス2~3のシャンプートリートメントと比較するなど、ずれている部分もありますが、実直な、”体験した”感想でしょう。
ちょっとおもしろいブログがこちら
ここで名を挙げられているハリウッド女優『ジェニファー・アニストン』は、ブラジリアンブローアウトの失敗で、自慢の美髪をバッサリとカットする羽目に。
なのに「ブラジリアンブローアウトで髪キレイな女優さん」と紹介されてるあたりが、なんともシニカル。
2013年のその事件、訴訟にはなってないのかな。
映画撮影中とかでもしそうなったら、賠償金とかどうなるんやろか…。
ガクブルっす。
芸能人やりたくねぇ。。。
ブラジリアンブローアウトは、ホルムアルデヒドを使います。
向こうではホルマリンと呼んでますが、濃度45%程度のホルムアルデヒド水溶液をホルマリンと呼びます。
これを髪に塗布し、ブローにより加熱、乾燥させる技法が、
ブラジリアンブローアウト。
生体のホルマリン漬けを見たことがありますよね?理科室なんかにある。
アレは、ホルムアルデヒドのアルデヒド基がタンパク質のアミノ基と結合し、ガッチガチに架橋して固めちゃうから、タンパク質を主とした生体は生命活動を維持できず、腐ることもできない。
脂肪分などにはくっつかないので、絞られ流れ出てカラカラになる。
生体は収縮していくが、これはpH的な酸性による収斂というよりも、
あまりにも架橋されすぎて収縮してると考えるべき。
これを毛髪に行うとどうなるか。
想像はつきますよね。
CMCなどは絞り出され、髪がストレート状態に固まる。
ただし、髪は元から結晶化タンパクが多いため。肉体よりは収縮も少ないし、液体に浸して保存するわけでもないので、数度の施術は平気。
これをやりすぎるとジェニっちゃう訳です。
また、自然酸化や加熱によりギ酸が生じ目や肺に重篤なダメージを与え、市に至るケースもある。
(画像はすべて拾い物です)
昔はこんなふうにガスマスクまではいかずとも、窓は全開、扇風機でガスを飛ばしながら、むせながら施術してました。
上記リンク先ブログにも少しその辺りが触れられています。
今はホルマリンの使用は禁止されてますが、メチレングリコールという容易にホルマリンになりえる物質をまだ使ってるサロンも存在するようです。
ブログにも書かれてましたが、スタイル的なメリットは大きく、
欧米に広まっていきました。
欧米人は頭が小さいことがコンプレックスなので、ジャパニーズストレートは避けたい。
サラサラストレートよりはダメージしたチリチリでもボリュームがほしいというのが実情なようです。
が、ツヤサラにも憧れる。
ちょうど、1つ目のブログの冒頭のyoutube動画の、
このモデルさんが、背景のポスターの髪型になりたいように。
アメリカはブローをする女性が多い。
ブローがそのふわふわツヤツヤの好みのヘアスタイルになるのに近道だから。
そのために便利だったのが、ブラジリアンブローアウトだったんですね。
現代のアメリカでも、ニーズは変わりませんが、ホルムアルデヒドが使えなくなったために、主流はグリオキシル酸となりました。
こちらもホルムアルデヒドほど架橋力はないですが、他成分よりも圧倒的。かつ臭い以外の有毒ガスの発生率も非常に少ない。
他にも、サリチル酸やレブリン酸、フマル酸などが使われるようになりました。
そこに目をつけた日本のメーカーの先走りが、悲劇を起こしました。
成分も、その特徴もデメリットよくわからないまま日本に持ち込み
《パーマ液を使わず、ダメージさせないストレート》
みたいなキャッチコピーで売り始めたんです。
折りしも、ジマレイン酸ビスアミノプロピルジグリコール、いわゆる『オラプレックス』が文字通り世界中でブームになっており、各メーカーが「日本初成分」を求めていたこともあり。
ジマレイン酸~は長いので、単にジマレイン酸と表記します。
これについては、新美容出版社の経営とサイエンス3月号で多くのページを割いて頂き、解説しています。
ジマレイン酸は働かせるのに熱は不要ですから、正確には酸熱トリートメントとは呼べません。
プレックス系などと呼ばれてますが、まぁ、ジマレイン酸は唯一無二なものです。
詳しいことはまた別のnoteにまとめますね。
あるメーカーが、化学に詳しいことをブランド名にした酸熱トリートメントシステムを発売しました。
流石、化学的解釈により、アルカリ水を塗布し、乾燥、アイロン。
その後にグリオキシル酸を塗布するというシステムです。
ランチオニンも応用した素晴らしいシステムだと思って僕もリスペクトしていますが、当時のムードが良くなかった。
次項で詳しく書きます。
その後、各メーカーともに理解を深め、オレンジコスメなどは先発商品をリニューアルしたり、大手が決定版的な商材を発売し始めて、現在に至ります。
使いやすさで言えば、ミルボンのマイフォースあたりは、流石のパッケージングですね。
レブリン酸をメインとしています。
弊社『タマ燦』は、マイフォースの少し前に発売したのですが、本当はレブリン酸も配合したかった。
けど、ミルボン等各社が買い占めてしまい、入手ができなかったため、
今の配合に落ち着きました。
ずっと昔から日本でも、他の目的のために製造されていた成分ですが、急に需要が増えても供給が追いつかなかったんです。
タマ燦は次回リニューアルでレブリンも加える予定にしています。
ハホニコはある一つ(一人)の理論に基づいて設計されています。
プレのアルカリを使わないこと、グリオキシル酸の褪色フォローをシステム化していることが特徴です。
アルカリ不使用なぶん、効果が偏った結果になりがちかな、とも感じます。
長々と日本に酸熱トリートメントが入ってきた経緯を書きました。
それは、そこに今回の本題、
「酸熱トリートメントのダメージ」の理由があるからなんです。
ここでちょっと待て。
酸と酸性の違い
ちょっと混同してる人が多いと思うので。
「酸熱トリートメントって、酸性のトリートメント?」
ちょっとこれはざっくりしすぎ。
確かに酸性ですし、アルカリTr、還元Trと対比的な存在ではあります。
けど、そこじゃなくて、
「”~酸”を使ったトリートメント」と解釈して下さい。
酸性、アルカリ性っていうのは、その状態を表す表記。
酸熱トリートメントでいう”~酸”というのは、その物質です。
例えばフマル酸なら
この物質をトリートメント剤として使用する技法。
それが、酸熱トリートメントです。
この物質を髪のアミノ基に結合させるために、熱を使います。
酸熱トリートメントの失敗
Tamazonとして美容師さん限定のFBグループを作っています。
その中の、酸熱トリートメントについてのまとめ
美容師さんはぜひ、ご参加くださいね^^
この中に、失敗、ダメージについても記載しております。
失敗の原因
最大の失敗は「癖が伸びるはず」という期待のもとに、過度のアイロン加熱、摩擦、牽引を行うこと。
これにつきますw
昔、縮毛矯正がまだなく、パネルに貼り付ける”ストレートパーマ”をやっていた時代。
リングコームの峰やストレッチャーやらストレーナーなるペンチとコームが合体したようなもので引っ張りながら。
今から考えると、伸びるわけがないのに。
ガンガン引っ張ってテンションかけた状態でプラ板に貼り付けて放置。
そりゃ傷むだろwと。
これと同じことを、酸熱トリートメントでやると、そりゃ傷みます。
髪の等電点はpH5前後ですが、アルカリで髪が傷むのは周知。
逆にそれより低くても髪は傷みます。
アルカリトリートメント、ケミカルトリートメント、還元トリートメントなどという技法があります。
登場した頃は、「トリートメントにアルカリやパーマ液を使うなんて!」と批判殺到。
主に美容師さんから。
これは、「それらアルカリなどを使えば髪がきれいになるのは当然。そんなの使うなんてズルい(●`ε´●)」っていう羨望、義憤だったのだと思います。
矯正をすれば髪はキレイになります。
”矯正は傷む”と反論する美容師さんもおられますが、ここでは、
”傷む”と”キレイになる”は反意語ではありません。
傷むの反意は傷まない。
キレイになるの反対はキレイにならない。
「キレイにしつつ傷みは最小限にする」が最適な日本語でしょう。
アルカリ使用のトリートメントの議論が落ち着いてきました。
つまり、反対する美容師さんが減ってきた。
それはつまり、うまく扱える美容師さんが増えてきたことにほかなりません。
次は、酸熱トリートメントの番です。
遠からず、酸熱はアルカリトリートメントがそうだったように、美容師さんの熟練度が増し、安全に使えるようになり、こういった議論さえ懐かしく感じるときが来るでしょう。
元に、ナンバースリーなどからは各種酸が配合されたカラー剤が発売されていたり、その他各社が酸入りの還元剤も開発しています。
僕の友人は、とある酸ととある還元剤が分子レベルで結合したものを開発しています。
タマコンKにはタマ燦同様のフマル酸、サリチル酸などが配合されています。
これを前処理や中間処理で使ったカラーやパーマなども、「酸熱トリートメント」を施術していることになります。
こんなふうに、敢えてわざわざ「酸熱トリートメント」と言わなくても、便利に使える”成分”になってきています。
ではなぜ、そんなダメージさせる施術をしてしまうのか。
それはまず、上記歴史と、次の項が大きく関与します。
髪質の違い
・モンゴリアン(日本人) 太さ 約0.1mm キューティクル 厚く大きく割れやすい
・コーカシアン(欧米人) 太さ 約0.4mm キューティクル 薄い
という違いがあります。
つまり、欧米人の髪は、細くて柔らかい。
染まりづらいのとヨーロッパコンプレックスにより、特にアメリカ人はブリーチの頻度が高く、ポーラスになりがち。
実は、そういった酸架橋によるリラクサー(ストレート効果)は、そんな髪だからこそ、実現したんです。
欧米人よりも倍の太さ、倍以上のコルテクス量がある髪。
つまり、SS架橋の数もそれに比例して多い日本人。
SSに打ち勝つほどの数の架橋を、酸で付与できなければ、リラクサー効果は有りません。
でもそんなのムリー。
元からブリーチなどで傷んでて、細くて柔らかい状態ならイケるかもですが。
欧米人の柔らかい髪はリラクサーできても、
日本人の太くて硬い髪には到底無理。
そこをなんとか!って頑張っちゃうのが、日本人美容師の悪い癖。
プレでアルカリを塗布し、ドライ、アイロン。
これも頑張っちゃう。
その後にグリオキシル酸を塗布し放置。
酸剤は傷まないと頭から信じ込み、傷んでる毛先にたっぷりと。
そこから、ゴシゴシ、ゴシゴシと髪を高熱のアイロンで擦る。
傷んでる毛先を特に。
そう、まるで、あの頃の伸びないストレートパーマの様に。
「伸びないのはオマエの擦り方が悪いからだ!」とセンパイに怒られたりして。。。
そして、ガッツリプレスする。熱と乾燥が必要なんですよね?
220℃で30分加熱なんですよね?!なんてしたり顔で。
そりゃ傷むはw
プレアルカリは、しっかりと酸剤させるためには必要な工程です。
それを取り入れているメーカーが悪いのではなくて、
メーカーと美容師、お互いの勘違いみたいなものが、お客様の髪をダメージさせていたのです。
まとめ
髪質改善とは、縮毛矯正をせずに髪質を扱いやすく、癖や湿気などでの広がりを抑えて、きれいな髪にすること。
その技法として酸熱トリートメントがある。
酸熱トリートメントの一つが、ブラジリアンブローアウト。
バンドエイドと絆創膏どう違うの?みたいな感じ。
亜種でケラチンストレートなるものがありますが、これは眉唾。
「高分子PPTを貼り付けて髪をストレートに固める」ってのは無理があると思います。
どうやって固めるの?熱?アミド結合?230℃で30分?
結局、PPTを固めるために、酸を使ってたりします。
酸熱トリートメントですね。
そういう意味では、Tamazonの提唱する方法は、ケラチンストレートだと言えます。
・アルカリ膨潤させる。
カラー剤のライトナーでも、場合によってはアルカリチオ(タマチオ)やシス(タマみるく)など還元剤でも。
・タンパク質の導入。タマコンKの浸透定着&Aの各種PPTとアミノ酸
・各種酸の導入。タマ燦&タマグリ
酸で架橋しますが、2種類の架橋を。
①髪のアミノ基同士 つまり、髪同士を架橋し、リラクサー効果を
②髪のアミノ基とPPT類のアミノ基 PPT類の髪への定着を
・還元剤を使ったならば酸化
・お好みで皮膜
結果
”癖は少し伸ばされ、PPT類も定着する。”
へしゃげたダメージホールをアルカリで広げ、そこにPPT、ポリフェノール、サリチル酸など疎水物を充填。それらが酸で固定化。
毛髪のタンパク質を補強強化。
これが髪質改善効果です。
翻って
”熱と摩擦で髪がやられ、ボロボロになる”
「伸びるはず」という意識から過度なアイロン熱と摩擦。
アルカリを使った場合は+熱でアルカリダメージ。
酸剤を無知に使い過収斂ダメージ。
同じアイテムを使っても、全く逆の結果になってしまう。
もちろん、Tamazonアイテムを使ったとしても同様。
使用する美容師さんのスキル次第です。
ただし、Tamazonアイテムを使うような美容師さんは、勉強熱心です。
わざわざこんなnoteやFBなどで探しに探してタマ氏ぃにたどり着いて、
メッセージからアイテムを購入。
(Tamazon https://www.tamacom.xyz/ でもいいけど)
使い方のマニュアルなんてないので、タマ氏ぃの投稿などからしっかり勉強。講習会にまで参加して。
同じアイテムを使っても、髪をキレイにするかダメにするかは、
アナタ次第
参考文献
ホルムアルデヒドのカルボニル化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpi1958/34/1/34_1_13/_pdf
魚類標本の作り方と管理マニュアル
https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/staff/motomura/FishCollectionManual.pdf
免疫組織化学染色における抗原賦活の原理について考える
https://www.nichirei.co.jp/bio/tamatebako/pdf/tech_05_dr_fujita.pdf
商品開発リクエスト募集中♪美容室で使用/販売する「こんなモノがほしい」を教えて下さい。サポートは研究開発費に当てさせていただきます。