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人生リブート指南(27)地名の持つ「ブランド性」に支配されるのはもうよそうよ

テレワーク実施企業の増加などを受け、自ら進んで都会から離れる人が増えていますが、実は「移住ブーム」と呼ばれる現象はコロナ禍が始まる以前からスタートしていたのです。
その中で「ブランド移住地」と呼ばれるエリア、すなわち「移住を思い立った人が『あ~、あそこに住んでみた~い』とウットリする地域」が日本各地に生まれました。

私もそれらに翻弄されてたクチで、「2011年に脱東京を思い立ったのに、実行に移したのが2019年」という超スローモー状態だったのは「あ~、あの町いい! けど、この町も素敵じゃないか。あ、そっちも捨てがたいなぁ~」と、色々なブランド移住地情報に惑わされ、目移りしまくっていたからなんです。
いや、情報誌とか見ると、「移住するならここだ!」的な推され方をされてる町がホントたくさんあるのよ。

けれども結局私が移住したのはそれらのどれでもありませんでした。
人気の高い土地は当たり前ですが地価が高いわけで、経済的に余裕のない私にはとても手が出なかったんです。
ちなみに私の移住した「静岡県沼津市」というのはこちら。

地図地名入り

鉄道なら「上野東京ライン」の直通便で品川まで134分の距離。
千代田区三宅坂を起点とする「国道246号線」の終点で、こちらの総延長は125・3kmだそうです(直線距離だと日本橋まで102㎞)。

このように交通至便な立地でありながら、世間一般の知名度は「……う~~~~ん」。
某美少女アニメの舞台となったことで、近年そちらのマニアさんたちからは聖地視されてるそうなんですが、アニメのアの字も知らない層から見れば単に「魚介類が美味しい港町」という認識です。
観光地としても移住地としても、ぶっちゃけ「ブランド性もはあまり高くはない」。

けれども環境的にはとても良いんです。
富士山がすぐ間近に見られて風光明媚だし、海にも山にも簡単に行ける。
近隣の熱海「東京の奥座敷」としいうブランディングがなされていて、どこへ行っても観光客が大勢いますが、こちらはさほどでもなくて、「ほとんど人のいない海岸」もあったりする。
つまり「ブランディングされていないがゆえの強み」があるのです。
コロナ禍で「密の回避」が重視される昨今、これはすごいメリットです。

私たちはブランド性に弱く、ついつい「実」よりも「名」のほうを重視しがちです。
でも本来は「名」よりも「実」が重要なんですよね。
ここでちょっと実験をしてみましょう。
先ほど見せた地図から「地名」を消してみると……アラ不思議!

地図地名ナシ

なんということでしょう! 私の居住地は「日本人が愛してやまない霊峰・富士山からほど近い静かな海辺の町」で、なんか「日本でも有数のリゾート地」みたいに見えるじゃないですか。

地名とブランド性は一体化していて、たとえば「鎌倉」とか「軽井沢」とか「京都」とか聞くと、行ったことがない人でも「アラ素敵ダワ」と反射的に思ってしまう。
でも地名を伏せてしまえば、私の住まう町も、鎌倉・軽井沢・京都と肩を並べられるくらい魅力的に映るのです。

だから人生リブートを考えている皆さん、移住先候補のチョイスをする際にはいったん地名を見ることをやめてみてください。
そうすれば、「ブランド移住地よりはるかにローコストに住める」のに「ブランド移住地よりもずっとハイスペックな」穴場エリアが見つかるかもしれませんよ!?

他人から「わ~、素敵な町! 自分も住んでみた~い!!!」と言われる土地に無理して引っ越すよりも、安く住める土地に引っ越し、そこを「わ~、素敵な町! 自分も住んでみた~い!!!」と他人から言われるようなところに変えていったほうが楽しいと思います。
金にモノを言わせて「ブランド品を買う」より「自分でブランドを作る」、もっと言えば「自分がブランドになる」のが一番だと私は断言します!

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