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BBTクローン計画(3)コスパの良い飯屋その壱 中野ブロードウェイの洋食屋「帝国」

自分は「他人をもてなすこと」が大好きなタイプです。
特に好きなのが「サプライズ系」のおもてなし。
と言ってもフラッシュモブみたいな「脅かしモノ」ではなく、ものすごくコスパの良い食い物屋に連れて行って「ひゃ~、こんな店あったんだ~!!!!」と嬉しい悲鳴を上げさせるのが趣味なんです。

まだ元号が「昭和」だった学生時代、中央線の荻窪に住んでいた私には「友達が遊びにくると必ず連れて行ってた近場の店」というのが3軒ありました。

1つ目は、当時から「オタクの殿堂」として賑わっていた(その頃はまだ秋葉原はあくまで「電気街」でした)ショッピングセンター「中野ブロードウェイ(NBW)」の4階にあった「帝国」という洋食屋。

NBWを知ってる人なら「あるある」の話なんですが、あそこは正面入口のエスカレーターに乗るともれなく「3階」まで運ばれてしまいます。
2階には階段を使わないと行けない造りなんですが、それを知らない人が2階の店に行くべくエスカレーターに乗ってしまうと「目的地に永遠にたどり着けない」という悪夢的状況に陥るのです。

「なぜエスカレーターが3階直通なのか?」という疑問を多くの人が抱くのですが、たぶん「あのビルの一等エリア」だからでしょうね。
でっかい人気店(マンガ古書店の筆頭「まんだらけ」とか)はあのフロアにまとまっており、3階だけでたいがいの用は足せてしまうのです。

ちなみにその上部は小さな事務所がびっちり並ぶオフィス階で、一般買い物客はあまり足を踏み入れませんでした(現在はここにもショップが増え、訪れる人も結構います)。
そんな地味なエリアでひっそりと営業していたのが「帝国」だったんです。

ここの何が私の心の琴線に触れたかといえば、やっぱり「ライスの盛りの良さ」でしたね~。
「皿の上でドンブリ飯をひっくり返した」という感じで、そのワイルドさはほとんど「少年ジャンプ」の世界。
「大盛りは正義」を座右の銘にしていた私は、この気前の良さにまず打たれたのです。
そんなマンガ飯に肉料理(とんかつとかハンバーグとか焼肉とか)と味噌汁がついて、値段はたったの「390円」
これは昭和期にしてもか~な~り~安かった!

意外かもしれませんが、じつは昭和期の外食メニューは総じて今より高かったのです。
景気が良かったので、デフレの昨今のような格安ランチ、激安弁当みたいなものもあまりなく、ビンボー学生だった私は昼飯を抜くようなこともしばしば。
だから「学校の近所にもこの店があってくれたらいいのになぁ~」といつも思っていたのです。
類は友を呼ぶで、私の仲間は軒並みビンボー人だったんで、「帝国」へ連れて行くとまずみんな目を丸くし、そのあと「おおぉーッ!!!!」と感嘆の声をあげてましたね。

ちなみになぜ「帝国」なんて店名なのかと言えば、真偽のほどは不明なんですが、「ここのオーナーシェフが『帝国ホテル出身者』だから」という説が常連間でまことしやかに囁かれていました。
確かに使われているのがシルバーの金属食器だったりして、そこいらの定食屋とは一味違った感じでした。
まぁ噂が本当だろうがデマだろうが「300円台で本格的な洋食メニューが腹いっぱい食える」というのは素晴らしかったので、今でも「帝国」は私と、私が連れて行ったビンボー仲間の中で「素敵な思い出」としてしっかり生き続けているのです。

画題「昭和男子は『マンガ飯』見るとテンション上がるのです」

1帝国


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