決して【ゲーム=悪】ではない。③完結

言いたいことは山ほどある、ネトゲに悩む妻、申見アキです。
前回の更新は暗黒の中学時代の話になってしまったので、「決して【ゲーム=悪】ではない」の最終話をお送りする。
これまでの2回は自分の話ばかりなので、悪意のある拡散に晒されないよう、夫の話もする。妻であるからにはもちろん夫の弁護(?)が主体であり愚痴ではない。
そもそも私がノートでこの事を書くのは愚痴を吐く為ではなく、もし同じ境遇に陥ってしまっている人がいた時、ここが駆け込み寺になる為だし、何より私自身の反省点、改善点を洗い出して是正案を出す策の一つである。単なるエッセイなので、道徳的に見てほしい。

夫は朗らかな家庭に産まれて長男として育った。
子供の頃は腕白で喧嘩っ早く、生傷も絶えなかったらしいが、性格がキツかったというわけではない。兄弟や子供はもちろん、後輩の面倒見なんかが本当にいい。脚も速く、スポーツもこなし、結局なんだかんだでモテてたそうだ。器用で調子もいいし頼りがいのある兄貴分という所だろう。別に惚気ているわけではない。ケッ

そして趣味を観点にすると、兄弟1人に1つのゲーム機が与えられていたそうで、粗方この時点で、①や②で述べた自分の生活とはほぼ真逆を辿っていたと思う。ミニ四駆やベイブレードに遊戯王など、友達の多い彼は協力プレイやみんなでわいわい出来る遊びをすることが必然的に多かったらしい。
(親になって初めてゲーム機を子供個人に買い与える理由がわかった。その子にもよるが、遊ぶ順番で揉めて男女問わず喧嘩をして血を見ることになるからだ)

時を同じくして田舎娘の私がめくるめく魔法族妄想の中にどっぷり浸り、むさぼり読んでいたハリーポッターに関しては、夫は手っ取り早く映画で順番にストーリーを吸収したそうだ。
今考えたらそりゃあそうだ。読書好きにはあの分厚さは垂涎ものだが、そうでない子にとってはあんなページ数を読まなきゃ話がわからないなど拷問に近い。
そんな夫と私は高校を卒業した後に出会い、別々の会社に就職をし、結婚した今は夫の育った地域で暮らしている。

ここまで読むと、
それがなんでこんな事になってしまったの?
結局ゲームが悪いって言いたいんじゃないの?
と思う人もいるだろう。


しかし子供が赤ちゃんの頃に夫が努力してくれた事が忘れられない。子煩悩な夫で、仕事を頑張り遅く帰る時間帯は、ちょうど夜間の授乳で子供が起きていたりもする。また眠るまで3人で布団に転がって薄暗い中をちょっと一緒に遊んだり、嫌がる事なくおむつを替えてくれたり寝かしつけを手伝ってくれたり(ほとんど先に寝落ちしていたが)、出来る限りのことをしてくれた、本当に素敵なお父さんだったのだ。

しかし、何かの気の迷いや、彼の冗談や照れ隠しを間に受けやすいHSP気質の私の器量のなさ、私がキレやすくなってしまったことなどが、巡り巡って夫の依存と逃避の負のスパイラルに繋がってしまったといえるのかもしれない。私もほとほと大人気なかったのだ。

誘惑は近づく。本来人間が暇な時に遊ぶために生み出されたもの、本来遊ぶためのもので使うアイテムや時間を
必要以上のお金で買い、信用をすり減らす。
オンラインであるが故のトラブルで日常は侵食される。
カブを育てているつもりがカブに育てられていたり、みんなやってるから課金する、こうしないとランク上がらないから。時間をお金で買う。ストレスが溜まるから。

だがそれらはすべて、自分の心や弱さ、甘えから
目を背けて、逃げていることを正当化したいだけ。


ギャンブル、酒、薬、ニコチン、暴力、性、ゲーム
正直どれも確かに魅力的だ。
ビギナーズラックで大金を手に入れたり、割り切った関係で会えそうな人と話したり、摂取することで一度美味しい思いをしたら
これらは艶かしく光り輝いて見えるだろう。ある依存症と戦う方は言った。「脳からよだれが出る」と。
あと少し、あと少し入れれば大当たりするかもしれない、と。


だから、
決して【ゲーム=悪】ではない。
辛いことや取り組むべき問題から逃げて
自分のせいではない、忘れようと
それらに溺れて翻弄されるのがいけないのだ。



「依存症」
そう呼ばれたくないであろう本人の名前をきちんと呼んで、話し合い、元のように寄り添いたい。
と妻は思うのだった。

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