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祝・ゴールデン・グローブ受賞。声優・内山昂輝とネトフリ編集部が熱く語る「クイーンズ・ギャンビット」の魅力(前編)

2月28日(現地時間)にバーチャル開催された第78回ゴールデン・グローブ賞でミニシリーズ/TV映画の作品賞、主演女優賞(アニャ・テイラー=ジョイ)を受賞したNetflixオリジナルシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」。世界63か国でトップに輝き、1シーズンで完結するリミテッドシリーズとして、ネトフリ配信後4週(28日間)で6,200万世帯が再生。さらにチェスブームを巻き起こし社会現象にまで発展。一体なぜ、こんなにも世界中の人々が熱狂しているのでしょうか。

受賞を祝し、本作の大ファンである人気声優・内山昂輝さんを迎え、座談会形式でその魅力を深堀りしていきます。まだ観ていない方も、すでに観た方も一緒に、世界中の人々を虜にしている理由を探っていきませんか? 映画ライターのDIZさんがナビゲートします。

内山昂輝:声優として活躍中。代表作に「機動戦士ガンダムUC」「DEVILMAN crybaby」「ハイキュー!!」「呪術廻戦」などがある。映画を観るのが好きで、自身のラジオ番組内で年間映画ランキングを発表”内山映画ランキング2020”の1位に選ぶほど「クイーンズ・ギャンビット」にすごくハマった。
Kazumi:ネトフリ編集部。海外ドラマに韓ドラ、リアリティーショーまでいろいろ観る雑食。好きなネトフリ作品は「ザ・クラウン」「コブラ会」「ヴィンチェンツォ」など。
Midori (新里 碧):ネトフリ編集部。旅と工作と古いものが好きなイラストレーター/取材漫画家。好きなネトフリ作品は「ストレンジャー・シングス」と「ノット・オーケー」。
DIZ:SNSを中心に活動している映画ライター。常に幅広いジャンルの映画やドラマをチェックしている。好きなネトフリ作品は「DARK」「The OA」「アンブレラ・アカデミー」など。

「クイーンズ・ギャンビット」のあらすじ
1950年代の児童養護施設で人並外れたチェスの才能を開花させた少女ベス・ハーモン(アニャ・テイラー=ジョイ)。薬物依存症に苦しみながらも、想像もしていなかった華やかなスターへの道を切り開いていく。

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チェスのルールを知らなくても楽しめる、主演女優の圧倒的な演技力。

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DIZ:今日はよろしくお願いします。早速ですが、本作を観始めたきっかけについて教えてください。

内山昂輝(以下、内山):配信された直後からSNSで評判になっていて、フォローしてる人がかなり勧めていたり、自分のラジオ番組の構成作家が褒めていたりしたのがきっかけです。コロナ禍で旅行にも行けず、何もできない年末年始に「コブラ会」や「クイーンズ・ギャンビット」を観ました。

DIZ:続いて、「クイーンズ・ギャンビット」がめでたく、今年のゴールデン・グローブ賞のテレビ映画・ミニシリーズにおける作品賞と主演女優賞を受賞しました。本作で主演を務めたアニャ・テイラー=ジョイさんについて伺いたいです。

内山:僕が彼女を最初に知ったのは、M.ナイト・シャマラン監督の『スプリット』で、そこからキャリアを重ねて「クイーンズ・ギャンビット」ではもう本当に見事でしたね。だんだん大人の雰囲気になっていくところもリアルに演じられていたし、彼女の顔のアップがチェスの展開を物語っている場面が多くて、彼女の表現力で作品の魅力が倍増していると感じるくらい圧倒されましたね

DIZ:チェスのルールは全く知らないですが、アニャさんの表情で何が起きているかを把握できる演技力が素晴らしかったですね。

内山:劣勢なのか圧倒してるのか。彼女の表情がそのままドラマの演出になっていて、とてもうまい作りですよね。しかも、ナレーションやモノローグで細かく説明する手法ではなかったので、結構プレッシャーを感じただろうなと思いました。元々評価されている女優さんですが、この作品によって同世代のワンオブザトップに躍り出たのではないでしょうか。

DIZ:次は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のスピンオフ作品にフュリオサ役で出演することが決定していますね。

内山:ねー!「クイーンズ・ギャンビット」を観た後だと、次の作品への期待値がまた上がりました。シャーリーズ・セロンと顔が似ているわけではないけど、また新たなフュリオサ像を作り上げてくれそうな予感がします。

一気見確実? 続きが気になる鮮やかな展開。

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DIZ:本作の特に好きなポイントについて教えてください。

内山:撮影から編集まで、本当にすべてのクオリティが高くて、なおかつ各話終わり方の切れ味がすごいんですよね。一話目の鮮やかなラストで心を鷲掴みにされて一気に引き込まれました

あとは、光と影を巧みに活用した絵作りが多くて、ネット配信のドラマではあるけど、映画としてみせようとする作り手の意気込みを強く感じたんですよね。電気を消して、映画館のような状況で観ると映えるシーンがとっても多いな〜と思いました。そういう部分がドラマ好きだけではなく、映画好きにも響いたんじゃないかな。

DIZ:日本では馴染みのないチェスのドラマが世界中で大ヒットしていると聞いて、あまりピンと来なかったですが、観始めると止まらなくて一気見しちゃいました。

内山:チェスのルールをあまり分かっていないので、この作品を完全には楽しめていないんだろうなっていう罪の意識はありますね(笑)。チェスに詳しい人からみた、展開や演出の説明とかあったらぜひ知りたいですね。

Midori:YouTubeでチェスのプロの方が解説してる動画がバズってますね。タイトルの「クイーンズ・ギャンビット」という名前にも意味があって、7エピソードになっているのもチェスの動きと関連があるそうですね。

Kazumi:チェスが分からなくてもこれだけ面白いのって、ドラマの本質が高度なレベルで作り込まれているってことですよね。説明がないのにこれだけ分かりやすいのは本当にすごい。

アニメや漫画が好きな人もハマる激アツバトル。

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DIZ:本作はチェスのイメージが強く、難しそうと感じてる方も多いと思いますが、おすすめポイントを3つ教えてください。

内山:一つ目は、映画は好きだけど、海外ドラマは熱心に追いかけていないという人にもおすすめです。絵作りや物語構成という面で、映画館で観たくなる作品作りがなされていると感じました。

二つ目は、主人公が孤独な天才で、どんどん敵を倒していって、次々とさらなる強い敵が現れる展開が少年漫画で連載していそうな熱いストーリーなので、アニメや漫画が好きな方、スポーツ系やボードゲーム系の作品が好きな方にもおすすめです。似ていると思った作品は、松本大洋さんの漫画「ピンポン」ですね。

三つ目は、チェスのルールを知らなくても楽しめるという点。ルールを分かっていた方が絶対に面白いんだろうけど、分からなくてもとても楽しめました。かなり間口の広い、全方向にすすめられるタイプの作品だと思います。”レトロでおしゃれ”というイメージだと、自分に縁がないなと思う人もいるかもしれないけど、もっと届くべき人がいる気がします。

DIZ:主人公がどんどん強い敵を倒していくのがスカッとしました。配信開始からしばらく経っていますが、何度観ても面白い作品ですよね。

内山:個人的にはチェスのルールを知った上でもう一度観たいですね。5年10年先にも残るレベルの作品で、数年後に観てもまったく古びないと思います。

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個性あふれる魅力的なキャラクターや胸アツシーンを振り返りながら、さらなる魅力を深堀り。後編へ続きます。

文・DIZ(@netflixjp ゲストライター)


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