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河野プロvs渡辺プロ 最強戦南3局の攻防

 ベテランと新鋭が見応えある攻防を繰り広げました。

 2022年6月25日(土)に行われた「麻雀最強戦2022 タイトルホルダー頂上決戦」のB卓です。

 南3局に決勝進出の座をめぐり、令昭位連覇中のベテラン・河野高志プロとプロ1年目で王位に就いた新鋭・渡辺史哉プロの手が激しくぶつかり合いました。

 面白くて何度も繰り返し見ています。

 B卓はRMUの令昭位・河野高志プロ、日本プロ麻雀連盟のマスターズ・奈良圭純プロ、日本プロ麻雀協会の發王位・仲林圭プロ、日本プロ麻雀連盟の王位・渡辺史哉プロの並び順。

 上位2人が決勝に進出できます。

 南3局2本場(供託1)を迎え、持ち点は北家・奈良53700、東家・仲林20400、南家・渡辺18600、西家・河野6300です。

 大きくリードした奈良プロの勝ち上がりはほぼ確定。残り一つの座を仲林、渡辺、河野の3プロが争っています。

 河野プロは奈良プロに満貫、親満を放銃してラス目に沈み、親番も残ってなく、ぜがひでもあがりたいところです。

 河野プロの配牌です。2メンツあるものの今のところドラも役もないのがネックです。

河野1

 2着目の仲林プロと1800点差の渡辺プロは仲林プロの親を流したいところです。6巡目の手牌です。

河野2

 ここから急所の5筒をチーして2萬を切り、喰いタンのあがりを目指します。軽快な鳴き仕掛けです。

河野3

 一方、河野プロもツモが伸び、6巡目にイーシャンテンです。

河野4

 さらに、7巡目に5萬をツモって9萬を切り、ドラの6萬を受け入れられる形になりました。

河野5

 渡辺プロも8巡目に4索をツモって1萬を切り、イーシャンテンです。

河野6

 河野プロのツモの効きは衰えず、8巡目に1筒を引き入れて聴牌。東を1枚切ってカンチャンのドラの6萬待ちで迷わずリーチします。

河野7

 ドラの6萬をツモれば、2位争いをしている仲林プロ、渡辺プロとの点差を縮められます。オーラスでは満貫の出あがりで2位に入り、決勝進出できます。

 「この手はリーチするしかない」という河野プロの覚悟と胆力を感じるリーチです。6萬は山に3枚残っていました。

 リーチ直後に親の仲林プロが9巡目に4筒をツモった手牌です。5萬を切ればカンチャンの8索待ちで一気通貫の聴牌です。けれども、河野プロには通っていません。

河野8

 仲林プロはさすがにドラそばの5萬を勝負することはできず、河野プロの現物の9索を切りました。

河野9

 仲林プロは10巡目に5筒をツモり、粘って河野プロに通っていない7索を切ります。

河野10

 渡辺プロがこの7索をすかさずポン。5萬・8萬待ちで聴牌です。

河野11

 5萬・8萬は山に8萬が2枚残っていました。

 仲林プロは11巡目に8萬をつかみます。山に残っている渡辺プロのあがり牌は8萬1枚だけになりました。

河野12

 仲林プロは5萬と8萬が渡辺プロ、河野プロの両方に切れず、9筒を外してこの局はギブアップです。

河野13

 トップ目の奈良プロは無理せず、オリに回っていました。

 渡辺プロは12巡目に河野プロに危険牌の7筒をツモりました。

河野14

 渡辺プロは7筒を止め、現物の4索を切りました。

河野15

 これが勝負の分かれ目となりました。

 渡辺プロが回らずに危険牌を全て通していたら、15巡目にドラの6萬をツモり、安全牌の7萬を切って6萬と8索のシャンポン待ちに変えていたと思います。

河野16

 すると、河野プロ15巡目に8索をツモ切りしていたので、渡辺プロはタンヤオ・ドラ2の3900点(+2600)をあがっていました。

 もし、渡辺プロが河野プロから直撃していたら南4局を迎え、2位争いをしている3人の持ち点は渡辺25100、仲林20400、河野800でした。オーラスの河野プロの逆転は厳しかったと考えます。

 渡辺プロの打ち筋を今回初めて見ました。流れの悪いときでもトップや2位など必要な順位の射程圏内の点差に入っていようと、丁寧な打ち回しで放銃を避けるのが印象的でした。鳴き仕掛けも巧みです。

 渡辺プロはまだ親番も残っているので、この一局を最大の勝負どころとは考えず、全面突っ張りを避けたようです。ラス目に余計な放銃をしないようにするのもセオリーです。しかし、その判断が裏目となりました。

 短期決戦では慎重な一打が致命傷となることは多々あります。麻雀最強戦では特に、勝負どころで踏み込んだ打ち手に勝利の女神が微笑みます。

 渡辺プロは7索を鳴いて聴牌に取ったのだからこそ、徹底的にあがりに向かったほうが良かったと思います。最後のところで踏み込みが足りませんでした。

 渡辺プロをオリに回らせたのも、河野プロのリーチにそれだけ迫力があったからだとも感じています。

 結果的に河野プロの1人旅となりました。渡辺プロが河野プロのあがり牌のドラを暗刻にしましたが、河野プロは17巡目にラス牌の6萬をツモ。

河野17

 河野プロはリーチ・ツモ・ドラ1の1000、2000(+1600)のあがりです。

 南4局を迎え、持ち点は西家・奈良52500、北家・仲林18200、東家・渡辺17400、南家・河野11900です。

 満貫の出あがりで2位に浮上できる河野プロには絶好の筒子の一色手が入り、見事にツモあがりました。

河野18

 河野プロはホンイツ・發・ドラ1の2000、4000のあがりです。奈良プロとともに決勝に進出しました。

 この半荘の逆転劇もそうですが河野プロの勝負強さは際立っています。放送されているモンド麻雀プロリーグ第16回名人戦でも力を発揮しています。

 来季のMリーグに向けて、ドラフト指名することが決まっているU-NEXT PiratesとKADOKAWAサクラナイツが新たなメンバーをベテランから選ぶのならば、河野プロは最有力候補だと思います。

 

 

 

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