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堀プロのしたたかな鉄壁の一打

 KADOKAWAサクラナイツの堀慎吾プロがМリーグ2021の2021年11月22日(月)の第1試合で鉄壁のガードによってトップを飾りました。三面チャン待ちの聴牌に取らず、リーチの当たり牌を「ピタ止め」するしたたかな守りの一打でした。

 堀プロは日本プロ麻雀協会所属で雀王などのタイトルを獲得しているトッププロです。バランス型で攻守に隙がなく、繊細な打ち筋によって高打点を狙い、鳴き仕掛けも得意です。「ぽりぽよ」の愛称で親しまれています。

 麻雀ファンをうならす一打を見せたのは南3局1本場です。西家・TEAM雷電の本田朋広プロ、北家・U-NEXT Piratesの朝倉康心プロ、東家・セガサミーフェニックスの茅森早香プロ、南家・KADOKAWAサクラナイツの堀慎吾プロの並び順。持ち点は堀38600、茅森34800、本田26000、朝倉600です。

 本田プロに8巡目にリーチが入ります。

本田手牌

 リーチ・ピンフの5索・8索待ちです。堀プロはリーチ・タンヤオ・ピンフ・赤ドラ1の満貫が見込める絶好手でイーシャンテンでした。しかし、本田プロの当たり牌の5索と8索が1枚ずつ浮いていました。

堀手牌

 堀プロはこの形から11巡目に8索をツモりました。次のように5索を切れば1萬・4萬・7萬の三面チャン待ちの聴牌です。本田プロへの安全牌はありません。

堀手牌2

 本田プロへの安全牌は1枚もありません。堀プロを5索を切って三面チャン待ちでリーチするものと見ていました。しかし、堀プロが選んだのはワンチャンスとなっていた2萬。当たり牌の5索をしっかりと止めて聴牌に取らず、くっつきを狙うイーシャンテンにしました。

堀手牌3

 直後に本田プロが5索をツモり、リーチ・ピンフ・ツモの700、1300(+300)をあがりました。

本田手牌2

 放銃を逃れた堀プロはこのまま逃げ切り、続く第2試合でもトップを取り、チーム5連勝を成し遂げました。堀プロのこの判断に実況の日吉辰哉プロは「見たことない」「信じられない」を連発し、他では見られない一打と絶賛しました。「ピタ止め」は確かに見事でしたが、はたしてそうなのでしょうか。

 堀プロは勝利インタビューでこの局面について満貫の振り込みだけは絶対に避けようとしていたことを明かしました。トップ目に立っており、2位の茅森プロとは3800点差しかありません。追加点でダメ押しするよりも守りを選択するのは「なるほど」と理解できます。4索がドラなのでドラそばの5索を切ると高い手に放銃する恐れも大きいです。

 この南3局の大詰めで2位以下だったら誰もが5索を勝負して三面チャン待ちでリーチするでしょう。しかし、ラス親の残るトップ目ならばドラそばの5索を切らずにくっつきを待つ打ち手もいるのではないでしょうか。もし、タイトル保持者の最強位・多井隆晴プロや十段・荒正義プロ、令昭位・河野高志プロ、将王・木村和幸プロらがこの局面を迎えたら堀プロと同じ選択をするような気がします。

 堀プロの「ピタ止め」は守りで勝利を着実に呼び込む強者のしたたかな一打だと思います。Мリーグなど堀プロの今後の対局が楽しみです。

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