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河野プロの実戦的な強さ

 麻雀の試合を観戦していて「手作りの巧さ」ではなく、「実戦的な強さ」を感じる雀士がいます。

 強引に手作りせず、淡々とあがりを目指します。勝負どころではペンチャンだろうがカンチャンだろうが苦しい待ちでもしっかりとあがり、トップを獲得します。

 麻雀は「勝ってこそナンボ」と思う派なので、実戦的な強さを持つ雀士には特に魅かれます。

 令昭位連覇中の河野高志プロがモンド麻雀プロリーグ第16回名人戦に参戦。名人戦には初出場です。河野プロは渋谷ABEMASの多井隆晴プロが代表を務めるRMUに所属する強豪です。

 初陣となった予選第2戦を観戦して、河野プロの打ち筋に実戦派の強さを感じました。

 予選第2戦は藤崎智プロ、ともたけ雅晴プロ、河野高志プロ、瀬戸熊直樹プロの並び順です。

 東1局の西家の河野プロの配牌です。メンツが2つあるチャンス手です。

河野1

 河野プロは1巡目に1索、3巡目に7索をツモり、イーシャンテンです。

河野2

 いち早く聴牌したのは南家のともたけプロでした。「123」の三色とチャンタを目指して中張牌を次々と切って、7巡目に狙い通りの1索・4索待ちでリーチします。

河野4

 しかし、早い巡目のリーチにもかかわらず、高めの1索は北家の瀬戸熊プロ、安めの4索は東家の藤崎プロがそれぞれ暗刻で持ち、山にともたけプロのあがり牌は1枚も残っていませんでした。

 瀬戸熊プロが7巡目にカンチャンの7索待ちで聴牌します。

河野3

 瀬戸熊プロは役もドラもない手なので慎重に黙聴に構えます。

 河野プロも8巡目に追いつき、6索を切ってドラの3索待ちでリーチしました。

河野5

 リーチ宣言牌の6索の筋とはいえ、3索はドラなのでなかなか出てこない牌です。5索をツモって2索切りの3索・6索待ちのピンフへの手変わりを待って黙聴に取る打ち手もいると思います。

 それでもこのままリーチしてツモれば、リーチ・ツモ・ドラ2の満貫で、スタートダッシュを決めることができます。踏み込んだ実戦的な攻めのリーチです。山には1枚だけあがり牌が残っていました。

 瀬戸熊プロは2軒リーチを受け、オリに回りました。

 一方、藤崎プロも9巡目に4筒・7筒待ちで聴牌しました。

河野6

 「忍者」の異名を持つ藤崎プロなので黙聴を選択すると思っていました。ところが、藤崎プロはリーチしました。リーチ・タンヤオ・ピンフ・ドラ1の親満確定の手です。

 藤崎プロの3軒目のリーチを初めて見ました。名人連覇への意気込みが伝わる積極的な選択です。あがり牌は山に7筒が1枚だけ残っていました。

 3人のリーチ合戦を制したのは河野プロです。藤崎プロが15巡目に3索をつかんで放銃。河野プロはリーチ・ドラ2の5200点(+2000)です。勝負強さを感じさせるあがりです。

 河野プロはオーラスでも魅せました。南4局1本場(供託1)を迎え、持ち点は東家・瀬戸熊33900、北家・河野30500、南家・藤崎26500、西家・ともたけ8100で、三つどもえのトップ争いです。

 2着目の河野プロは14巡目にカンチャンの2筒待ちでリーチします。

河野7

 リーチ・ドラ1の手で供託があるのであがればトップです。けれども2筒は山に1枚しか残っていませんでした。

 河野プロは一発でラス牌の2筒をツモりました。

河野8

 裏ドラが1枚乗って、リーチ・一発・ツモ・ドラ1・裏ドラ1の2000、4000(+1300)のあがりです。オーラスの力強い逆転トップです。勝負どころでずばっとツモるところにすごみがあります。

 これから続く名人戦で河野プロがどんな打ち筋を見せるのか楽しみです。

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