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菅原プロが「ビースト」の強気な攻めでファイナル進出【BEAST Japanext】

 「ビースト」のチーム名にふさわしい強烈な攻めの打ち回しでした。

 BEAST Japanext(ビーストジャパネクスト)のドラフト会議指名オーディションの予選B組で、日本プロ麻雀連盟・菅原千瑛プロが1位を獲得。ファイナル進出を決めました。

 2回戦で親の先制リーチにひるまず、危険牌を押しきってあがった国士無双が見事でした。

 そして何よりも総合1位争いが三つどもえで迎えた最終戦(4回戦)のオーラス。先制リーチに真っ向勝負し、ペンチャン待ちで迷わず追っかけリーチ。自ら1位を決めた踏みこみの強さに魅せられました。

◎BEAST Japanextのオーデイションは熱戦

 BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)は来季からMリーグに新規参入します。新チームの名称はBEAST Japanextです。

 BEAST Japanextの選手4人のうち1人を決めるドラフト会議指名オーディションを開催。175人の応募者から選ばれた8人のプロ雀士が熱戦を繰り広げています。

 予選はA・B組に分かれ、それぞれ4試合ずつ行われました。

 予選A組は最高位戦日本プロ麻雀協会・竹内元太プロ、日本プロ麻雀協会・浅井堂岐プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・新井啓文プロ、日本プロ麻雀連盟・内田みこプロが対戦。

 1位の新井プロがファイナル、2位の内田プロと3位の浅井プロがセミファイナルに進出しました。4位の竹内プロは敗退です。

 予選B組は日本プロ麻雀連盟・宮内こずえプロ、日本プロ麻雀連盟・山井弘プロ、日本プロ麻雀連盟・菅原千瑛プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・石橋伸洋プロが対戦。

 1位の菅原プロがファイナル、2位の宮内プロと3位の山井プロがセミファイナルに進出しました。4位の石橋プロは敗退です。

◎親リーチにひるまず国士無双 

 予選B組では、菅原プロの攻めが冴えました。

 まず、目の覚めるような一撃を決めたのが2回戦の東2局3本場です。

 菅原プロ、山井プロ、石橋プロ、宮内プロの並び順。持ち点は東家・山井38300、南家・石橋25000、北家・菅原22000、西家・宮内14700です。

 菅原プロの配牌です。バラバラで筒子の一色手か国士無双を狙うしかありません。

 菅原プロは3巡目に1索をツモって6筒を切りました。

 ここから暗刻の6筒を3巡続けて外しました。5巡目に一萬をツモり、国士無双狙い一本に絞りました。

 この思いきりの良さが菅原プロの特長です。

 8巡目に南、9巡目に西を引き入れ、国士無双のイーシャンテンになりました。

 菅原プロは1・9・字牌の被りが全くありません。国士無双13面待ちが狙え、1・9・字牌ならば何をツモっても聴牌。超大物手を決めるビッグチャンスが訪れました。

 ところが、トップ目で親の山井プロがいち早く10巡目に聴牌。二萬・五萬待ちでリーチしました。

 山井プロはリーチ・タンヤオ・ピンフの手で、高めの五萬であがればイーペーコーがつき親満です。

 親のリーチに菅原プロは一歩も引きません。危険牌を次々と迷わず勝負しました。

 菅原プロは12巡目に南を重ねました。13面待ちにはなりませんでしたが北単騎待ちで国士無双の聴牌です。

 14巡目に西を重ね、南を1枚外しました。

 親のリーチにひるまず、押し続ける菅原プロから国士無双聴牌の雰囲気が伝わっていたようです。リーチしていた山井プロは「早くあがらせてくれ」と、牌をツモる手にいつもより少し力が入っていました。

 山井プロの願いはかないませんでした。16巡目に北をつかみ放銃。菅原プロは国士無双の32000点(+1900)です。

 菅原プロは新チームのМリーガーを決める大舞台で、麻雀ファンの誰もが大好きな役満をあがりました。さすが華のある打ち手だと感心しました。

◎ペンチャン待ち追っかけリーチで真っ向勝負

 最終戦を迎え、総合ポイントは菅原66.4、宮内32.0、山井21.0、石橋-119.4です。

 役満の一撃で勢いに乗った菅原プロはストレートにファイナル進出できる1位の座を守っています。

 けれども、宮内プロと山井プロにも最終戦でトップを取れば、十分逆転のチャンスがあります。

 最終戦は山井プロ、菅原プロ、宮内プロ、石橋プロの並び順。

 南4局を迎え、持ち点は西家・菅原28100、東家・石橋25800、北家・宮内25100、南家・山井21000です。「全員集合」の大接戦となりました。

 菅原プロはこのままトップを守れば総合ポイント1位です。

 宮内プロは3000点差の菅原プロを逆転し、トップに立てば1位を獲得できます。

 山井プロは跳満ツモか、7100点差の菅原プロから5200点の直撃ならば、逆転1位です。

 総合ポイントで大きく沈んでいるラス親の石橋プロは「奇跡の連荘」あるのみです。

 ドラの7索を暗刻にした山井プロが8巡目に聴牌。五萬・八萬待ちでリーチしました。

 山井プロはツモって裏ドラが1枚乗れば、リーチ・ツモ・ドラ3・裏ドラ1の3000、6000で総合1位の条件を満たします。手変わりを待たず、この手で勝負を懸けました。

 リーチを受けた直後、菅原プロが8巡目に8筒をツモった手牌です。現物は1枚もありません。

 菅原プロは山井プロに全く無筋の8筒を一発で押しました。

 山井プロが4筒を切っているので1筒は通りそうでした。それでも、手牌の都合を優先し、8筒をツモ切りました。とても強気な一打です。

 さらに、菅原プロは9巡目にカンチャンの2筒を引き入れました。5筒を切ればペンチャンの七萬待ちで聴牌です。

 もし、8巡目に1筒を切っていれば聴牌していません。

 しかし、5筒も山井プロに通っていない危険牌でした。

 それでも、菅原プロはノータイムで5筒を切り、ペンチャンの七萬待ちでリーチしました。

 あがり牌の少ないペンチャン待ちによるこの真っ向勝負はなかなかできません。流局と親のノーテンによる1位確保を目指し、「お祈りタイム」でオリに回る打ち手が多くいると思います。

 菅原プロは「お祈りタイム」しているうちに、山井プロにツモられて逆転されることを拒否しました。

 「自ら決めにいって逆転されたら仕方ない」と腹をくくったようです。

 清楚で今にも泣きだしそうな顔で打つ様子とは裏腹の、勝負どころで強烈な踏みこんだ攻めが菅原プロの真骨頂です。

 かわいらしい容姿と強気な一打のギャップや、すかっとする思いきりの良い攻めに何度も魅せられています。

 この一局でも菅原プロの踏みこみが勝利を呼びこみました。

 山井プロが12巡目に七萬をつかみ放銃。菅原プロはリーチ・赤ドラ1の2600点(+1000)です。1位抜けでファイナル進出を決めました。

 予選B組の総合ポイントの最終結果です。

 ①菅原118.1②宮内17.1③山井-21.6④石橋-113.6

 オーラスを迎え、総合ポイントで石橋プロが大きく沈んでいました。菅原プロは予選で敗退する可能性はほとんどありませんでした。

 もし、1位を獲得できなくても2位か3位に入ってセミファイナルには進出できました。

 だから、オーラスで踏みこんだ攻めに出やすかったところはありました。それでも、ペンチャン待ちでリーチできる胆力は素晴らしいです。チームが求める攻めの打ち手にふさわしいことを自ら体現しました。

 

 

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