トイツマスター満点のチートイツ
チートイツは面白い役です。プロ雀士でも好き嫌いが分かれます。
リーチしてツモって裏ドラが乗れば必ず跳満になります。破壊力抜群です。攻守兼用で戦いやすい利点もあります。
一方で、ほしい牌がトイツにならないときは早いイーシャンテンからなかなか聴牌できず、ノーテンで終わることも多々あります。
チートイツを好きでないと公言しているベテランの新津潔プロや伊藤優孝プロがわざわざトイツをほぐし、シュンツ手を目指す場面を何度も見たことがあります。
チートイツ好きの名前を問えば、麻雀ファンの誰もが思い浮かべるのが「トイツマスター」の異名を持つ土田浩翔プロです。
土田プロは麻雀最強戦などで優勝経験があり、最近はMリーグの解説者としても知られています。さまざまなタイトル戦で十八番のチートイツをあがっています。
特に印象に残るのは、一つの牌のかぶりもなくチートイツを聴牌し、パーフェクトな手順で跳満をツモった2016年のモンド麻雀プロリーグ第10回名人戦予選第9戦です。
強豪相手に決めた100点満点のチートイツを振り返ります。
予選第9戦は小島武夫プロ、森山茂和プロ、土田浩翔プロ、荒正義プロの並び順。持ち点は東2局2本場(供託2)を迎え、東家・森山29800、北家・小島24500、南家・土田22200、西家・荒21500です。
この一局はまさに象徴的なトイツ場でした。
小島プロは配牌でチートイツのイーシャンテンです。
荒プロも4巡目にチートイツのイーシャンテンです。
一方、土田プロの配牌です。トイツは1組だけです。とてもチートイツに育つとは思えませんでした。
ところが、ここから縦方向にツモが効きます。2巡目と4巡目に3萬をツモり、2組目のトイツができました。
5巡目に中、6巡目に6索を重ね、トイツが4組になりました。
土田プロは得意のチートイツに狙いを定めました。
すると7巡目と8巡目に続けて西をツモり、イーシャンテンです。
6索がトイツであるので、4索を先に切って筋の3索を残しているところに「筋トイツ理論」を掲げる土田プロらしさを感じました。
土田プロより先にイーシャンテンだった小島プロと荒プロは残り1組の牌が重ならず、なかなか聴牌できません。チートイツの難しいところです。チートイツ嫌いのいる理由がここにあります。
筋トイツ理論が的中しました。土田プロは9巡目に3索を引き入れ、チートイツを聴牌。南単騎待ちでリーチします。
ここまで1枚のかぶりもなく、ツモの流れに乗って最短で聴牌しました。
荒プロもその直後、9巡目にようやくドラの東単騎待ちで聴牌。
荒プロは土田プロとのめくり合いを避け、慎重に黙聴に構えます。
森山プロと小島プロはオリに回りました。荒プロは黙聴のまま押していましたが、12巡目に土田プロの危険牌の5萬をつかみ、現物の8索を切って聴牌を崩しました。
土田プロは13巡目に南をツモりました。
裏ドラがなんと筋トイツ理論で残した3索。土田プロはリーチ・チートイツ・ツモ・裏ドラ2の3000、6000(+2600)のあがりです。
筋トイツ理論ずばりの跳満で、土田プロにとって会心のチートイツだったと思います。
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