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コバゴーらしい選択で優勝 難しい役満より着実な満貫【Мトーナメント】

 花より実を取りに行くコバゴーらしい選択が印象的でした。

 U-NEXT Pirates・小林剛プロがМトーナメント2024ファイナルで優勝しました。 

 第1試合でトップを獲得した小林プロ。第2試合の東4局2本場に聴牌形で重要な選択を迫られました。

 小林プロはあがりの難しいドラと数牌のシャンポン待ちのツモり四暗刻ではなく、それよりもあがりやすく、着実な両面待ちの満貫確定の聴牌に取りました。

 四暗刻を逃した形になったものの、満貫の一撃を決め、総合ポイントでリードを広げました。 

 しかし、南場に日本プロ麻雀連盟・杉浦勘介プロが粘り強い連荘で逆転。その後、小林プロが再逆転し、逃げきって栄冠に輝きました。

 ファイナルはU-NEXT Pirates・小林剛プロ、EX風林火山・松ヶ瀬隆弥プロ、TEAM雷電・本田朋広プロ、日本プロ麻雀連盟・杉浦勘介プロが対戦。

 2戦の総合ポイントを競います。

 第1試合の結果は小林63.6、杉浦6.7、松ヶ瀬-23.8、本田-46.5。

 勝負どころとなったのが第2試合の東4局2本場。持ち点は東家・松ヶ瀬37700、西家・杉浦24500、南家・小林24100、北家・本田13700です。

 トップ目で親の松ヶ瀬プロが6巡目、三萬単騎待ちで聴牌。黙聴に構えました。

 その直後、3着目の小林プロが6巡目、白を暗刻にした手牌です。

 6索を切れば、6筒とドラの5索のシャンポン待ちで、ツモり四暗刻の聴牌に取れます。

 役満の一撃を決められれば、決定打となります。

 ドラの5索を1枚外せば、4索・7索待ちで聴牌。三暗刻・白・ドラ1の満貫確定の手です。

 あがれば、2着目以上となり、優勝にぐっと近づきます。

 小林プロはドラの5索を切りました。ドラが絡んだシャンポ待ちであがりの難しいツモり四暗刻よりも、あがりやすく着実な加点を優先し、両面待ちに取りました。 

 これがコバゴーのフォームです。花より実を取りに行く「リアリスト雀士」らしい判断です。

 松ヶ瀬プロが7巡目に赤五萬をツモ切り、三萬単騎待ちで力強くリーチしました。

 すると、小林プロは9巡目に5索をツモりました。シャンポン待ちを選んでいたら、四暗刻をあがっていました。

 さすがのコバゴーも内心、苦笑いだったと思います。

 それでも、松ヶ瀬プロが13巡目に7索をつかみ放銃。小林プロは三暗刻・白・ドラ1の8000点(+1600)です。

 小林プロの持ち点は33700点となり、トップ目に立ちました。役満を逃したものの、優勝をぐっと手繰り寄せた価値の高い加点だったと思います。

 ところが、小林プロは南場に入り、杉浦プロに逆転されます。

 裏目となったのは、南2局1本場(供託1)の一打です。

 持ち点は北家・小林32700、西家・松ヶ瀬27100、東家・杉浦26500、南家・本田12700。

 小林プロはトップ目を守り、優位な戦いを進めています。

 3着目で親の杉浦プロが7巡目、槓ドラの7筒を重ね、イーシャンテンになりました。

 赤ドラ1枚、槓ドラ2枚を持つ勝負手です。

 一方、2着目の松ヶ瀬プロは果敢な鳴き仕掛けで攻めに出ました。

 5巡目に二萬、6巡目にドラの2筒をポン。7巡目に二萬を加槓し、リンシャン牌から4筒を引き入れ、カンチャンの4索待ちで聴牌しました。

 松ヶ瀬プロは9巡目に6索をツモり、4索・7索待ちに変えました。

 一方、白を暗刻で持つ小林プロは10巡目に4索をツモりました。

 小林プロは松ヶ瀬プロを警戒し、現物の4筒を外しました。

 これが痛恨の一打となりました。

 杉浦プロが11巡目、この4筒をすかさずチー。五萬・八萬待ちで松ヶ瀬プロに追いつきました。

 すると、松ヶ瀬プロが13巡目に八萬をツモ切り放銃。杉浦プロはタンヤオ・赤ドラ1・槓ドラ2の12000点(+1300)です。

 第1試合で2位だった杉浦プロの持ち点は39800点でトップ目となり、総合ポイントで小林プロに一気に迫りました。

 小林プロは10巡目、4筒を切らず、暗刻の白を1枚外す判断もあったのではないかと考えます。

 静観して松ヶ瀬プロにあがりを委ね、オリのない杉浦プロの親を流してもらい、局が進むのを良しとする戦術です。

 親満をあがった杉浦プロの勢いに火がつきました。

 杉浦プロは南2局3本場(供託2)に、松ヶ瀬プロからタンヤオ・ピンフ・赤ドラ1・槓ドラ2の12000点(+2900)をあがりました。 

 杉浦プロの持ち点は54700点となり、総合ポイントで小林プロに8.1ポイント差をつけ、ついに逆転しました。

 さらに、杉浦プロは南3局、3着目で親の本田プロの鳴き仕掛けを「アシスト」。本田プロが4000オールをあがって2着目に浮上。小林プロは3着目に落ちました。

 南3局1本場を迎え、持ち点は北家・杉浦40500、東家・本田34900、西家・小林25700、南家・松ヶ瀬-1100。

 着順が変わったため、総合ポイントで杉浦プロは小林プロとの差を17.9ポイントに広げています。

 ここで、小林プロが勝負強さを発揮します。

 親の本田プロのリーチをかわし、黙聴で満貫をツモりました。ピンフ・ツモ・ドラ1・赤ドラ2の2000、4000(+1300)です。 

 南4局を迎え、持ち点は西家・杉浦38400、南家・小林35000、北家・本田29800、東家・松ヶ瀬-3200。

 小林プロは2着目に戻り、総合ポイントで杉浦プロに13.5ポイント差をつけ、逆転しました。

 最後は本田プロが一撃を決め、総合ポイントで2位に浮上。小林プロが優勝しました。

 第2試合の結果は本田66.1、小林14.0、杉浦-18.9、松ヶ瀬-61.2。

 ファイナルの最終結果は小林77.6、本田19.6、杉浦-12.2、松ヶ瀬-85.0。

 予選からコバゴーらしい実利をしっかりと狙う打ち筋が光り、王者の座につきました。

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