見出し画像

リーチ超人・村上プロ精魂込めた闘牌で大逆転 今季Mリーグ初トップ

 赤坂ドリブンズ・村上淳プロが精魂込めた闘牌でトップ目と40200点差のラス目から大逆転。今季のМリーグで個人初トップを獲得しました。

 Mリーグ2022-23の2023年2月14日(火)の第2回戦です。

 EX風林火山・二階堂亜樹プロが四暗刻単騎待ちの役満をあがった直後、村上プロは南2局の親から怒涛の猛反撃。

 大逆転勝利に向け、覚悟を決めた危険牌の強い押し、亜樹プロの南3局の親を1000点の手で流す執念の鳴き仕掛けなどが次々と奏功。100点差でトップを飾りました。

 チーム74試合目、個人19試合目で32選手中の最後にようやく手の届いた今季個人初トップ。ずんたんは試合終了後、歓喜に満ちあふれていました。

 第2回戦はセガサミーフェニックス・魚谷侑未プロ、赤坂ドリブンズ・村上淳プロ、EX風林火山・二階堂亜樹プロ、U-NEXT Pirates・小林剛プロの並び順。

 南1局2本場(供託1)に亜樹プロが絶妙なリーチで山になかった牌を引き出し、魚谷プロの四暗刻単騎待ちをあがり、大きくリードしました。

 南2局を迎え、持ち点は南家・亜樹51600、西家・小林22500、北家・魚谷14500、東家・村上11400です。

 ラス目の村上プロはトップ目の亜樹プロとは40200点差。この親での連荘が必至です。

 村上プロにチャンスが訪れました。7巡目に3索・6索待ちの高め三色の手でリーチです。

 「リーチ超人」として知られる村上プロ好みの手です。少し時間がかかったものの、15巡目にドラの3索をツモりました。

 三色は付きませんでしたが、裏ドラを1枚乗せ、リーチ・ピンフ・ツモ・ドラ1・裏ドラ1の4000オールです。

 南2局1本場を迎え、持ち点は南家・亜樹47600、東家・村上23400、西家・小林18500、北家・魚谷10500。

 村上プロは起死回生の親満ツモで2着目に浮上しました。

 この一局では、村上プロが執念の押しで聴牌。親番を維持しました。

 ラス目の魚谷プロが8巡目にいち早くカンチャンの7索待ちでリーチしました。

 魚谷プロはリーチ・ドラ1・赤ドラ1の5200点の手です。4索を2枚切っていて、7索が引っ掛け待ちになっています。

 村上プロは慎重に安全牌を切りながら手を進めました。15巡目にカンチャンでドラの7萬をツモった手牌です。

 4萬を切れば1索・4索待ちの聴牌。ただし、4索をメンツから一度外しているのでフリテンです。

 魚谷プロが7萬と1萬を切っていて、4萬は中筋でした。

 村上プロは4萬を切り、1索・4索待ちのフリテンで黙聴に構えました。

 15巡目にツモったのが3索です。

 聴牌を維持するためには2索か3索を切らなくてはいけません。けれども、いずれも魚谷プロには無筋で通っていません。

 村上プロは長考後、危険牌の2索を勝負しました。9萬・3索のシャンポン待ちに変え、力強くリーチです。

 村上プロの勝利への強い執念を感じた一打でした。

 魚谷プロも村上プロもあがれず、2人聴牌で流局。それでも村上プロは親番を維持できたことが大きかったです。

 南2局2本場(供託2)を迎え、持ち点は南家・亜樹46100、東家・村上23900、西家・小林17000、北家・魚谷11000です。

 3着目の小林プロが12巡目に「789」の三色の手で聴牌しました。

 小林プロはドラの7筒待ちで、三色・ドラ1・赤ドラ1の満貫確定の手です。黙聴に構えました。

 親の村上プロが15巡目に追いつき、6萬・9萬待ちでリーチしました。

 村上プロは16巡目に6萬を一発でツモりました。

 村上プロはリーチ・一発・ツモ・ドラ1の4000オール(+2600)です。

 南2局3本場を迎え、持ち点は南家・亜樹41900、東家・村上38500、西家・小林12800、北家・魚谷6800です。

 村上プロが親満ツモ2発で一気に迫り、亜樹プロと3400点差。トップ目が見えてきました。

 ところが、この一局は村上プロを除く3人のあがり競争となりました。

 トップ目の亜樹プロが役牌の白を鳴き、9巡目に3萬・6萬待ちで聴牌。

 3着目の小林プロも負けじと11巡目に8萬をポン。2索・5索待ちで聴牌しました。

 ラス目の魚谷プロも12巡目に3萬・6萬待ちでリーチしました。

 リーチは強いです。親の村上プロは手を崩し、亜樹プロと小林プロはイーシャンテンに戻して現物を切りました。

 すると、魚谷プロが13巡目に一発でツモったのが6萬です。

 魚谷プロはリーチ・タンヤオ・イーペーコー・一発・ツモ・赤ドラ1の3000、6000(+900)です。

 役満を放銃して最後の親番を失っても試合が終えるまで絶対にあきらめない「不撓不屈の麻雀」こそ、魚谷プロの真骨頂です。

 南3局を迎え、持ち点は東家・亜樹38600、北家・村上32200、西家・魚谷19700、南家・小林9500です。

 村上プロは跳満の親被りで亜樹プロと6400点差に広がりました。

 村上プロの配牌。自風の北とオタ風の西がトイツです。

 村上プロは2巡目にカンチャンの3筒、3巡目に5萬、4巡目に7萬、5巡目に7筒、6巡目に9萬を引き入れました。

  7巡目にカンチャンの6萬をツモってイーシャンテンです。

 村上プロは8巡目に親の亜樹プロが切った自風の北を1鳴きし、3索・6索待ちで聴牌しました。

 巡目がまだ早いので1鳴きせず、メンゼンでの聴牌・リーチを狙う選択もありました。それでも、村上プロは亜樹プロの連荘を絶対に阻止しようと、動きました。

 村上プロの打ち筋は役牌を1鳴きせず、リーチして高打点に仕上げるのが特長で、リーチ超人の魅力でもあります。

 けれども、その重厚さがスピードの遅れとなり、今季のMリーグでは裏目になることもありました。

 この一局では、北のみの1000点の手であがりに向かい、亜樹プロの親を流してオーラスの勝負に懸けました。

 この試合では安手の1鳴き聴牌に取った選択が最後に100点差で大逆転した勝因と思います。

 村上プロは11巡目に3索をツモりました。

 村上プロは北のみの300、500です。

 南4局を迎え、持ち点は北家・亜樹38100、西家・村上33300、南家・魚谷19400、東家・小林9200。

 村上プロは亜樹プロと4800点差です。1000、2000のツモあがりで逆転できます。

 ラス目で親の小林プロが9巡目にいち早く聴牌。8筒・白のシャンポン待ちでリーチしました。

 小林プロはダブドラの赤5萬と赤5筒が入った勝負手です。高めの白をツモれば、リーチ・白・ツモ・ドラ1・赤ドラ2の6000オールで一気に浮上できます。

 リーチ直後、村上プロが9巡目に9筒をツもった手牌です。

 村上プロはドラの5萬がトイツ。タンヤオ・ドラ2の3900点のあがりが狙えます。小林プロからリーチ棒の1000点が出たので、どこからの出あがりでも4900点の収入となり、亜樹プロを逆転できます。

 村上プロはトップを目指し、長考後に小林プロにとても厳しい9筒を力強く押しました。

 村上プロは10巡目に魚谷プロが切った現物の5索をチー。危険牌の6萬を9筒に続けて勝負し、5萬・4筒のシャンポン待ちで聴牌しました。

 ここで5索をチーできたことは、村上プロにとって極めて幸運でした。

 もし、魚谷プロから鳴ける牌が切られていなければ、村上プロが10巡目にツモったのは小林プロのあがり牌の白でした。

 白を勝負して切っていたら親満の放銃、裏ドラが乗れば親の跳満です。白を残していれば、残りの1枚を亜樹プロが持っていたので、あがりはもちろん、聴牌もできなかったと思います。

 絶好のタイミングで鳴けた村上プロに、さらに麻雀の神様から幸運が舞い降りました。

 小林プロが11巡目に4筒をつかみ放銃。村上プロはタンヤオ・ドラ2の3900点(+1000)です。

 最終結果は村上38200、亜樹38100、魚谷19400、小林4300。村上プロは南2局からの大逆襲で、わずか100点差で役満をあがった亜樹プロをまくり、トップを飾りました。

 劇的な大逆転の名局でした。

 亜樹プロは四暗刻単騎待ちをあがった後、村上プロの勢いを止める手が入りませんでした。それでも、役満をあがった一局の打ち回しは見事です。

 魚谷プロは役満を放銃して最後の親番を失ったことにもひるまず、跳満ツモのあがりはさすがでした。

 小林プロはオーラスの親の勝負手が実らず、厳しい戦いでした。それでも随所に得意の鳴き仕掛けを見せてくれました。

 今季のМリーグの個人ポイントランキングで32人中最下位。苦戦続きのずんたんがようやく1勝です。

 チームメイトの丸山奏子プロに続く初トップで喜びもひとしおのことでしょう。

 村上プロは試合後のインタビューで、ずんたんを熱心に応援しているファンたちを思い、「泣いていません」と言いながらも目が真っ赤になっていました。
 
 村上プロは元旦に結婚しました。新婚の奥様にとって、バレンタインデーのその日に、旦那様から最高のお返しとなる勝利のプレゼントだったと思います。

 食通で知られる奥様。きっととびきり美味しいスイーツで、ずんたんと劇的な勝利の喜びを分かち合うことでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?