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瀬戸熊プロが名人戦初優勝

 TEAM雷電・瀬戸熊直樹プロがモンド麻雀プロリーグ第16回名人戦で優勝しました。

 瀬戸熊プロは予選、準決勝、決勝第1戦を通じて持ち前の重厚な力強い攻めが冴えました。

 決勝第1戦で大きなトップを獲得し、ポイントトップで迎えた最終戦となる第2戦。RMUの河野高志プロと最高位戦日本プロ麻雀協会の新津潔プロがあがれば逆転というところまで迫りました。

 それでも瀬戸熊プロはオーラスに自らあがって決着をつけ、薄氷の逃げきりで名人戦の栄冠に初めて輝きました。

 厳しい大接戦をしっかりと勝ちきった「卓上の暴君」。Mリーグ2022-23での活躍を期待させる優勝です。

 瀬戸熊プロは予選・準決勝を1位で通過しました。

 決勝は予選・準決勝までのポイントがリセットされ、2戦勝負で合計ポイントを競います。

 決勝に進出したのはTEAM雷電・瀬戸熊直樹プロ、日本プロ麻雀連盟・藤崎智プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・新津潔プロ、RMU・河野高志プロ。いずれもタイトル経験豊富な強豪です。

 ◎勝負を懸けた踏みこみ

 決勝第1戦は瀬戸熊プロが南場の親で勝負を懸けた強烈な攻めの踏みこみを続けて見せました。

 藤崎プロ、新津プロ、瀬戸熊プロ、河野プロの並び順。南3局を迎え、持ち点は東家・瀬戸熊32200、北家・新津29000、南家・河野21000、西家・藤崎17800で接戦です。

 いち早く9巡目に聴牌したのは2着目の新津プロです。3索を切って5索・8索待ちでリーチしました。

瀬戸熊1

 その直後、親の瀬戸熊プロが10巡目に4索をツモった手牌です。安全牌はありません。

瀬戸熊2

 新津プロが8萬を2枚切っているので9萬は通しやすいです。

瀬戸熊3

 ただし、9萬を切ると2枚切れのカンチャンの8萬待ちが残り、あがりにくくなりります。

 トップ目なので一発を避け、慎重に9萬を切る選択もありました。けれども、瀬戸熊プロはここが勝負どころと見て、無筋の1索を切り、6萬と8萬の両方が受け入れられる形に取りました。

瀬戸熊4

 踏みこんだ力強い打ち筋です。ゲスト解説の渋谷ABEMASの白鳥翔プロもここで1索切りを推奨していました。勝負強い打ち手ならば十分ありえる選択のようです。

 9萬を残したのはずばりでした。瀬戸熊プロは11巡目に6萬をツモって聴牌。5萬を勝負して6索・9索待ちでリーチです。

瀬戸熊5

 新津プロが14巡目に9索をつかみ、瀬戸熊プロに放銃。瀬戸熊プロはリーチ・ピンフ・ドラ1の5800点(+1000)のあがりです。

 持ち点は東家・瀬戸熊39000、北家・新津22200、南家・河野21000、西家・藤崎17800になりました。

◎あくまでも強気に6000オール狙い

 続く南3局1本場に連荘した瀬戸熊プロの大物手が派手に決まります。

 4巡目に2索をツモった瀬戸熊プロの手牌です。

瀬戸熊6

 瀬戸熊プロは「234」の三色を狙って2索を残し、7筒を切りました。

瀬戸熊7

 「ここで大きな一発を絶対に決めよう」という瀬戸熊プロの意志が伝わる一打です。

 7巡目に2萬をツモり、トイツの中を1枚外し、タンヤオ・ピンフ・三色の手への移行を図ります。

瀬戸熊8

 8巡目に絶好の3索をツモり、5索を切ってイーシャンテンです。2索を残したことが奏功しました。

瀬戸熊9

 瀬戸熊プロのツモはすごく効いていました。9巡目にツモったのが4筒。「234」の三色が確定して5筒・8筒待ちで聴牌しました。

瀬戸熊10

 瀬戸熊プロはタンヤオ・ピンフ・三色の親満確定の手です。出あがりを期待して黙聴に構える打ち手も多いと思います。

 ところが、瀬戸熊プロはノータイムでリーチし、ツモって親の跳満のあがりを目指しました。短期決戦なのでここで大物手を決め、優勝をぐっと近づけようと勝負を懸けたリーチです。

 親なのでリーチすれば他家の手作りを止められるメリットがあります。しかし、リーチしていなければ切られる牌が抑えられ、あがりを逃すリスクもあります。

 瀬戸熊プロは出あがりの12000点ではなく、あくまでも強気に6000オールのツモを狙いました。「卓上の暴君」らしい選択です。

 ゲーム回しの巧みなゲスト解説の白鳥プロは「親満をあがれば十分決定打になるので自分だったら黙聴にしたい」と話していました。

 一方、豪快な高打点のあがりで知られるレギュラー解説の望月雅継プロは「瀬戸熊プロと同じようにリーチして決めに出たい」と嬉しそうに語っていました。

 リーチするか黙聴にするかは打ち筋によって判断が分かれそうです。

 この一局では瀬戸熊プロのリーチは正解でした。17巡目に8筒をツモり、リーチ・タンヤオ・ピンフ・三色・ツモの6000オール(+300)です。

瀬戸熊11

 瀬戸熊プロはこの2つのあがりで決勝第1戦で大きなトップを取りました。第1戦を終えたポイントです。

 ①瀬戸熊63.1②河野5.9③新津-28.9④藤崎-40.1

◎オーラスのあがりで薄氷の栄冠

 決勝第2戦は瀬戸熊プロ、河野プロ、新津プロ、藤崎プロの並び順です。

 瀬戸熊プロは東1局に起家で痛い放銃がありました。

 ポイント2位で南家の河野プロがいち早く7巡目に5筒・8筒待ちでリーチしました。

瀬戸熊1

  河野プロはリーチ・タンヤオ・ピンフの手で5筒であがれば「567」の三色が付きます。

 瀬戸熊プロもまずまずのチャンス手が入っていました。10巡目に6索をツモった手牌です。

瀬戸熊2

 瀬戸熊プロは河野プロが4巡目に6筒を切っていたので、8筒を1枚外してイーシャンテンに構えました。

瀬戸熊3

 この8筒で河野プロに放銃。河野プロは裏ドラが1枚乗ってリーチ・タンヤオ・ピンフ・裏ドラ1の8000点のあがりです。

 瀬戸熊プロには現物があり、第1戦の「貯金」もあったのでオリに回ってほしかったです。

 瀬戸熊プロはいきなり当面のライバルに満貫を放銃してラス目になり、第2戦では厳しい戦いをずっと強いられました。

 新津プロと河野プロがトップ目を争い、南4局に親の藤崎プロが粘って連荘。南4局4本場(供託2)を迎え、第2戦の持ち点は北家・新津38000、西家・河野35100、東家・藤崎14700、南家・瀬戸熊10200です。

 瀬戸熊プロは第2戦でラス目なものの、あがれば優勝です。

 河野プロはあがれば逆転優勝です。

 新津プロもあがれば逆転優勝です。ただし、新津プロは藤崎プロと瀬戸熊プロの第2戦の順位を入れ替わらないようにあがらなければいけません。

 瀬戸熊プロに優勝を決める絶好の手が入りました。いち早く7巡目に1萬・4萬待ちで聴牌です。もちろん黙聴に構えました。

瀬戸熊5

 そして瀬戸熊プロは8巡目に1萬をツモりました。

瀬戸熊6

 ピンフ・ツモ・ドラ1の700、1300(+3200)のあがりです。薄氷の綱渡りでしたが見事に自らあがって優勝を決めました。

 決勝の最終結果です。

①瀬戸熊39.2②河野19.9③新津18.0④藤崎-77.1

 素晴らしい熱戦でした。瀬戸熊プロは決勝の収録日に結婚20年目の記念日だったそうです。悲願の初優勝を成し遂げ、夫婦で最高の祝いになったと思います。

◎モンド王座決定戦は豪華な顔ぶれ

 名人戦を制した瀬戸熊プロは第18回モンド王座決定戦に臨みます。モンド王座と女流モンド杯、モンド杯のそれぞれ優勝者と対戦します。

 連覇と5度目の優勝を狙うのがモンド王座決定戦にめっぽう強いセガサミーフェニックスの魚谷侑未プロです。

 女流モンド杯を制したのはベテランの清水香織プロです。

 モンド杯優勝はさまざまなタイトル戦で活躍している渋谷ABEMASの白鳥翔プロです。

 4戦の合計ポイントでモンド王座が決まります。魚谷プロ、清水プロ、白鳥プロ、瀬戸熊プロの豪華な顔ぶれによる勝負が待ち遠しいです。

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