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ASAPINの赤ドラ放銃に興ざめ

 Мリーグ2021の2021年11月16日(火)の第2試合で興ざめする一打がありました。

 U-NEXT Pirates・朝倉康心プロが赤ドラを切って放銃したことです。5索ではなく、わざわざ赤5索を選択し、点数増しでの振り込みとなりました。
 
 ASAPINのハンドルネームで初代天鳳位に輝いたネット麻雀の申し子。特例として最高位戦B1リーグからの参加を認められプロ入りしました。

 Мリーグでは、独特の打ち筋で麻雀ファンの人気を集めています。
 
 一方、昨年に誤ツモであがり放棄するなど物議を醸すことがあります。今回の一打では、「なぜ」とびっくりして思わず、コーヒーを吹き出しそうになりました。

 南3局1本場で西家・U-NEXT Pirates・朝倉康心プロ、北家・KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠プロ、東家・EX風林火山・二階堂瑠美プロ、南家・セガサミーフェニックス・茅森早香プロの並び順。

 持ち点は沢崎29600、瑠美24700、茅森24200、朝倉21500で「全員集合」の大接戦です。

 朝倉プロに絶好手が入り、白をポンしドラ南と5索のシャンポン待ちで聴牌しているところに6索をツモりました。

朝倉プロ手牌

 捨て牌も3段目に入った残り14牌の終盤。他の対局者が聴牌していてもおかしくない状況。5索、6索は安全牌でありません。

 しかし、白・ドラ2・赤ドラ2の満貫の勝負手で降りる選択肢はまずなく、朝倉プロはドラ絡みのシャンポン待ちよりあがりやすい4索・7索の両面待ちに変化する5索を切ると思いました。

 ところが、朝倉プロが選んだのは赤5索。これがピンフ・タンヤオ・高め三色の5索・8索待ちで黙聴していた沢崎プロに放銃となりました。

沢崎手牌2

 2筒をチーしていた親の瑠美プロも5索・8索待ちで聴牌していましたが、頭ハネで沢崎プロのあがりです。

瑠美手牌

 5索切りの放銃は仕方なかったと思います。6索も危なく、あがりやすさを考えるならば自然な一打です。

 けれども、振り込んで点数をわざわざ高くする赤5索切りは納得できません。

◎あがり率少しでも高くなるのだろうか

 朝倉プロはあがる点数がどちらを切っても満貫になるので、普通の手順である5索ではなく、あがれる確率が少しでも高くなると判断した赤5索を選択したそうです。そうなのでしょうか。

 終局間近に手出しで5索を切れば、5索だろうと赤5索だろうと手変わりの4索・7索待ちを本命と読むのは変わりません。

 また、赤ドラを切る意表の戦術はU-NEXT Piratesの石橋伸洋プロらが使って話題となり、トッププロには前よりも読まれていて効果が薄くなっていると思います。

 さらに、朝倉プロは策を練った打牌をする戦略家です。煮詰まった場面で赤5索を切るとかえって「4索・7索待ち本命をカモフラージュするためにわざわざ赤ドラを切ったのでは」と、ASAPINならではの人読みをされる可能性も強いと考えます。

◎あげなくていい点数支払うデメリット

 朝倉プロは5索での放銃率はそれほど高くないと読んでいたようです。振り込んだ場合の点数増しはもちろん承知していたはず。

 ラス目なので放銃すれば5索でも赤5索でも激痛なのは変わりなく、それならば少しでもあがり率の高いと判断した赤5索を選んだのかもしれません。

 けれども、本来あげなくていい点数を支払う接戦におけるデメリットをどう考えていたのか、とても興味深いところです。

 沢崎プロのあがりはピンフ・タンヤオ・赤ドラの3900点で1本場の300点を加えて4200点でした。もし、5索を切っていればピンフ・タンヤオの2000点で1本場の300点を加えて2300点です。1900点分余計に支払ったことになります。

 赤5索の放銃でオーラスの南4局を迎えた持ち点は西家・沢崎33800、北家・瑠美24700、東家・茅森24200、南家・朝倉17300です。

 ラス目の朝倉プロはトップ目の沢崎プロと16500点差で跳満をツモってもトップになれません。瑠美プロとは7400点差で1300、2600をツモっても2位に浮上できません。茅森プロとは6900点差で1000、2000をツモっても3位になれません。

 一方、5索の放銃ならば持ち点は沢崎31900、瑠美24700、茅森24200、朝倉19200です。

 朝倉プロは沢崎プロと12700点差で跳満をツモればトップです。瑠美プロとは5500点差で1300、2600をツモると2位に浮上できます。茅森プロとは5000点差で1000、2000をツモると3位になれます。

 Мリーグでは、チームの優勝に向け、対局で個人順位の浮上は重要です。この1900点の違いは大きいと考えます。余計な失点がなければ順位を上げるための手作りで条件を軽くすることができました。

 麻雀は運に左右されるもので、やむを得ない放銃は多々あります。だからこそ絶対に防げる失点は避け、上位を目指したいものです。
 
 麻雀ファンの注目を集めるМリーガーには納得する一打を見せてほしいです。赤5索切りはどうしても理解することができませんでした。

 朝倉プロには捲土重来を期待しています。これからの試合で今回のことを一掃するような素晴らしい闘牌を願っています。

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