寿人プロ的確な押し引きで鳳凰位奪還
勝負どころで的確な押し引きが絶妙でした。
KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人プロが鳳凰位を奪還。日本プロ麻雀連盟最高峰のタイトル戦で2年ぶり3度目の栄冠に輝きました。
第40期鳳凰位決定戦は連覇を目指すHIRO柴田プロと、鳳凰戦A1リーグを勝ち上がった勝又健志プロ、佐々木寿人プロ、藤島健二郎が対戦。4日間、全16試合で熱戦を繰り広げました。
寿人プロは初日の4試合を終えて1度もトップを取れず、総合ポイントで最下位に沈みました。
しかし、そこから魔王の底力を存分に発揮。残り12試合で9回のトップを獲得しました。
決定戦で16戦中9回のトップは素晴らしいです。
寿人プロは2日目から攻守のバランスが冴えわたりました。
勝負どころとなった最終戦(16回戦)の東2局2本場。寿人プロは見事な押し引きで鳳凰位の座をぐっと手繰り寄せました。
最終戦はHIRO柴田プロ、勝又プロ、藤島プロ、寿人プロの並び順。
東2局2本場(供託3)で持ち点は東家・勝又34000、西家・寿人28500、北家・HIRO柴田28000、南家・藤島26500。
この一局を迎えた時点の総合ポイントは寿人39.7、勝又27.7、HIRO柴田26.1、藤島-96.5です。
優勝争いは寿人プロ、勝又プロ、HIRO柴田の三つどもえの大接戦となっています。
苦しい展開の続く藤島プロが1巡目に九萬をツモり、萬子の一気通貫のイーシャンテンです。
逆転優勝を目指す親の勝又プロも2巡目に8筒をツモり、イーシャンテンになりました。
勝又プロは3巡目に五萬をツモって9筒を外し、タンヤオへの移行を図りました。
5巡目に七萬をツモり、再びイーシャンテンです。
一方、藤島プロは2巡目に8筒、5巡目に六萬を引き入れ、「789」の三色のイーシャンテンになりました。
寿人プロも5巡目に場風の東を暗刻にしました。こちらもイーシャンテンです。
寿人プロは8巡目に1索をポン。カンチャンの八萬待ちでいち早く聴牌しました。
寿人プロはあがって、勝又プロの親を流したいところです。
藤島プロも9巡目にペンチャンの7筒を引き入れ聴牌。カンチャンの8索待ちでリーチしました。
「789」の三色確定の手です。3巡目に5索を切っているので、筋の8索は出やすくなっています。
寿人プロは9巡目に無筋の3筒をツモり、聴牌を崩さずにノータイムで押しました。3筒は親の勝又プロが6巡目に切っています。
寿人プロは11巡目に危険牌の9索をツモりました。
ここでは押さず、藤島プロの捨て牌に萬子が多く、四萬も切っているので筋の七萬を外し、聴牌を崩しました。
勝又プロは9巡目に5索、12巡目に7筒をツモり、カンチャンの六萬待ちで聴牌しました。
勝又プロは萬子が安い場なので、出あがりを狙って黙聴に構えました。藤島プロの危険牌をつかめばオリにも回れます。
寿人プロは14巡目に8索をツモり、ペンチャンの7索待ちで再び聴牌しました。
寿人プロがもし、11巡目に聴牌を崩さず、9索を押していたらここで8索も切って藤島プロに放銃していたと思います。
「魔王」ならではの的確で絶妙な押し引きです。
勝又プロは15巡目にドラの西をツモり、現物の4索を切ってイーシャンテンに戻しました。
16巡目に続けて西を引き入れ、カンチャンの六萬待ちでリーチです。
勝又プロはリーチ・ドラ2の手です。放銃を避けながら高打点の聴牌にこぎ着けました。
「軍師」の切れ味鋭い打ち回しです。
けれども、魔王の勝負強さは軍師の巧みさを上回っていました。
寿人プロは17巡目に7索をツモ。東の400、700(+5600)です。
寿人プロの持ち点は35600点となり、この試合のトップ目に浮上。ライバルのあがりを阻止した価値の高い東のみのあがりです。
寿人プロの総合ポイントは1位を守って55.8となり、2位のHIRO柴田プロに31.3ポイント差、3位の勝又プロに38ポイント差をつけ、大きくリードしました。
寿人プロは最終戦もトップを取り、2年ぶりに頂点に立ちました。
鳳凰位決定戦の結果は寿人76.6、HIRO柴田10.8、勝又1.5、藤島-88.6。
寿人プロは9回のトップを獲得した会心の優勝。この勢いをМリーグにもつなげてほしいです。