2024.3.5

演劇然り、音楽コンサート然り、ライブエンターテインメントの長所であり短所は、「時間」と「場所」を拘束されるところにあると考えている。

奇しくも、タイムパフォーマンスが重視され、テレビを見るにも映画を見るにも、サブスクリプションサービスを用いて倍速視聴することが当たり前になっている現代社会の人々にとっては(私もしてしまう)、なんて面倒な娯楽なんだろうと思う人の方が多いかもしれない。


しかし、その「面倒さ」がライブエンターテインメントの強みにもなりうるのではないだろうか。

ライブエンタメの中でも、演劇についての話をしたい。演劇作品はまず映像化されること自体が珍しい。コロナ禍で映像配信という手法が広まりはしたが、大手の商業演劇くらいの規模が無いとそれも難しい。主催や制作側の意向として、映像を残したくない、配信をしたくない、という意見があることもまた事実だ。ましてや、サブスクリプションで配信されるなんて夢のまた夢。原作ありきの舞台化(にしても限られてはいる)、作品映像に力を入れている劇団の公演じゃないと動画配信サイトで観ることは難しい。

だから、演劇を味わいたい人は、劇場に行くしかないのだ。公演の何ヶ月も前にチケットを取り、学校や仕事の都合を付け、上演中はスマホも触れずろくに体を動かすこともできず、ただ椅子に座り、舞台を見上げる。そんな拘束を受けてまで、観たいものが劇場にはあるから。

その時、その場所に居ないと共有できない感動を味わいに行くために、私はまた、劇場へ向かうことだろう。

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