【ネット歯科大】歯周ポケット数値の信頼性
歯周病の検査でもっとも一般的なものは、歯周ポケットの深さです。
この歯周ポケットですが、実は検査する人によって値が異なる可能性があります。今回は歯周ポケットの数値の信頼性について考えていきます。
まず歯周ポケットとは、歯と歯ぐきのすき間のことで、歯周ポケット深さの値が大きくなると歯周病が進行していると判断できます。
歯周プローブという細い棒状の器具を用い、歯と歯ぐきのすき間に挿入して、どこまで入るかを測定しています。
歯周ポケット深さに対する評価として、3mm以内であれば正常、4mm以上では歯周病が進行していると判定します。
歯周ポケットを検査する際、検査者となる歯科医師や歯科衛生士は一定の力で測定をおこないます。25gくらいの軽い挿入圧で実施することが適切とされています。
熟練した検査者であれば一定の力で検査をすることが可能です。しかし、人がおこなうことですので、多少のばらつきが生じる可能性があります。すなわち、挿入圧が強い検査者と弱い検査者では、歯周ポケットの値に差が出るといえます。
そもそも、プローブという検査器具がどこまで挿入できるかは、組織の状態によってかなり違いがあることが示されています。
歯ぐきが腫れている状態の場合、引き締まりが弱まっているので、同じ挿入圧であっても深くまで器具が挿入できます。そのため検査時に出血しやすくなります。歯周ポケット検査時の出血の有無も、歯ぐきの腫れを評価するための指標として利用されています。
歯周病の定期管理を継続しているような場合、固定の担当者が毎回検査してくれているようであれば、検査者による違いという要素を除外して考えることができます。したがって、わずかな悪化の徴候なども高い精度をもってつかみやすいといえるでしょう。
当然のことながら、検査者は人による差が生じないように一定の圧力で検査をするようにトレーニングしています。そのため、検査者が異なるからといって比較できないデータとなっているわけではありません。
歯周ポケット検査の実際とはこのようなものであるということをご理解いただき、データを適切に取り扱っていただくことが、口の健康維持にもつながっていきます。
神奈川歯科大学 青山典生