【ネット歯科大】歯並びは見た目だけの問題ではない
きれいな歯並びを目指すことも治療の目的のひとつではありますが、審美的な改善だけを求める治療法ではありません。歯並びやかみ合わせに問題がある状態を不正咬合といいますが、今回はその不正咬合によって生じる問題を見ていきます。
ひとつ目に、歯並びの問題によって食べものをかむことに支障がある場合があります。
歯並びが良くないということは、かむという基本的な歯の機能にも影響が出ることがありますが、これは想像しやすいでしょう。うまくかめないだけでなく、さらなる影響が生じます。
よく使う歯が限られてしまうため、長期的に見ると負担がかかりすぎてしまう歯が生じます。そうなると、一部の歯にダメージが蓄積してしまいます。歯にダメージがたまるとは、歯周病が進行しやすかったり、歯が割れてしまったりすることにつながります。
つづいて、不正咬合が原因となり、むし歯や歯周病が進行しやすくなります。
歯並びが良くないということは、歯みがきが行き届かず、みがき残しが多くなりがちです。歯並びの状態によっては、どうしてもきれいにみがくことができないエリアが出てしまうこともあります。
この場合、当然のことながら時間が経つとむし歯や歯周病が進行しやすくなります。また、みがき残しは口臭の原因にもなってしまいます。
このように、歯並びが良くないことによってさまざまなトラブルにつながってしまいます。不正咬合を解消することでそれらの問題を未然に防ぐための治療が矯正歯科治療です。
犬歯が外側に位置した状態を、八重歯(やえば)と呼ぶことがあります。わが国では八重歯は魅力的であるととらえる場合もあり、このあたりは人の好みですので良しあしで評価すべきものではないでしょう。
一方、歯科医師の立場から機能の面を考慮すると、犬歯はそもそも根の長い歯ですので、かみ合わせにしっかりと参加してほしいという考え方があります。八重歯の状態では、犬歯がかみ合わせに寄与するところはかなり限られてしまいます。
見た目がいいかどうかは、国や文化、あるいは人によっても大きく異なるものでしょう。見た目としての歯並びの評価は、個人の主観によるところが大きいと言えます。
一方で、上記の通り、歯並びやかみ合わせが整っていることは機能の維持や疾患予防の観点からは適切なことです。
歯並びは、見た目だけの問題ではありません。歯並びについて気になっている方は、矯正歯科で話を聞いてみてはいかがでしょうか。
神奈川歯科大学 青山典生
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