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大学の寮でのガールズトークの記憶〜○○くんと・・・できる!?できない!?いや・・・できない!〜

 20年以上前の大学時代の寮生活の思い出について引き続き書きたい。

 大学の寮で色々と驚いたことはあったのだが、比較的恋愛経験が豊富と思しき女性たちの一部が、彼女たちの日常的なセクシュアルな経験についてあけすけに語っており(私に対しては、誰もその手の話題をふってはこなかったが…汗)割と不特定多数の人々がいる場所でそれらの経験をオープンに話していた。ソーシャル・ルームと呼ばれていたいろんな人が集う部屋や、風呂場などで何の前触れもなく、そう言ったトークが行われることがあり、それは、かなりの衝撃であった。

 北関東で生まれ、床屋で髪を切って、私服が2着しかなかったような私にとっては、途轍もないカルチャーショックであった。なぜなら、日本で生まれ育ち、地味目な冴えない青春時代を送った女性は、私を含め多くの女性が、セクシュアルな話題をする権利がないからである。地味目の女性がそういうことを話題にすると、なんとも言えない絶望的な、不穏な空気になってしまうだろうことは、想像に難くないので、もはや戒律が厳しい国のような、自主検閲のようなものがある。「そう言った話は誰に対しても一切してはいけない、なぜなら地味目な女性がそういうことを話題にすると、とてつもなく聞き苦しいと思われる」という重たい重たい十字架を背負わされていると思う。

 そもそも大学生だった20年前は、そう言った話題に入っていける材料が、まるでなかったので(今も自意識の上では大して変わらないのだが)入っていきようもなかった。そのためこれらの思い出は、なんとなくその場に居合わせたために耳に入ってきた先輩方が話していた話、である。先輩方、勝手に書いてごめんなさい!

 寮生活の思い出の中でも、特に思い出深いのが、風呂場、であった。入寮して間もない頃は、銭湯のような風呂に日常的に入ることにかなり抵抗があった。なにぶん全員「裸体」なのである。体型に関してのコンプレックスや、いろんな思いが混在する中で、入寮当初は全力でタオルを巻いて入っていた。しかしながら、毎日、風呂が共同なので、だんだん、どうでも良くなって、風呂場で写真を撮ったことすらあった!あの写真どうか燃やしてくれ!どうかしてるよ!

 留学生によっては、複数の人々と全裸で風呂に入る、という行為に絶対的な抵抗を感じている人もいて、誰もいない時間をあえて選んで、一人で入っている人もいたような記憶がある。

 ある日、恋愛経験が豊富と思われる、イケイケ(?)の女性のリンゴ先輩(仮名)が、風呂場でこんな話題をふってきた。

「ねすぎ、好きな人とかおらんの?」

「いやー…いないよー!」

 北関東の冴えない女子校出身という、重い十字架を背負っていた自分としては、おいそれと誰かのことを好きだなんて言えないよ絶対!という感覚があった。幸か不幸か、基本的に誰からも恋愛の話を振られることはなかったので、質問をされたことに驚きつつも、そのリンゴ先輩(仮名)の、分け隔てない感じはちょっと面白かった。

「そうなんかー、ふーん。」

私への質問は、あっという間に終わった。

 イケイケの女性のリンゴ先輩(仮名)は、その時一緒に風呂場にいた、別のモモコ先輩(仮名)にも、「モモコ、好きな人とかおらんの?」と聞き続けていた。

 当時は男子寮が3つもあったので、いろいろな謎の交流イベントがあり、共通の知り合いの男子寮生がたくさんいた。イケイケの女性であるリンゴ先輩(仮名)は、「◯◯寮の板尾くん(仮名)とか、合いそうやけど、どうなん?」とひたすら男子寮生の固有名詞をあげまくって、果敢にモモコ先輩(仮名)に聞き続けていた。千本ノックというか、矢継ぎ早に続く大喜利のような感じであった。

リンゴ先輩:「〇〇寮の、東野君(仮名)とかどうなん?話し合いそうやけどー。」

モモコ先輩:「東野君か…うーん…
(修行僧のように滝のようなシャワーを浴びながら腕を組んで悩む)

「東野君とは、…セックスは…できないなー」

リンゴ先輩:「◯◯寮の今田くん(仮名)は?
       かっこいいと思うけどなー。」

モモコ先輩:「今田くんか…うーん…
      (滝のようなシャワーを
       引き続き浴びながら悩む)

      「今田くんとは…
       セックスは…できないなー」

リンゴ先輩:「〇〇寮のホンコンくん(仮名)は?
       なんか面白い人だよー」

モモコ先輩:「ホンコンくんか…うーん…
      (滝のようなシャワーを
       引き続きさらに浴びながら
       腕組みをして悩む)


「ホンコンくんとは、…セックスは…できないなー」

この千本ノックにはその場にいた全員が大爆笑していた!

私はそのやり取りを、ゆでダコのようになった状態で、湯船に入りながら聞いていた。

それにしても「つきあえない」理由としては、なんというストレートな理由であろうか!私は多大なる感銘を受けた。

そう、できるかできないか、それは(男女問わずであろうが)大問題であったのだ!

以上です!

 



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