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そんなに・・・広末悪いかな!?大量投下で何かを隠蔽!?

 こんなに広末涼子のことを考えたことはなかった。

もはや誰とも共通の話題がない2023年。地元トーク、出身の学校トーク(マイナーな学校出身の身にはマジで滅多に出身者に会えない)、部活動トーク、ナショナリズム、近隣諸国への怨嗟、政治への不満。共通項を探し人々は右往左往している。

 そんな中でこのスキャンダル。広末涼子のことをあまり考えなくなって久しかった私も思わず、MK5!と言う単語を派遣の女性から聞いて思い出し、youtubeで検索してしまった。

 MK5…Maji で Koiする 5秒前…ぷぷ…なんだその略。苦笑いで再生したスマホの画面に登場した90年代初頭の広末涼子。

 体が、むずがゆくなるような演出が続く。ワン・トゥー・スリーフォーファイッという囁き。フーセンガムをふくらます人を久々に見た。フーセンガムのことを忘れていた。とにかくずっと笑顔。笑顔が過ぎる。謎のくねり。デッキブラシ…桜並木…太すぎるボーダー、犬、DIY、鉄アレイ…。小さなブラシをマイクに見立てる。

 苦笑いで見始めたのだが、途中から戸惑いを覚え始めた。

 広末涼子は、とにかく圧倒的に可愛いのだった。演出でどうにかなるものではない。真っ直ぐ。ピュア。彼女以外にはできない、丸い髪型。黒髪。しかし本当に可愛い。曲もアレンジも歌詞も、気合いが違う。潤沢な予算が投じられている。iphoneでは撮れないこのプロモ。

 当時の広末涼子の記憶…あらゆる大ヒットドラマには全て出演。映画にも出演。竹内まりや御大による楽曲提供。早稲田大学に入学。早稲田大学の入試倍率激あがり。国をあげて広末涼子の動向を気にしていた。その後の活躍も止まるところを知らず、あの「レオン」のジャン・レノとWASABIで共演。ローカルからグローバル、そしてローカル(高知のニラのPR等)へ。台湾の友人たちもみんな魅了されていた(20年前)。グアンモー・リャンズ(中国語読み)。

 90年代から、彼女はずっと広末涼子でいた。それはとても大変だったのではないかと思う。明るくて元気で可愛くて…自然と顔が笑うタイプの女性。勝手なイメージを作られて、一方的に幻想を持たれて、そうかと思うと勝手に嫌われて、突然崖から突き落とされる。火サスのように。

 芸能人なのだから、それが仕事…なのかもしれないけれど、オッサン社会の暴力性はいつも、楽しそうな、優しそうな、溌剌とした真っ直ぐな人を、あらゆる方面からの悪意でぐちゃぐちゃにつぶすことで成り立っている。

 キャンドル・ジュンの演出したキャンドルを音楽フェスの会場で何度か見たことがある。ジュンも、広末涼子の夫として生きるのも、きっと大変だったことと思う(よく知らんけど)。キャンドル・ジュンのインタビューを読んだことがある。東日本大震災の後、各地で火を灯してきた、というようなことを話していた。戸惑いを感じるほどのピュアさであった。

 ピュアな人たちはいつもこの壊れかけた世界でぐちゃぐちゃにされてしまうけれど、ぐちゃぐちゃにされたものから、また灯される新たな火から、何かが生まれるのではないかと思う。

 スキャンダルを大量投下して、炎を燃やし、もっと重要そうな何かから目を逸らさせる、そんな平安時代からのお家芸に怒りを覚えながらも、MK5(Maji で Koi する 5秒前)の曲とアレンジと歌詞の良さに圧倒的な衝撃を受け、デッキブラシ演出の元ネタは一体何なのだろうかということに思いを馳せる四十路の夜であった。

 

 

  

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