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スリランカの「サー・トーマス・リプトン邸」で専属料理人の作る豪華なランチをごちそうになって来た時の話。

私は紅茶屋である実店舗はまだ無い。喫茶店があると言うのではなく茶葉を買い付けて、日本でWEBで個人や取扱店へ売る紅茶屋である、もちろん喫茶店と言うか小さなお店は欲しいと常々思っている。

それはさておき、先日スリランカへ秋の茶葉を仕入れに行ってきました。スリランカの秋の新茶と言えば「ウバ」世界三大銘茶の一つに数えられる種類になり、そのウバを作る茶園の一つが「ダンバーデン茶園」で日本でも有名なリプトンの名前の由来にもなった「リプトン卿」の作った茶園である。

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この時点で英国人の手の入った茶園であると分かり、庭の細工を見ればそれを誇りとして大事にしているのが伝わる。

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そして、テイスティングルームの手前に大きく飾られるインフォメーションボードの様なもの。しっかりリプトン卿の名前が書いている。まずは早速仕事である。そう、テイスティングだ。

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色々規則があるので、あまり写真撮ったり、見せる事は出来ないがこの辺の写真ならセーフとお墨付きを頂いている。日光の入る側の窓辺にこのようにタイル張りの場所を作りその上で行うのが一般的。白いのは水色/液色が良くわかる為に必ず白の器を使う。手前にあるのがカップ、その奥がテイスティングカップという専門道具、そして茶葉、この日は11種類。

テイスティングは時間勝負みたいなもので、同じ品種の茶葉をグレードが違うとはいえ全て短時間で判断しなければならないので、悩んでいたらすべての味の印象が混じって何が良くて悪いのか分からなくなるのだ。
テイスティングはテイスティングスプーンと呼ばれる大き目のスプーンを使って、手前のカップから茶を掬い「強く蕎麦をすする様に茶を吸い込み」口の中で霧状にした茶を味わいその味を吟味するという物だ。この「すすった」お茶は側にある専用の容器に「ぺっ」と吐いて捨てる。しかし、このすする動作が慣れるまでは難しく、上手く霧にならなかったり、何となく恥ずかしくて吸う勢いが悪く霧にならない、勢いよく吸いすぎてむせるなどのトラブルがありこれは恥ずかしい。テイスティングの茶を吐かずに飲んでも良いのだが、一日に数か所回るとなるとそれだけでおなか一杯になる事もおまけ。

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まずは全体を味見して第一印象を見る、その後ある程度冷めてから再度試すと中には「ぬる茶、冷えてからが本番」という茶葉もあるのでなかなか侮れない、「香りが良いが味が弱い」「味は強いが香りが弱い」「常温ぐらいから旨い」など本当に茶葉は個性豊かで面白く難しい。そんな中から3種のロットを選んで注文。ウバのBOP,D,BOPFの3種で個人的には口の中で花の香りがするBOPFがおススメ。これもアツアツより少し冷めてから美味しい。

そうして金銭の授受が終わり一息つくと「飯食おう」と一番偉い人が招待してくれたので、車に乗り茶園内を移動するのだがこちらの茶園は山の1区画全部茶園とか珍しくないので車で敷地内を移動するのは当たり前だ。

運ばれる事5分そこそこだっただろうか、無事に「サー・トーマス・リプトン」のバンガローに到着。このバンガローは当時の物をそのままにして、代々のダンバーデン茶園のトップが料理人、庭師、メイドなどに世話をされながら当時の貴族的な暮らしをしているのだ、すごい。

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外観はコレ、母屋、使用人の住むエリア、庭、などで構成されている写真では小さく見えるが実際はかなり大きい建物。そして中は「自由に過ごしてくれ」と言われOKを貰ったので写真をいくつか紹介。

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応接室、ロイヤルブルーが美しくシンプルながらも気品がある。

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食堂、左隣がキッチン。そして客室と続く、写真は無いがお祈り用の小さな小部屋もあった。

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ゲストルームはこんな感じ。

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やはり客が多いのか、1つ欠けているが「TEA FOR 12」のシンプルなティーセット。昔はカップのセットと言えば「TEA FOR 12」だったそうだが、時代が進むにつれ6、4、2と減っていったそうで。

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入口すぐの庭を一望できるテラス、この時点で圧巻の余裕を感じる。真ん中のテーブルの雑誌入れに普通のファッション誌なんかが刺さっているのがココが家で日常である事を強く感じさせる。

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絵具のターナーの創業者の物だという水彩画。ずっと飾っているというので当時の物だろうとのコメント。しれっと凄いのが飾ってある。

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さて、そんなこんなで見学しては「ほー」「ハー」とか言っていると「お食事が出来ましたよ」との声。早速向かう。

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はい、ビューティフォー。左サイドに20種類はあろうかと言う色とりどりの料理。流石にこれを写真にとるのは流石ゲストでも気が引けたので取っておりません。が!自分の皿に盛ったものは一枚だけ撮ったのでご紹介。ランチョンマットとテーブルセンター替わりのティータオルが青で統一されており、テーブルの色との差がおしゃれ。

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専属シェフの熱いまなざし「お前食えるよな!そうだろ!食えよ!」的なまなざしとゲストとしての意地が相乗効果を生んだ一皿。やりすぎたかなと思ったがどれもこれも脱帽の旨さ。日本でもココまで美味い料理を出してくるお店を探すのが難しいレベルというほど。高級ホテルのビュッフェなども目ではない「どれもこれもしっかりした味とうま味」があり、食べれば食べるほど食欲が進むのはスパイスの魔法か。

そうして頂いておりますとですね、また専属シェフがその日のゲストの皆さんに「ご飯はどうだ」「ポークカレー美味しいですよ」とサーブして回るのだ。他のゲストはほどほどにおかわりをする姿を眺めていると満面の笑みで「よ!来たぜ!食うよな!俺のポークカレー」という笑顔で現れる、最初の皿ではポークカレーは取っていなかったが、ここまでですでに料理に対して全幅の信頼をおいている私はすぐに「頂けますか?」と答える。当たり前だよねと言うように笑顔でご飯とカレーを乗せてくるシェフ。歓待されたゲストの心意気としてしっかり食べてお礼を伝える。

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デザートにプリンとアイスとゼリーを同じ皿に盛り「プリンパフェ」を自作、続けて紅茶を頂き大満足。改めて素晴らしい腕とサービスのお礼を伝えた。もちろん紅茶はここダンバーテン茶園で作られたモノだ。

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最後に手入れの行き届いた素晴らしい庭を散策させてもらい、時間が来たので次の茶園へ。「来年も来てくださいね」「是非」とあいさつを交わし山道を下る。来年も美味しい物食べさせてください。仕入れの時に、お土産も持って行きますので・・・

そんなわけで、予想もしなかった歓待を受けて非常にイメージというか目の保養と勉強になった今回のスリランカ仕入れの一幕でした。珍しい体験をしたので少しでもおすそ分けできればと思い勢いで書きました。乱筆乱文はお許しください。そして、その紅茶を味わいたい方には是非こちらを

現地でテイスティングして選んで来た新茶3種類。世界三大銘茶の一つと言われるウバの「出来立て」のグリニッシュな風味をお楽しみください。3週間ほどでこの出来立ての風味は馴染み、また新しい味と香りを楽しめます。出来立てのセイロンティーを味わえるのは日本でも数少ない販路しかありません。今後も素晴らしいセイロンティーを現地より皆様にお届けする為にも、ぜひ未体験の方はお試しください。自信を持ってお勧めします。

サポートはありがたくこのnoteの維持、今後のスリランカでの仕入れ、デザインの依頼、商品写真撮影の依頼などに利用させて頂きます。