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たぶん食べもの

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即興の散文。食べもののことを書きがちだけど、食べもののことがまったく書かれていないときもあります。
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#エッセイ

天気に心を支配されたくないけど、雨には敵わない【6/3】

あらゆるすべてをポジティブ変換するには限界があるなぁと、雨の音を聞くたびに思う。 だって、雨がいつになっても好きになれないのだ。人生で一回も好きになったことがない。いや、マラソン大会の前にだけ都合よく「雨よ降れ!」と祈ったことはかろうじてあったかな。 でも、基本的にはなるべく空には晴れていてほしいのだ。年々、雨音を聞くと反射的にすーんと肩が垂れがちになっているし、雨が降ってきた途端からもう、私の心のシャッターは垂直にシュッと降りる。速いのだ。落ち込むのには1秒もかからない

目黒川のあたりで愛犬のにおいがする【4/30】

夜。会社を出て、アイスを買いにコンビニまでの道を歩いているときにふと、脇にある目黒川のあたりからチャッピィのにおいを感じた。チャッピィとは、実家にいたころ飼っていた柴犬の血が混ざった雑種の小型犬だ。 チャッピィはいつも外にいた。当時は今ほど酷暑じゃなかったためか、外で犬を飼う人がまだ結構たくさんいたのだ。ホームセンターでは、三角屋根の犬小屋がそこそこ幅をきかせていたように思う。隣の家の犬も、隣の隣の家の犬も、斜め前の犬も、みんなみんな外で飼われている犬だった。 家のまわり

もちろん納豆発祥の地は複数ある【4/24】

1年に1回くらいひきわり納豆を買うんだが、買うたびにびっくりしている。だって彼らはいつだって、歯でかみくだく前からくだかれているから。 そりゃそうだろうって自分でも思うが、1年に100回以上、ひきわられていないまんまるの納豆を食べているため、久しぶりに食べると驚く。わああ、くだかれている!と。そういえばこういうスタイルの納豆もあったわー!と。 で、ふとひきわられている理由を知りたくなり、「ひきわり納豆 なぜ」とキーボードを叩いてEnterボタンを押したところ、大きめの大豆

今期のドラマで少なくとも3人の登場人物が記憶を喪失している【4/22】

被るときは被るもんなんだな(しみじみ)。 というのがまず第一の感想だった。国土のなかに1億2千万人も人間がいたら、思考が1ミリも被らないほうが不思議。いや、ひとりひとりは別の人間だけど、同じ時代を生きていたら、似たようなことを考えることもそりゃあ、あるだろうよって気持ちでいる。 でもまさか、テレビドラマの題材がこんなにも被るなんて。 この件をねんのため、知らない人のためにちゃんと説明すると、いま、4月スタートで6月ごろに最終回を迎えるクールの連続ドラマのうち3番組におい

チョコザップに半年行ってない【4/21】

チョコザップに行っていないことを、週に2回くらい思い出すんだけど、週に1度も行かないまま1週間が終わっている。そんな暮らしを気がついたら半年近く過ごしていた。 この前友だちから電話が来た時にも「チョコザップには行ってんの?」と聞かれたので「行ってない!」と元気よく答えた。 ジムに通うと決心して結局行っていないというのは、よくあることではあるが、自分の持続性のなさを浮き彫りにする確かな証拠でもある。そう考えると、そこまで元気よく答えることではないんだろう。でも別に隠すほどの

道の歩き方が雑だと、毎日が発見の連続になる【4/19】

最近、自分の歩き方が雑だと気づいた。 ぼんやり歩いているともいう。周囲を見ているつもりがちゃんと見ていない。そのおかげで見知った道でも頻繁に新しい発見がある。 毎日が発見の連続だ、とか言うとなんかちょっとかっこいいけど、要は日々見落としがたくさんあるから、発見することが終わらないのである。 この前は、近所の人が寄り集まるような、個人販売もしてくれる卸問屋を見つけた。ちなみにこの街に住んでからはもう3年近く経ち、そのお店の前を100回くらいは通っている。 その場所のこと

人間なので、17年会ってなくてもいとこを覚えている【4/18】

先日、帰省した。5年ぶりくらいに父方の祖父と父に会った。泊まりがけで帰省したけど、祖父と父の住む家には泊まらず、駅前のホテルに泊まった。祖父と父の住む家には客用の冬布団がないのだ。 だけど、冬布団があったとしても私は泊まらなかったと思う。以前、一度だけ祖父と父の住む家に泊まったとき、父の飼っている犬に一晩中顔を舐めたくられつづけたことがあったのだ。本当に言葉のとおり一晩中で、おかげでほとんど眠れなかった。たしか夏、祖母のお葬式のときのことだ。 犬はかわいい。とてもかわいい

ああ、運転したいと1日に数回考えている【8/2】

免許を取ってから1年以上が経った。 免許取得以降、クルマを運転したのは、種子島に行ったときと石垣島に行ったときの2回のみ。いずれも離島である。 離島での運転のいいところはまず、東京と比較すると、圧倒的にクルマの台数が少ないことだ。「いま、この道走ってるの自分しかいない……?」って瞬間がたくさんある。 で、景色がいい。緑の山の奥のほうに透明な海の色がチラ見えしたときのしてやったり感というのか、うわぁ見ちゃったぞ的な気持ちの溢れ方……というか、もっといい言葉選びはないのかな

野菜の焼き浸しの間違いなさがこわい【7/21】

夏がまっさかりのTwitterには、焼いたり揚げたりした野菜たちが汁に浸された食べものがとてもおいしい、という情報が流れがちな気がする。 ここ数年の傾向な気がしているのだが、今年ついにその波にのった。 ズッキーニやパプリカ、にんにく、ピーマンなどを多めの油でしっかり焼いて、焼き目をつけて、めんつゆとカンタン酢でつくった汁に浸し、冷蔵庫にぼんって放り込んだのだ。 いや、厳密には放り込んではいない。 むしろ両手でしっかり保存容器を抱えて、落とさないように気をつけながらスッ

調理はフィジカル【6/30】

完熟梅が2キロと青梅が1キロ。 届いていたのであわてて梅仕事を一気にした。 その結果、軽い筋肉痛がちらほら。料理はフィジカルな要素が多い行為だなぁとあらためて思う。 梅仕事をするようになって数年経つのだが、今年は特に「梅を割って種をとる」作業が多めだったため、そこそこ力仕事になった。 特に青梅はなかなか身をひらこうとしないので(そこが青梅のかわいいところなんだけど)力いっぱい開いた。 その作業をしながらネトフリの「離婚しようよ」を観ていたらいつのまにか結末まで見終わ

11時開店のサイゼリヤに10時30分より前に並んでいる人を見かけた【6/29】

木曜は午前10時30分までに出社する日だ。 いつもギリギリだが、今日はぎりぎりじゃない。 時間にちょっと余裕がある!(わーい) そう思いながら会社に向かっている途中、サイゼリヤの前に並んでいる中高年女性を見かけた。 サイゼリヤのオープンは午前11時である。 ざっくり、あと30分以上は開かない。 ちなみにサイゼリヤの席数には余裕があり、行列のできる店というわけではまったくない。 つまりだいぶ気が早い行動だ。 夏休みの宿題を8月1日までに完成させているような優秀さ

氷結無糖を飲みながら書くと、こうなるという見本【6/27】

風呂というものが長らくめっちゃ得意じゃない。 とはいえ厳密にいうと、風呂に入るまでの時間が得意じゃないだけである。入ったら入ったであっさりと「風呂って最高!」等々とても軽率に言いまくりがちなくせ、風呂に入るその寸前までは風呂が得意じゃない。 最高な代物だとわかっていても、入るまでの「ああ、うわめんどくせえ!」に負けるのだ。で、そんな日々に終止符をうちたいという一心で、田中みな実が愛用してるといわれる入浴剤を買った。 アマゾンで頼んだら24時間かからずに届いた。とてもはや

「生きのびた」の第一段階あたり【6/17】

生きている年数が徐々に積み重なっていて、世の中的には、存命でいるうちは「若い」とは言われにくい年齢になった。でも、良くも悪くもあんまり実感がない。年齢をちゃんと思い出す機会を作らないと忘れてしまう。 そんななかで唯一、あ〜加齢したんだなと実感できるのが、自分が生きた時代の特殊性やほかの時代と違う部分を認識するときだ。 私の世代は、氷河期の終盤に社会に出た、いわゆるロスジェネなどといわれる層にあたる。社会に出て少し経ったあとにはリーマンショックもきた。雑にとりまとめるとすれ

田中みな実(敬称略)がおすすめしていると、買う。その仕組みについていま思うこと【6/13】

免許合宿から帰ってきて1年以上が経った。 そして私が田中みな実(敬称略)プロデュースのガードル購入を悩んでからも1年が経った。 田中みな実のガードルとは、これのことである。 今はもう、注文ができなかったり、定価よりもずいぶんと高い値段で売買されていたりする。 1年とちょっと前、私は確かに、免許合宿のさなかでこの田中みな実プロデュースのガードルを買おうかどうかをとても悩んでいた。購入ボタンの手前までは辿りついていたし、友達にLINEで報告した記憶もうっすらある。 だが