見出し画像

男友達の男友達になりたい女の話

男兄弟しかいないせいか、昔からなんだかんだ男の子といる方が楽チンだった。
男の子の遊びや遊び方が好き。男の子が好きな漫画も音楽も好き。
一方、女の子はなんとなく仲間になりきれない感があった。当たり障りない関係しかつくれず、見る対象として、姿かたちが美しいと思うけれど、自分がそっち側の人間であるという感覚はずっと持てなかった。

加えてなかなか生理も始まらなかったし、胸も膨らまないし、これはもしや、女性に生まれたのがそもそもの間違えで、実は後から棒となるものがニョキニョキと生えてくるのではないか??と毎日股を確認したものだ(生えなかった)。生理が始まったときには、そうか〜残念ながら私は女なのか...と落胆し、股を確認するのをやめた。

女の子たちには馴染めず、男の子の世界に入る勇気もなく、モテるタイプでも、彼氏ができるタイプでもなく、私の10代は終わる。

大学で工学部(理系)に進むと、男子ばっかりの世界となった。人に恵まれたようで、彼らは私を「女」として扱わず、いち「仲間」として扱ってくれた。性別を意識しないでいられるのはとても自由な気がした。
夜中まで研究室にこもり、明け方にラーメン食べに行くぞ、とか。椅子の上で寝て、朝起こしてもらうとか。男性5人、女性1人で富士山に行くとか(そして頂上が寒すぎてみんなでくっついて暖をとった)。
本当に楽しい日々だった。

でも社会に出ると180度変わった。自分は女であることを意識せざるを得なくなった。働く上では、女性というだけで蔑まれることもあったし、セクハラもたくさんあって、「胸のサイズは?」という軽いことから、「好きな体位は?」「自慰はするの?」とか、そういう気持ち悪いことも普通に会社の飲み会で聞かれた。仲がいいと思っていたお客さんに、女性としてみているとから契約するんだと言われてショックを受けたりした。既婚者に口説かれることも何度もあったし、好きでも何でもなく、ただ、私が「女である」ということだけに興味をもって近づく輩が増えて辟易した。

私は女であることを忘れたいのに、仕事に行くと女であることを武器にしなければならない。あるいは女を完全に捨てるしかない。どちらかの女性しか社会で働く中で出会うことはできなかったし、残念ながら今でもそうだ。

「私は女だ」と意識すべきなのは私だけであって、他の人には性別のない個として見られたい。特に好きな人たちには。

大学時代のような男女関係ないフラットな友達をつくりたくても、学生時代の友人以外とはどうしてもフラットになりきれない(数人はいるけど)。彼らにとって私は「私」以上に「女である」ことの方が強い気がする。そういうのを感じるたび、とても悲しくなる。


「飲もうよ」と声をかけるのは、異性として好意があるからじゃなくて、ただ飲んで語りたいだけだ。夜中にそこにいる「あなた」は私にとって男性だから一緒にいるんじゃなくて、友達だから一緒にいるのよ。と伝えたい。私に「女」を求めないでほしい。ただ、ただ、「あなた」の男友達のように、私も友達でありたい。

結婚して子供も生まれると、母としても見られる。母=女性でもある。母親になれた幸せは何にも代え難い一方で、自分がどんどん自分じゃなくなるような気がしている。仕事でも、家でも、私は女でしかない。

女性たちと一緒に、社会についての愚痴を言いたいわけじゃない。女性ということを武器に働きたいわけでもない。男性に女性として扱われたいわけでもない。私は私でありたいだけなのに、自分の性別を意識しないでいられる時間はいまほとんどない。

きっと、私の「個」としての魅力が足りないのもあるだろう。仕事の力量が足りないのもあるだろう。女であることを逃げる前に、そこと向き合わなければならないのも事実だと思う。

でも今は、なんにも考えずに、「仲間」とどっぷりお酒をたしなむ時間につかりたい。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

先日男友達と飲んだ時に、「男友達になりたい」と行ったら「???」となったので私の日々のモヤモヤを書いてみる。同じような人に共感をいただけたら嬉しい。

ヘタレな自分や自分みたいな誰かをそっと応援する日記みたいなものです。