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検証、iPhoneのRAWデータは想像以上に優れものだった!

iPhoneの画質の良さにはiPhone4あたりから定評があり、私も4sで撮影したものをA1サイズにプリントし横浜の赤レンガ倉庫で展示したことがある。鑑賞距離を撮れば十分大伸ばしに耐えうるものだった。

iPhoneがもはや一台のデジタルカメラとして認識されて久しく、写真家の中でも作品に使う人は珍しくない。2012年に参加したパリフォトでも、既にiPhoneで撮影された作品が日本円で約50万ほどで取引されていた記憶がある。iOS 10にてiPhoneでRAW撮影が可能となったわけだが、iPhoneしか持っていないのならいざしらず、そこまでするのならデジタル一眼等を使えばいいわけで正直「おまけ」程度に捉えていた。

ところが、先日試しにと撮影したRAWデータをPhotoshopで開いてみて、「おまけ」という見方は完全に間違っていたと気付いた。iPhoneの画質はもともと処理の上手さが際立っていたが、それでもRAWデータを見て底知れぬポテンシャルがあり、わざわざRAW撮影する意味もあるのではないかと言わざるを得ない現実を知ったのだ。

■正しい使い方はパソコンで編集すべし

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私の使用しているのはiPhone6sなので最新機種はより優れたデータだと思う。ネットで記事を見てみるとiPhoneアプリである「Lightroom mobile」を使って現像したものばかりなので正直レタッチにも限界があるのは否めない。そういう使い方なら素直に純正のカメラで撮った方が良いだろう。

私のiPhone6sでは「Lightroom mobile」や他のサードパーティアプリを使用しないといけないため、「ProCam4」を使ってRAW撮影してみた。

撮影データをAirDrop経由でMacに送ると普段から使っているAdobeの「Camera Raw」が自動的に立ち上がる。ちなみにカメラロールから送るとjpegデータになってしまう。カメラロールに入れてしまうと、どうやらjpeg処理されるみたいだ。

いくらRAWに対応したとはいえ、iPhoneでここまでするのはやり過ぎだと思っていたのだが・・・。

■Photoshopにて実際に比較してみた

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RAWから展開したオリジナルデータ

撮影したのはこの写真。exifデータによると、ISO25、1/2300秒、f2.2。ProCam4はF値以外を自由に設定できるのでわりかし自由度が高い。欲を言えばほんの少し絞っていればより良いデータになったかもしれない。カメラロールで生成されたjpegデータとAirDrop経由で展開したDNGデータをPhotoshopで展開。

RAW現像画面(補正前)

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RAW展開時にPhotoshopCCの最新版だからか、しっかりとiPhoneのプロファイルが入っており収差の調整まで出来るようだ。RAWの方は現像時に若干明るさなどを調整したが、Photoshopで同じ場所を拡大してみた。

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これだけ違えばどちらがRAWからのデータか説明することもないだろう。一見綺麗に見えるjpegデータ(上)もここまで拡大すると「塗り絵」的にディテールが潰れ、暗部も潰れてしまっている。

それに比べRAWからのデータはセンサーサイズの割には結構綺麗にディテールを保持している。Photoshopで展開してみて気づいたのだが、ISO25といえどもPhaseOneなどとは全くの別物、かなりノイズは多い。しかしこのノイズは高感度ノイズ等と違って嫌味のないノイズなのだ。もしかしたらiPhoneの画質が写真的などと言われるのは、この自然なノイズのおかげなのかもしれない。

35換算約29mmということもあり、私感ながら初代GRDと同程度かそれ以上のクオリティに感じる。

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正直ここまで差があるとは思っていなかっただけあって、いい意味で予想を裏切られる結果だった。これならiPhoneでRAW撮影するメリットを十分にありそうだ。

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個人差もあるが、私の経験上A3ほどであれば積極的にRAW撮影してプリントしてもなかなか綺麗なプリントができそうである。


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