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お買い物ごっこ

音楽教室ミューレでは、毎年恒例のイベントがあります。「ミューレバザール」というお買い物ごっこです。2017年のようすをお伝えします。

ミューレバザールとは?

お買い物ごっこです。商品は、売れそうなものならなんでもOK。

これは、わたしの思い出から思いついたイベントなのです。わたしが幼稚園のころ、同じアパートに文房具をとてもていねいに大切に保管しているお姉ちゃんがいて、ときどき、便せん一枚とか使いかけで要らなくなったシール、おりがみ一枚、紙石けん一枚などをくれるんですね。「そのお姉ちゃんが持ってたもの」というだけでプレミアが付いて、本当に嬉しかったのです。

だから、なんでもOK。お金はペットボトルのふたです。

見ているだけでワクワクしませんか?お店を出してもいいし、買い物に来るだけでもOKです。

ルールを伝える

子どもたちが集まったら、今日のルールを説明します。ルールは以下の通り。

*4時までに元の状態に戻す
*お昼ご飯も自分たちでやる。
  メニューはおにぎり。
  最低100個は必要。炊飯ジャーは5つ。
  予算4,000円で材料は隣のコンビニに買いに行く。
*売る工夫と売り切る努力をすること。

同時に、お母さんたちに「絶対に手も口も出さないで。」とお願いしておきます。ただし、失敗させて思い知らせるのが目的ではないので、ちゃんとフォローも用意しておきます。

時間が間に合わなくて小さい子たちがお腹が空いてしまったときのために、こっそりと、2階でお米を5合炊いておきました。また、予算は超えても大丈夫なように、低めに伝えてあります。

お米を炊くこと 

すっごく楽しそうにお買い物ごっこしてます。初めて会う子もいるし、年齢もさまざまですが、トラブルがいっさい発生しないことがミューレのイベントの不思議です。もめごとが全然起きないのです。本当に自由で、大人の判定が加わらないからでしょうか。

けど、時間はどんどん経っていきます。お母さんたち、やきもきしてきました。

「子どもたちって、炊飯ジャーをパカッと開けたらご飯が入ってると思っているのかもしれないね。どのくらい前から準備を始めないといけないか、知らないのかもね。」

ついに12時15分前になり、ホールを見に行きました。わたしの姿を見たからか、6年生同士が「お昼ご飯、どうする?」と言い始めました。

そこからはあっという間に担当を決め、買い出しとお米炊きに分かれました。

案の定、小さい子が空腹で泣き出したので、「お助けご飯」を出してあげました。

改善していく

コンビニ買い出し隊が、わたしのところに駆けつけてきて、小さい声で興奮気味にわたしに言いました。

「先生!コンビニのくじで雪見だいふくが当たったの!
どうしようか、コンビニの前でこっそり食べちゃおうかって言ってたんだけど、一応、正直に言いにきた!」

わたしは、「そんなの、先生になんか言わずにこっそり食べちゃえばいいよ。」と言いました。子どもたちは、一斉に駆けていきました。(ご、ご飯は・・・?)そのあと、なんともうひとつ雪見だいふくが当たり、おにぎりを用意していた子全員がありつけました。くじを引いた子はひとり。こういう子っています、ものすごく引きの強い子って。

さて、おにぎりは、注文を取る子、握る子、お米を研ぐ子などに分かれ、動き始めました。が、すぐに問題が発生しました。次々に注文が入るので、どの具のおにぎりが誰のものか、だんだん分からなくなったのです。また、ひとりひとりに、具材を羅列して選んでもらうのも効率が悪くなってきました。

そこで、子どもたちはメニュー表を作ることを思いつきました。誰が何を使って書くのか、その場でやりたい子が速攻で手をあげました。

注文を取るときは、名前もいっしょに聞くことになり、これで、順番や種類の混乱はなくなりました。

サボってる子?

決めたわけではありませんが、小5と小6の子たちがおにぎり隊になりました。小5のりりちゃん(わたしは4才から見ています)が、初めて見るような積極的な態度で、どんどん役割に立候補していきました。こういうことが好きなんだな、と初めて知りました。

ふと見ると、小6ふたりがホールで漫画を読んでいました。決めていたわけじゃないけど・・・、

「この2人は何をしているの?」

と聞いたら、

「今、休憩中。かわりばんこに働くことになったの。」

シ、シフト制かい!!びっくり。たしかに、おにぎり食堂は狭くて、全員は要りません。たいしたもんです。

リンゴの皮むき

食後のデザートにリンゴを出すことになりました。わたしは、「それも子どもにやらせてみて。」と言いました。

すごい包丁の持ち方と剥き方で、お母さんたちが「見てるとヒヤヒヤする〜〜!」と言っていました。

わたしは、お母さんたちに、

「包丁で怪我するときってどんなとき?まだ慣れてなくて下手だったとき?」

と聞きました。お母さんたちは、「大人になってから、うっかりしてるとき」と答えました。それで、「子どもだから切るってことじゃないから、やらせてみよう」と言いました。

でこぼこで茶色くなりかけたリンゴがいっぱいお皿に並びました。

そのあと、わたしは、手伝ってくれたお母さんたちにコーヒーを出しました。注文取り、コーヒーの準備、運ぶところまで、やりたい子が自主的にどんどん手伝ってくれました。

片づけ

おにぎりを作った後は、当然、米粒だらけのボウルなどが水に浸けられることもなく、放置されていました。

子どもたちは、45分前くらいから店じまいを始め、20分前から片づけに入りました。「米粒、取れないかもよ」と言ったら、「なんとしても取ります!」って言ってました。それならそれもアリかもな、と思いました。

「自分でやる」ってことは、「上手にやる」とは違います。「なんとかする」というのも大事なことで、子どもたちは全然「失敗した」なんて思ってないんだな、と思いました。初めてなんだから、当然です。

そのあとは、本当にテキパキと、誰も仕切らないのに片づけられていきました。係も何も決めていないし、もちろん、大人も指示を出していませんが、「全員がやれることをやる」ことで何もかもがうまくいきました。

高校生と小6の子が洗いものを担当してくれました。

低学年の子が炊飯ジャーをきれいに拭いています。
片づけが終わった後は、床も机も、埃をかぶったピアノも、全部ピカピカでした。

また来年もやります。

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