ずーっとずっとだいすきだよ(でもお母さんは鬼だよ)
『ずーっとずっとだいすきだよ』は、小学校の教科書にも載っているお話です。飼っていた犬に、「だいすきならだいすきと毎日伝える。そうすると、死んでしまった後も後悔せずに前に進める」というお話です。
わたしは三男を1才5ヶ月で乳幼児突然死症候群で亡くしています。ある晩、発見したときに既に亡くなってしました。
あれもやってやりたかった、これもやってやってない、後悔の毎日の中で、たった一筋の光は「わたしはこの子を全力で愛し、可愛がり、誰とも比べずに愛情を伝え切った」ということでした。
天国に行ってしまった三男は、「お母さん、僕のこと、好きだったのかなぁ。双子のお兄ちゃんの方が好きだったんじゃないかなぁ」とは決して思っていないと思う。それだけが唯一の救いで、すがるように今日まで生きてきました。
長男も次男も、「お母さんは僕のことが大好きだった」ということには疑いを持っていないと思います。
まぁ、愛情たっぷりに育てて、応援し尽くした、それは間違い無いのですが、どうやらわたしは「すごく優しいお母さんだった」と誤解されているような気がします。
それは全然違って、愛情があるからこそ、鬼のようなお母さんでした。18才で、後ろを振り向かず、きっぱりと家を出ていくために、できることは全部やりました。めっちゃくちゃ厳しかったのです、「たった一人で出ていけ!帰る家はないぞ」というメッセージを込めて。
そこが、周囲のお母さんと決定的に違う側面だったように思います。
昨今は、「保育」と「子育て」がごっちゃになってしまっていて、「子どもの気持ちを尊重」とか「共感する」とか、「言い聞かせて納得させる」という方法論が横行してしまっているように思います。
でも、親が魂を込めて教え込まなくてはいけないことは、本当に小さい頃、一心に親を信じて頼っているときにこそ、「あなたを助けてくれる社会や周りの大人に失礼な態度を取るな!!」「おまえなんか子どもなんだ、ひとりで何もできない自覚を持て!」ということではないかと思います。
幼くていたいけな子どもに、鬼の形相で「その失礼な態度はなんだ!謝ってこい!!」と言えるのは、親しかいません。唯一の味方だと思っている親が烈火の如く怒っている。これはたいへんなことをしでかした、と、子どもは恐れ慄いて、魂の奥底に「本当にごめんなさい」という思いが刻まれます。
わたしは、「社会」と「大人」に対して、子どもが王様のような横柄な態度を取ったとき、本当に本当に厳しかったのです。
「この子にはこういう意図がありまして・・・、勘弁してやってください」なんて一ミリも擁護しませんでした。「うちのクソ坊主が悪い」、幼い頃ほどそうやって厳しく突き放しました。
それが何につながるかというと、やはり、「謙虚に学ぶ」、自分の好きなことを好きなようにやりたいからこそ、未熟さを知り、教わる。なんでも吸収する。世間は厳しいからこそ、気合を入れてチャレンジする。簡単じゃない。受け入れてなんてもらえない。受け入れて欲しかったら、こちらが態度を改めるんだ。そういう姿勢ではないかと思います。
だいすきだからこそ、「ずーっとずっとだいすきだよ、でもお前のその態度はなんだ!!!!」と鬼母さんだったのです。
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