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みつろうクレヨン

子どもが小さいとき、みつろうクレヨンを何セットも買って、好きに使わせました。

このみつろうクレヨンは、元々、有害な成分は使われていませんが、もし口に入れてしまっても、60度以上でしか溶けないので、体を通ってそのまま出てきます。

ブロッククレヨンを選んだのは、持ち方がどうであっても、色そのものを味わえるから。どこを持って、どこを紙に当てるかによって、表情が変わります。

一般的なクレヨンは、部屋のあちこちに付くのがすごく嫌で、のびのび、自由に描かせることができなくなってしまうかもしれないと思って、これを探し当てました。床についても、汚くならず、いつの間にか誰かの靴下にくっついて綺麗になります(笑)。

それから、このクレヨンは、色が混ざります。

わたしは、無限の感性を持った赤ちゃんに、「あか」とか「あお」とか、「小さい子にはこのくらい揃えておけば、まぁいいでしょう」と決められた色を与えるのが嫌だなと思っていました。

それで、「何色」と言葉で言うことのできない、なんとも言えない色、しかも、塗るたびに表情が違って、強さによっても色のエネルギーが変化する、このクレヨンを選びました。

科学的な根拠はなかったし、誰かが言っていたわけじゃないけど、なんだか、特に0才〜2才のうちは、果てしない「美しさ」を教えることがとても大切だと思って育てたのです。

色もクレヨンも、「美しいもの」として与えました。何かを形どって描かなくても、ただ色を塗って楽しむだけでも、豊かな気持ちになります。

大人も、画用紙に、このクレヨンでただただ色を塗っていると、心が落ち着いてきます。なんとなく手に取った色が、心の中に芽生えた色の反対色で、苛立った気持ちや悲しい気持ちをスーッと中和させていくからだそうです。

一般的には、「いろいろできるようになってから」「使えるようになってから」良いものを与える、と考えることが多いと思います。

わたしは、逆でした。0才〜6才ころが、最も子どもの持ち物にお金をかけたかもしれません。このころの感性はあとから取り返せない、つまり、お金では買えないものだと思ったからです。

どんな子に育つのか、どんなことに才能があるのか、どんなことが好きになるか、全くわかりませんが、とにかくインプット。良いもの、美しいものをたくさん、たくさん与えたんです。

本能で美しさを知っている子は、賢明になると思っていたからです。本当かどうかは知りませんが・・・、そうだと思って育てた、ということです。

ちなみに、このクレヨンを使って育った次男は美大へ行っていますが、それとこれとは全然関係ないと思います。クレヨンによって絵が好きになったのではなく、もう、生まれつき、ずっと絵が好きだったから。

とにかく、「何かになる」とかじゃなくて、目に見えない感性を育てるには、とても良いクレヨンだったと今も信じています。

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