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反射的な感情で動かず、ゆっくり相手とコミュニケーションを取ろう! 排外主義的な発言は自分のためにも国益にもならない

Twitterで、「中国製のビーチボールに描かれていた世界地図で沖縄が琉球表記!しかも中国領になっている!!」と警鐘を鳴らしているひとをみかけた。

そんなマニアックなビーチボールどこに売ってたんよ?そもそも嫌中っぽい方なのに家になぜ中国製の謎のビーチボールがあるんよ?と思わず突っ込みを入れたくなったが、このツイートにぶら下がっているリプ欄を見る限り、わりと本気で日本の領土問題を憂いているTwitter愛国烈士の方々がいいねを1.9万もポチッたようだ。

二国間それぞれの排外主義的発言をぶつける地獄のポケモンマスターが現れた

今、こういう排外的Yahoo!コメントやツイートは日本語のわかる外国人たちによって、中国語に翻訳されたり英語に翻訳されたりして、むっちゃバカにされているらしい。

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どこの国も極端な排外主義者は居る(日本ならネトウヨと呼ばれたり、アメリカではオルタナ右翼と呼ばれたりしている)。一般人はそもそも彼ら彼女らとは関わらないようにしているが、中にはこのように彼ら同士をぶつけ合わせることで、マジで国同士の関係を悪化させようとしている連中もいるらしい。さながら地獄のポケモンマスターである。

ネット言説の影響が大きくなってきた昨今、たしかにごく少数の発言によって国益が損なわれることが増えた。自国の現体制に不満のある人たちはそういう毒虫を焚き付けて海外の毒虫と戦わせ、現政府の評価を落とそうとしている。

そもそも。なぜ彼らがそんな地獄のポケモンマスターにいいように扱われちゃうのかというと、感情のままに反射的に反応しちゃっているからだ。

このビーチボールの件も、こんな中国のどこぞの企業が作ったかようわからん代物ひとつ取って、それを中国全体のことだと本気で思い込んでしまっている。それも1万9千人がなんの疑問も持たずいいねしているのだ。冷静に考えたらヤバい。思うに、反射的な感情で言葉を発しているから、考えることをすっ飛ばしているのだろう。

こういう人たちのほとんどは実際に中国に行ったことはないだろうし、中国人とも直接話したこともない。もし、実際に中国人と直接話してみれば、当たり前だけど色々な考え方のひとがいることがわかるからだ。中国人とひとくくりにできるものではない。

ぼくの中国人(上海人)の元カノとの話

ぼくは過去に中国人の彼女がいたことがある。それはこちらの記事に書いた。

その上海人の元カノと歴史の話を何度かしたことがある。中国の政府にとって不都合な歴史は教科書に載らないのと同様、日本の政府にとって不都合な歴史は日本の教科書に載っていない。実はそういうところはどこの国でも変わらないのだ。

日本の歴史観がすべて正しく中国の歴史観は反日だからすべて間違っているわけではない。さらにいえば、中国すべてのひとが反日だと思っている日本人は多いが、それは西側のマスメディアが広めているプロパガンダの影響が大きい。

上海人の元カノがいうには、ぶっちゃけると上海人からしたら、日本人より北京人の方を嫌っている上海市民は多く、農村のひとたちとは戸籍も違うので論外だそうで、そちらの国内問題の方がよっぽど大きいそうだ。また、上海人は上海人同士じゃないと家族が結婚を許してくれないらしい。農村の中国人はもちろん、北京人もダメ。しかしながら日本人ならオッケーという、謎のジャパンブランドが今でも残っているとのこと。だから日本への留学に親は賛成だったという。

上海の中には日本人しか住んでない地域があって、そこでは日本語オンリーのレストランや学校、病院もある。そんな上海を見ているとどう見ても反日ではなく親日だし、ここには書けないことも色々と聞いたが、よっぽど同じ中国の人たちへの反発感情の方が大きいとぼくは感じた。

上海市という一都市をとってもこのような調子なのだから、こんな出どころ不明のビーチボールひとつとって、中国全体の総意と思っちゃうのは、思考停止にほかならない。

沖縄は元は日本より中国に近い琉球王国の土地だった

そもそも論なのだが、沖縄は日本古来の土地ではない。沖縄は元は琉球王国という日本とは別の国が統治していた。それを日本が侵略して奪い取った歴史がある。琉球王国は中国の明の冊封体制に入っていた。つまり中国の正式な子分だった。日本よりも中国の影響が大きかった国なのだ。それを日本はじわじわと攻めて丸ごと奪い取ってしまった。この点だけ見れば琉球からしたら日本は完全な侵略国家である。ただ琉球王国の税制が厳しかったり、身減らしの為に妊婦を崖から飛ばせたりしていた。なので、琉球王国の住民にとって日本は解放者か侵略者か意見が割れるところだろうが。

そして日本が侵略してきた時、なぜ明が助けを出さなかったかというと、秀吉の朝鮮出兵により明が大変なダメージを受けたので、琉球王国まで手が回らなかったのだ(文禄・慶長の役は16世紀最大規模の国際戦争である)。そして明治政府の廃藩置県によって沖縄県という完全な日本化によって、約450年間続いた琉球王国は滅亡した。なので抵抗した王族たちは中国の清に亡命せざるを得なかった。

琉球王国の王族の末裔からしたら、「あの土地は日本ではない。琉球だ」といった意識は当然今もあるだろう。このビーチボールを作った企業が琉球王国の末裔の会社なのかどうかは知らないが、元々は明の子分の国だったということもあり、一定数そういうふうに捉える人たちがいるのは理解できる。

何事もひとつの事例だけで全体を捉えてはいけない。だから、このツイ主も「日本も自国の領土について真剣に考える必要がある」と勇ましいことを言って扇動するのであれば、その辺を徹底的に分析して相手に挑まなければならない。単にネットの愛国烈士を煽っていいね集めして満たされたいだけだとしたら、先に挙げたようにこういったバカ発言が翻訳され、ゆくゆくは日本の国益に損害を与えるだけなので、やっていることが言っていることと真逆になってしまう。

自分が見ているものがすべてだと思ってはいけない。自分の正義が絶対に正しいと思ってはいけない。

相手からは相手の見え方があるし、相手には相手の正義がある。人種やどこの国民とか関係なく、いいやつもいれば嫌なやつもいる。政府という大きな存在を個人間ではどうすることもできない。最初に話したように、排外主義的な極論は逆に他者にいいように使われてしまうだけだ。

偏見に凝り固まらないために、反射的な感情論をぶつけるのではなく、まずは対話を試みること

個人でできることは、手を伸ばせる範囲で、なるべく偏見を捨てて、さまざまなひとと交流してみることくらいだと思う。反射的な感情に走らずに、ゆっくりと言葉を交わす。まずは話を聞いてみる。そうすることで自分自身が見えてくることもあるだろう。

ぼく自身、つねに新しい界隈、イベントなどに顔を出して、年齢とともに凝り固まっていく偏見から距離をとるようにしている。

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