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元々「GoToトラベル」反対派だったぼくが、そこでのひとの営みを見て何が正しいのかわからなくなった話

ここ最近、湯河原温泉、成田山新勝寺、有馬温泉へ「GoToトラベル」と、併用できる割引を使い、さらに奢ってもらったりして、自分自身はほぼお金をかけないで観光してきた。

温泉ばかり行ってきたのは、この1年半、あまりにも気を張りすぎていたので、お湯にゆったりと浸かって無意識化レベルでもリラックスしたい&地球のパワーを感じたいという湯治目的。成田山は、LCCの早便を予約したらその時間にいけるバスがこれまた新型コロナによって運行ストップしていたので、成田に前日入りしたついでに見てきたのだが、想像以上に素晴らしい寺社で、もう一度ゆっくり見に行きたいと思ったくらいだった。

とまあ、温泉や成田山についての件は別に書くとして、ここでは「GoToトラベル」について自分の中でなにが正しいのかわからなくなってきたのでそのごっちゃになった考えを吐き出してみようと思う。多分、20分くらいで書き上がるであろう乱文雑文だ。でも、一緒に考えてみると思うひとはぜひ読み進めてもらいたい。

初夏の頃、ぼくは7月から観光業を盛り上げようという「GoToトラベル」は絶対に駄目だと思っていた反対派だった。だって、ひとが動くからウイルスがひとの移動とともにばらまかれるわけで、アジアの諸外国みたいに完全に封じ込めるならば、政府が自ら率先してウイルスの蔓延に加担しては駄目だろうと。国民の健康だけでなく、ほかの国からも「日本の政策はおかしい」と思われてしまうのは、これからの日本を背負っていく特に若い人たちにとっては損しかない。それになぜ観光業だけ優遇するのかも理解できない。いや、その背景は理解はできるのだけれども。。

それは自民党幹部の二階俊博氏が約30年間、全国旅行業協会(ANTA)の会長を務めているからだ。観光業に国税をばらまけばさらなる自民党の票田は盤石となり、個人的な献金も受け取れるからではないか。その後、「GoToキャンペーン受託団体が二階幹事長らに4200万円献金」なんて報道もあって、やっぱり自分たちの利益最優先か、きたねぇとしか思えなかった。そういう自分たちに利することを優先する気持ちが理解できないと、ぼくはそう思うのだ。

そして、実際に東京以外で7月から「GoToトラベル」がスタート。東京も10月から遅れて始まって、遅れを取り戻すかのように都民が旅行する姿をニュースなどで見た。どのような経緯があれ、もう日本は「GoToトラベル」という一大プロジェクトでコロナの感染拡大よりも、観光業を回す方に舵を切ったのだ。だったら、自分も時間と気力体力がある時は利用しようと思った。

そして今回、成田山以外は、高級ではないが昔から営業しているような旅館にどちらも宿泊してきた。そういうところの店主だったり、支配人はもうかなりのご高齢であったが、きちんと検温をしたあと、老眼鏡を取り出してぼくのスマホに届いているメールに記載されている予約番号を一生懸命メモしていた(多分、その予約番号が国からの助成金を受け取る上で必要なのではないか)。なるべく大きい表示にして提示したけれど、それでもあの年齢で新しいことを覚えたり、そのために目を凝らしてメモを取るのも大変なはずだ。

湯河原温泉で泊まったところは源泉が豊富で継ぎ足し継ぎ足しで旅館を大きくしていったようなところで、住み込みのおばちゃんたちの部屋も露天風呂の横の通路からさらに山の上の方にあった。迷路みたいな感じだったので、ひとりのおばちゃんに露天風呂まで案内してもらって、おばちゃんはそのまま住み込みの部屋に帰って行ったが、もしこの旅館が今回の救済措置が取られなければあのおばちゃんは住むところと仕事を同時に無くしていたのか…ふとそんな考えが頭をよぎった。

ぼくが今まで自民党は汚いとか散々言ってきたことって実際の現場を見ずにただ無責任にヤジっていただけじゃないのか。旅館の高齢の支配人も従業員の人生を背負っているから、「高齢でPCやスマホのことがわかりません」なんて弱音を吐かず、一生懸命システムにキャッチアップして頑張ってらっしゃる。なんもしないで遠くからヤジっているだけなんて、それこそぼくがうんこなのだ。でも、そんなうんこでもたくさん集まると民意となり、そういう人たちの生活を破壊してしまう。たしかに自民党のやり方は汚い(そこはやっぱり譲れない笑)。観光業だけというのも納得いかないひともいるだろう。でも、その旅館やホテルにお金を直接渡すとその施設だけしかお金が入らないが、こうしてひとが泊まりにくることで、旅館に様々なものを卸している業者や周りのお土産屋などにも金が回る。救える命が増えるのだ。これはもしかしたら言うほど悪くない政策なんじゃないか。むしろ現場の苦労も見ずに机上でグダたれていたぼくこそ駄目な考え方をしていなかったか。そんなことも反省したりした。

成田山表参道や有馬温泉中心部の歴史あるお土産屋さんも、おばあちゃんたちがお店の前で「美味しいですよ」とか「地域共通クーポン使えますよ」なんて頑張ってらっしゃっていた。おばあちゃんたちにしたら、スマホのQRコードって何?ってレベルの話だ。でも、それを受け入れないと店が立ち行かなくなる。だから多分必死にスマホのQRコード読み取りのことも勉強したはずだ。多くのお土産屋や古い旅館やホテルで働いているのは中年以上の高齢者がほとんどである。歳をとってから新しい技術を習得するのがどれだけ大変なのか若い人には中々体感としてわかりづらいだろうけど、みな自分の生活だけではなく、ほかのひとの生活や代々続いてきた店を潰さないために頑張ってらっしゃった。しかも新型コロナウイルスは高齢者の方が重症になりやすいとニュースでやっていても、それでも政府が発表しているソーシャルディスタンスやマスクの着用、消毒をしつつ、一生懸命仕事を頑張っていた。

しかし。そこまで現場の人たちが頑張ってきたのに、いざ感染者が増えるとやっぱり「GoTo」見直しなんてことを政府は言い出した。もう本当に隅々の小さな土産物屋さんですら「GoTo」のシステムを組み込んでいるのに、ここで全部撤回したら、それこそ観光業だけではなく、下請けの業者もバタバタ潰れていくし、上記のような住み込みで働いていたおばちゃんの仕事も住む場所も無くなってしまう。一度「GoTo」で舵を取ったのならば、せめて感染者が増えてきたときのプランBとか用意しておいて欲しい。それこそ「GoToアローン(お一人様)」とかにすれば、飛沫を飛ばす相手もいないし、そもそも一人で旅にでかけるひとはそこそこ多い気がする。せめてそういうふうにしなくては現場の頑張りが報われない。

本当に最初は「GoToキャンペーン」なんて愚策だなんて思っていたけれど、現場で頑張っているおばちゃんおじちゃんの姿を見たら、そんなこと言えないよ。大手資本のところならまだ余力はあるかもしれないが、全額負担になるかもしれないリスクを冒しても、そういう古い旅館や古い土産物屋で頑張っているおばちゃんおじちゃんたちを励ましたいという気持ちが今はある。ぼくは温泉が何よりも好きだ。だからそういう文化を守ってきたおじちゃんたちをぼくは守りたい。ぼくにとっては大金なんかより価値を感じているかもしれない。だからうまくまとめられないけれど、自分としては「GoToトラベル」には複雑な思いでいっぱいなんだ。

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