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死にたい時に見るとメンタルに良い動画 【永井先生編 ~パニック障害発症で半年部屋から出られない時期に救われ寛解した~】

永井先生とは、まだYouTubeなどもないゼロ年代初頭からネトラジやピアキャストを使って本名で生配信していた先駆者。ニコ生がうまれたきっかけであり、その後のライブ配信サイト・アプリが作られたのは彼の功績が大きい。ピアキャスはある程度PCに詳しくないと繋いで見ることができなかったが、それでも常時1000人以上のリスナーがいた。当時は当然コメント機能なんてないので、リスナーとのやり取りは2ちゃんねるのスレッドを利用(スロットサロン板)。全て生配信なので今ニコニコやYouTubeに上がっているものはほぼリスナーが録画してうpしたものである。だから全て1発録りで、実況とはまったく異なる。生配信でありながらまるで何度も練ったかのような笑えるトーク、時たま起きる奇跡的なハプニングなど、配信界のレジェンド的なひとだ。スレの速度がとても速くあっという間に1000にいってしまう様子からも、当時の人気の高さがわかる。

そう説明するとものすごい大物と思ってしまうかもしれないが(先生とついているし)、実はむしろ、小物界中の王様感というか笑、そのスケールの小ささが親近感をさらに呼んで人気を誇った。

現在永井先生は42歳。ぼくと同じ学年だ。しかし、このアイドルマスター配信をしていた頃は2006年なので28歳。動画を見てもらう前に彼の当時置かれていた状況を説明しよう。それを読んでからこの動画を見ていってもらえるとよりいっそう面白さが際立つと思う。

永井先生は赤信号みんなで渡れば怖くない精神で高校を中退。それから中卒で様々な職を転々とした後、パチスロの打ち子で小金を掴むも、キャバ嬢のP子との運命的な出会い(?)によって多額を貢いでしまい(P子のPは伏せ音のピーから)、借金は120万。さらに告白してP子に振られ、キャバ帰りに酒気帯びで捕まり、免許取り消し。永井先生は実家住みだが愛媛の山奥に住んでおり、車がないと移動手段がない。そんな絶望的状況のさなか、リスナーから贈られたXboxとアイドルマスターを配信でスタートしたのをまとめたのがこの動画である笑

顔出しせずにトークだけでこれだけの人気を誇っていて影響力もあるのだから、いくらでも稼げるのに(ネットスラングの「なんぞ」「なんぞこれ」などは彼が話す伊予弁が広まったもの)、なぜか自己肯定感がめっちゃ低く、人間不信、ネガティブ(顔出ししないのもコンプレックスから)。しかし、それでいながらマイルドヤンキーで地元の友達との繋がりや家族との交流は多い。

めっちゃ小さな悩みで人生詰んだと本気で思い込んでいる先生のヤケクソ感と、本来触れ合うことがなかったマイルドヤンキーとアイマスというオタク的なものが化学反応を起こしてめっちゃ面白い配信となった。

当時、ぼくは兵庫県に住んでいた女子大生との遠距離恋愛をしていた。しかしぼくの若さゆえの無茶と見栄で、毎週末、仕事終わりに新幹線に乗って大阪や神戸に行っては、湾岸沿いのホテルなどを取ったり、京都嵐山辨慶など高級旅館にも泊まったりと、身体的にも金銭的にも無理をしていた。また今の自分とは真逆で、束縛強いで専用のピッチを買い与え、持たせていた。我ながら書いていて、アイタタタな黒歴史な恋愛だ。遠恋なんて月1会えばいいくらいなのに、毎週末仕事終わりに会いに行っては高いところに泊まって遊んでくるとか、自分で自分にストレスをかけているようなものだ笑。そこに加えて親族関係でかなり大きな問題が起きたり、仕事のストレスも加わって、ある日、突然パニック障害を発症した。それにより結局その彼女とも別れ、部屋からも動けず、道重さゆみちゃんのヲタ活動もまったくできない。ただのうんこ製造器として死にたい気持ちの日々だった。

そんな時、偶然永井先生の動画を見た。ネガティブだけど笑いに溢れたトークスタイルや、近所の友達が気軽に部屋に出入りしているアットホーム感にとても癒やされた。

そして、彼はゲームが超下手くそなので笑、トゥルーエンドを配信で見ることが出来ず、気になってXboxとアイマスを購入してしまった。当時の永井リスナーがXboxとアイマスの売上にかなり貢献したのではないかと思われる。ぼくはそこから2次元趣味を持つようになり、高校大学受験期の頃のエヴァ、ウテナ、ビバップ以来、特にこれまで興味なかった深夜アニメなども見るようになった。それがのちにアニメライターとなるきっかけのひとつともなった。

こちらの動画はアイマス配信終えて早朝の親が起き出す時間にヒソヒソ声でネガティブで刹那的なトークをして笑いと涙を誘った伝説の鈴虫配信。愛媛の山奥は自然豊かなので、配信に鈴虫の鳴き声が入り込み、いい感じにヒーリング効果(?)のある動画。

ひとは強力なポジティブさに救われることもあれば、ネガティブな言葉とそういった状況を笑いに変えるものにこそ、力をもらう事もある。

ぼくもこの配信で、自虐的な笑いから、自分の状況を笑いに変え、パニック障害を克服していった。パニック障害は外に出られなくなるので、ひとりの孤独な闘病生活だった。しかし、自分のそのうんこ製造機としか言えない状況を自虐的に笑う事で徐々に動けるようになっていき、アニメや同人にハマって、ついにはコミケにもサークル参加。また、アニメ業界でライター業もスタートさせて、人気アイドル声優から好きな作家の虚淵玄さんなど、数々のインタビューをこなしていき、遂にはパニック障害を寛解させた。そしてパニック障害からライター業務の忙しさから長らくヲタ活動できなかったが、ついには推しの道重さゆみちゃんにもきちんとした仕事としてインタビューすることができたのだ。

まあ、パニック障害になったことがきっかけで、やがて双極性障害も併発したが、その頃には自分のメンタルヘルスに対する付き合い方にも慣れてきて、メンタルの状態をコントロールしながら精力的に取材に出れるようになった。

今回紹介した永井先生の動画は、14年の時の洗礼を受けても遜色なく笑える動画だ。彼の下ネタは下品だし、わりとキレやすいマイルドヤンキーだから、最初はとっつきにくいかもしれないが、きっと絶望的な状況にあっても笑わせてくれる。ぜひ、最初はアイマス配信を見ていって、寝る前などに鈴虫配信を聴いてもらいたい。ポジティブな言葉だけでなく、ネガティブな言葉に救われることもある。長い人生、休息の時期も必要だ。そういう時にはこういった動画を見て、どうか自分の辛い状況を切ない笑いに昇華させてみて欲しい。ゆっくりだが、確実に心身の回復はしていく。

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