Black Lives Matter

先月末、アメリカでジョージ・フロイド氏が白人警察に殺害されるという事件が起きました。 その事件を発端に、世界各地で'Black Lives Matter'の抗議運動が行われています。

私の住む街でも2回、大きな抗議運動が行われ、1回目の抗議運動で3500人以上が参加したと聞きました。

ご存じの通り、黒人の方が白人警察に簡単に銃を向けられること、暴力的に扱われることは珍しくありません。この事件が初めてというわけではなく、私が日本にいたときも、同じようなニュースを聞いたことがあります。

その時は、ショックな出来事とは思いましたが、背景や歴史、アメリカの黒人差別の根深さを知らないまま、ただの「ショック」で済ましていました。

ですが、今の私はカナダというアメリカの隣国に住んでおり、また、カナダに住んだからこそ経験した自身のracism経験から、アメリカにおける黒人差別の背景や歴史、抗議団体の主張や、現地の人の意見を知りたいと思い、たくさんの記事や動画を目に通しました。

今日は、ドキュメンタリー映画「13th」の内容を少しだけしたいと思います。

13thはNetflixオリジナル作品なのですが、白人主義者からなるアメリカ政府と黒人の歴史に関するドキュメンタリー作品です。13thは何を指しているのかというと、アメリカ合衆国憲法 修正第13条のことです。

修正第13条の内容はご存じでしょうか?

アメリカが自由の国と言われていることを、一度は聞いたことがあると思います。ただ、その「自由」に対して例外がある、その例外の対象の一つが「犯罪者」です。 修正第13条は、「犯罪者には自由を与えない」とした内容のものなのです。

これだけ聞くと、「まぁそれは当たり前だよな」と思う人もいるかも知れません。罪を犯した人は、まずはその罪を報わなければならないと思います。

しかし、問題は、南北戦争が終結した直後から、この修正第13条を利用して、黒人を「犯罪者」に落とし込むことが長年行われてきたことにあります。

南北戦争が終わり、奴隷解放宣言が行われ、奴隷だったアフリカ系アメリカ人の人たちも自由を手に入れたはずでした。アメリカ南部では400万人もの奴隷が自由となったことで、経済が破綻(これまで雇う側は’タダ’で労働力を手に入れられたのに、それが出来なくなったわけですから・・・)。

そこで、黒人を’自由のない犯罪者’つまり実質の’’奴隷’’にするために、徘徊などの軽罪で「犯罪者」とする動きが始まりました。

それにより、初の「刑務所ブーム」が起こります。 (現在でもアメリカの刑務所収容人数は世界最多。) ’犯罪者’とされる黒人が増えることで、「黒人は野蛮で危険だ」というイメージが強くなっていきました。

大統領選挙でも「白人を黒人から守る」と発言する者が選ばれていた時代もありました(主に保守派)。

政府は黒人を投獄できるような法案を作りそれを駆使し、黒人を「大量投獄」してきました。

また、信じられないのが、米国立法交流評議会(ALEC)という、州法制定時に企業が関与できるという保守派のグループが存在し、過去にたくさんの企業が加盟しており、「黒人を投獄できる法案」をサポートしてきたということです。(これについてはALEC側は否定していますが・・・。)

衣料品会社や農産物販売会社は収容員を労働力として使えますし、刑務所の各施設(食堂、電話ボックス等)も企業にとっては金になるビジネスでしかない。無賃労働をビジネスにしようとした企業が、人権を考えることなく、利益目的でサポートしていたのです。

白人男性が警察に逮捕される確率は17人に1人に対し、黒人の若者が一生に一度は投獄される確率は3人に1人と言われています。アメリカにおける人種で黒人が占める割合は4%程度であるにも関わらずです。

このように、奴隷制が存在したときから、人種差別は現在に至るまで、「自由の国アメリカ」の裏では根強く残っている問題なのです。

私はこの数日間、このドキュメンタリー映画を2回見直し、Twitterで流れる記事に目を通しただけで、すべてを分かったわけではありませんし、日本人である私が、黒人の方を理解できるとも、理解したふりをしようとも思っていません。

ですが、私は人間が好きです。人間が好きだから、上っ面だけのコミュニケーションにしたくないから、自分とは違うバックグラウンドや文化、歴史をもつ人や国について、少しでも知って、対等な関係を築きたいと思います。

「知る」ことで、「自分の考えを持つ」ことができるのだと思っています。新しい人との出会いを迎える可能性がある限り、自分の考えを持って、人とコミュニケーションをとりたい。少し勉強したからと言って、世界を変えられるなんて思っていません。ですが、「知る」ことで自分が見える「世界」が変わっていく。そして、自分の意見が持てるようになる。その、今見えていない世界を見るために、「知る」ということを大事にしたいです。

最後に、ジョージ・フロイドさんのご冥福を心よりお祈りいたします。

そして彼の死が、次こそ、Black Lives Matter の実現に繋がりますように。




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