遊歩道 今朝も目に映ゆ 百日紅
散歩で朝夕通る白子川の遊歩道の百日紅が、薄いピンクの花をタワワに付けている。百日紅の花を見ると、高校への通学路に咲いていた赤い百日紅の花が脳裏に甦る。高校2年生の夏に親の転勤によって、広島の高校から東京の高校に転校し、新しい環境に戸惑っている頃だった。散歩道で心を和ませてくれる花々は、思い出も連れてきてくれる。
もう盛りは過ぎたが、散歩道の至る所に咲いた紫陽花から、今年も小学5年生の授業での出来事が思い浮かんだ。5月のある日、理科の時間に先生が「紫陽花は6月の花です」と言ったのに対して、私は「先生、5月の花じゃないんですか」と質問した。そんな些細なやり取りで済んでいれば、記憶に残るはずもないのだが。次の日少し早起きした私は、家の庭に咲いていた紫陽花を切って学校に持っていき、牛乳瓶にさして、先生が来る前に教壇に置いた。先生がそれを見て何というか、ドキドキだった。
「何と子供じみたことをやったものだ」、「“じみた”も何も子供だったのだから」、「俺の諦めの悪さは、あの頃からなんだ」との思いも一緒に湧いてくる。そんな思いも、家に帰り着く頃には忘れているのだが、今年は、家に帰り着いても紫陽花が頭から離れない。そこで、紫陽花は季語では何月の花なのかを調べてみた。
ウエッブ上の季語辞典によると、紫陽花は「仲夏」とある。季語は太陰暦に基づいているとので、夏は5、6、7月をさし、「仲夏」は6月に当たる。やはり「先生が正しかった」。待てよ、あの時先生は新暦で言ってたはずだ。旧暦の6月は、新暦では7月に当たるな。うーん、今更どうなる訳でも無いので、この辺にしておこう。
これから散歩道を彩るのはカンナだ。カンナは、季語では三秋だそうだ。カンナを見たら、また何か思い出すのだろうか。今年は、過去にこだわるのはやめて今に集中、緑の太い茎と緑の大きな葉、その先に咲く艶やかな花、目に映る姿を楽しもう。
(2024.08.10)
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