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片頭痛つれづれ

「この頭痛がない体になりたい。」「頭痛フリーになれるなら何でも頑張れる。」そう思って早20年。いつの間にか片頭痛ともすっかりお友達。

信頼できる頭痛専門医の先生方ともめぐり逢えて、自分なりに対処の方法も会得して、朝まで嘔吐し続け着替えることもできないなんてことはなくなり、苦しむ時間もずいぶん減りました。

でも、痛い時はやってきます。頭痛がない日は全く予感もなくけろっとしているのに、一旦痛くなると、目を開けているのも人の話し声を聞くのもしんどくなります。仕事で首にかけているPHSの紐すら重く感じます。そういう時私は、なるべく難しいことを考えず、静かに薬が効くのを待っています。

片頭痛って単一遺伝子疾患ではないけれど、たいてい片頭痛の方はご家族のどなたかに頭痛持ちがいるものです。生まれ持った体質みたいなものだと思います。

また、性格傾向もあると思います。これまで出会った片頭痛の方は、内省的な人が多い印象。これは要因だか結果だか分かりませんが。

ただ、「頭痛がある気がする」ではなく、本当に痛いということは確かです。気のせいだと思い込もうと努力して、なるべく普通にふるまっていても、無理していたらついには嘔吐します。

片頭痛は昔からある病態ですが、最近になり増えています。小学生でも、頭痛がひどくて保健室でお休みしたり、学校にいけなかったりする子供が増えてきています。社会の変化、環境変化による有病率増加は危惧されますが、理解者の増加によって「頭痛って病気だって言っていいんだ。怠け病ではないんだ。」という認識が広がって、今まで黙っていた頭痛で辛かった人が、声を出せるようになってきたことはよかったと思います。

片頭痛に関する海外での認識に関して、数年前に、ロバート・マリオンさんという臨床遺伝専門医の著した『ジェネティック・ラウンズ』という本で衝撃を受けたことがありました。主治医の先生は、患者さんに遺伝子診断を告げる予定日を、「急な片頭痛で起きられないから、別の日に延期してほしい」と言って変更するのです。これは先生が「残酷な診断結果を知らせるのは、幸せなクリスマスを過ごした後にしたい」という配慮から、スタッフとともに考えた虚構。しかし、日本で「今日は担当者が片頭痛なので、仕事を欠勤することになりました」なんてクライアントに言えないではないですか。ましてや病院の先生が頭痛で休むなんて驚いてしまう…。でも、これが許容されるほど、ニューヨークでは片頭痛に対する認識が一般市民にあるということなのでしょう。

片頭痛で苦しむ人自体が少なくなればいいなと思います。でも、まずは病気自体を知っている人が増えてほしいなと思います。どんな障害でもそうですが、その存在を知らなければ、気づくことはできないし、ましてや心配りすることはできませんから。病態解明や治療の研究に勤しむ方々には本当に頭が下がります。研究者たちは、目にも見えない頭痛を見える化しようと努力しています。そうして、症状がある時には改善させる努力を阻まぬ社会になってほしいと思います。

今回、百人一首ないですね(笑)。平安時代のお姫様にあこがれますが、長い髪の毛に重い着物を着て、さぞかし肩が凝ったのではないかな。私では無理かな。と思うこの頃。

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